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Seventh -雄吾's turn.
雄吾は後退を試みる。
エンジンが苦しそうに唸り、何とか除雪車は動いた。
今度は轍を避けて進む。
少し進んだところで再び雪に嵌まる。
雄吾は苛立って、重苦しいヘルメットを脱いだ。
ハンドルにしっかりしがみついて、進めそうなラインを探す。
スタックする度にそうして、雄吾は精神的に参っていた。
確実に視野が狭くなったのが分かる。
その上、さっきから除雪車の挙動がおかしい。
右の舵が効きにくくなっている。
見ると、左の前輪が潰されていた。
警官が発砲した時に被弾し、今頃になってパンクしたのだ。
空気が抜けきって使い物にならない。
ますます苛立つ雄吾だが、何かにぶつかって除雪車は止まった。
運転席からではただの雪の塊にしか見えない。
雄吾は除雪車から降りてそれの正体を確認しようとした。
その瞬間、外はブリザードのように吹雪いた。
視界はホワイトアウトし、雄吾の降車を阻む。
ワイパーのスイッチを入れる。
全く効かない。
高速にしても外は全く見えない。
何もかもが雄吾を妨げる。