表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13歳たちの末路  作者: おがくず亮介
10/14

Seventh -俊輝's turn.

何十もの車を蹴散らしながら、わざと国道の反対車線を驀進していく。



路面に雪は皆無で、チェーンがアスファルトの上を進む音がやかましい。



街は混乱に陥っている。



僕はラジオの電源を付け周波数を合わせた。



「……たった今入ったニュースです。A町で少年の運転する除雪車が次々に車を跳ねて暴走中、なお犯行に使われている除雪車は……」



さらに別の放送局に回す。



「繰り返します。番組の途中ですが一部内容を変更し、A町で起きている事件について放送しております。ご了承下さい」



「現段階で犯人の少年は2人と見られ、うち1人はY山をU市へ向けて逃走中との情報が入りました」



きっと雄吾だ。



うまく逃げてるんだな。



「少年による犯行ですか。こう言ってはなんですが、世も末ですね。何を考えてるんだか分かりません」



ラジオのMCが冷たく言い放った。



僕は強烈な憤りを覚えた。



何を考えてるんだか分かりません、だと?



分かろうともしないくせに偉そうに……!



全身がわなわなと震える。



殺したい。



僕に逆らう奴ら全てを。



僕を理解しようとしない奴ら全てを。



するとその時、僕は道を封鎖している集団に気付いた。



あの黒い盾を携えた集団は、テレビで何度か見たことがある。



機動隊だ。



退け。



僕は念じた。



しかし機動隊は幾重にも列を作ったまま微動だにしない。



徐々に迫っていく。



僕が人を轢く勇気もない臆病者だとでも思っているのか。



子供だからって馬鹿にするな……!



心は苛立つが、しかし僕はブレーキを踏みつけていた。



強く踏みつけていた。



50メートルほど距離を置いて停車する。



何をやってるんだ、僕は。



これじゃあ奴らの思惑通りだ。



僕は乱暴にクラクションを鳴らした。



機動隊は毅然として動かない。



何で退かないんだよ!



カッコ悪いセリフを僕は叫んだ。



機動隊はじりじりと僕との距離を詰め始めた。



数えきれない人の波が押し寄せる。



ギアはニュートラルに入ったままアクセルを踏む。



だが奴らは僕をなめきっている。走れないだろうと高をくくっている。



何の威嚇にもならない。



だからといってギアを動かそうとすると手が止まる。



焦燥感が僕を襲う。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ