第7話 蔑みと侮蔑と生温かさと
「あぁっ! そんなっ! やめて下さいッ‼ 僕はもうっ……もうッッッ‼」
『キモ……』
可能な限り離れて僕を見下げているロッテ。その青い瞳は蔑みの色を深め全ての光を拒絶する深海の如く輝きを失っている。
数時間前……
盛大な勘違いに気付いて立派なゲイ人になる道を早くも諦めた僕は、はち切れんばかりの大胸筋を揺らすメイド服姿のマッチョマンに服を脱がされ、全裸にひん剥かれてしまっていた。
「頼んだぞ聖母の」
「ええ。もちろんよ鋼の」
メイド服のマッチョマンはマリアさん。【聖母の抱擁】という二つ名を持つマッチョマンだそうだ。
僕は今、なぜか全裸で目隠しをされ、細長いベッドに仰向けで寝かされている。
「ななな、一体何を」
「あらあら緊張してしまって。大丈夫よ。怖くないわ」
ゴツいのに柔らかな手が僕の全身を弄る。
「脂色吐息」
生暖かい手が僕の体にヌメヌメとした何かを塗り込んでいく。これは……気持ちいい……。目の前に美しい桃源郷が広がるかの様に意識が高揚し、同時に混濁していく。
「あぁっ! そんなっ! やめて下さいッ‼ 僕はもうっ……もうッッッ‼ これ以上はッ! ムーンライト行きになってしまいますぅ〜……」
※※※
「どうだった? マリア」
「内に秘められた大きな才能を感じるわ。あなたの目に狂いは無かったようね」
ゴツい手に付いたワセリンを麻布で拭いながらマリアが応じた。その顔は高揚して荒い鼻息をフンスと放出している。
「そうだろう? 彼はこの惑星の救筋主となるやもしれん」
「ええ。楽しみだわ。アイアン」
知らぬ間に僕の進路はゲイ人から救筋主に定まりつつあった!




