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ダンジョン付き事故物件シリーズ

【番外編】住処がダンジョンになって、異世界とつながった日。

作者: 幻邏


 最近、我の住処周辺が騒がしい……。

 晴れていて雲がないのに、轟音の雷が鳴り響いたと思いきや、地上は無事なのに空が燃えている。


 何かが起ころうとしているのは違いないが……それを知る手段はない。

 不安定な天気が続くけれど、できることなどないのだ。我も含めてな……。


 それから2ヶ月も経たぬうちに、我の寝床からほど近い空間に光の輪が出来た。

 そして、我の前には黒いものが浮かぶ。


◆◇――――――――――


 この星はダンジョン化しました。

 38750429エリア

 512288・9942182地域と同化します。

 あなたは、このダンジョンの主となりました。

 あなたに知性が与えられました。


――――――――――◇◆


 なぜか、言葉というものがわかる。

 それと同時に、多くの何かが頭に流れ込んできた。

 が、よくわからんな。


 とりあえず、寝よう。



 騒がしいな……なんだ……?

 声がする。


「おぉー! 自然豊かっ!! 魔物の気配もないっ!」


 いや、我がここにいますよ……。

 えーと、あれはなんだ??


◆◇――――――――――


種族:人間ハンター

状況:探索中(侵入者)


――――――――――◇◆


 こっそり遠めながら凝視してると、説明文字が浮かび上がる。

 ほうほう、人間という種族か。

 誰もいないのにニコニコして、あたりを見回しているな。

 あ、そうか。我は水面にほど近いけれど水の中にいるし、きっと人間というのは、我より目が良くないのだろうな。


 来る日も来る日も、人間はここにやってくる。

 たまに我の住処の水に何かを投げ込んでは、魚を持っていく。

 別にいいけど。


 他にも、土から生えてる植物を持っていく。いいけど。

 ……あれ、食べられるのか?



◆◇――――――――――


おめでとうございます。

侵入者がダンジョンを褒めています。

ダンジョンランクが上がりました。


――――――――――◇◆



 ??????

 どういうこと??

 この文字を映しているやつは、詳しい説明はしてくれない。

 我、よくわからない。

 侵入者といえども、我を屠る類の者ではないらしい。


 そういえば、湖の魚たち、侵入者の垂らす糸の先についている、やや黄色くて四角い何かに、群がっている。

 あれは美味いのだろうか。



◆◇――――――――――


釣り餌:いも

味  :それなりに美味い

備考 :針付き


――――――――――◇◆


 ほうほう、どれ、頂きますっと。


 いてぇ!! なんかチクッとした、引っ張られる!

 なんか上に跳ねれば針抜けたりしねぇかな! あ、そーれっ!!



――ザパァアアアン


 あ、我って結構ジャンプできるのね。

 あれが侵入者ってやつか、きちんとみたの初めてかも。あ、針の先は侵入者が持っている変な棒につながっていたのか。

 あ、変な棒を侵入者が手放した。


――バッシャァアアアン


 あー、痛かった。

 水に戻った時に針もついでに抜けた。


 えーと、怪我した時ってこうすりゃいいんだっけか。

 こないだ浮かんでいる文字が教えてくれたな。

『母なる水の癒し』



◆◇――――――――――


怪我が治りました。

スキルレベルが2になりました。


――――――――――◇◆



 なんかチクッとしたけど、治ったしいっか。

 芋ってやつ美味かったな。


――数日後


 芋がまた水の中に!

 しかも、この間のよりでかい!

 美味しいが大きい!!

 頂きまーーーすっ!!!


 いっっっってぇぇえぇ!!

 チクッじゃなく、思いっきり口に刺さってる!

 えーと『母なる水の癒し』



◆◇――――――――――


怪我が治りました。

スキルレベルが3になりました。


――――――――――◇◆



 え、怪我治ったけど、刺さったままなんですけどーーー!!

 しかも、今回はなんかめっちゃ引っ張られる!!

 ぎゃああぁあぁ! 引き上げられるぅうぅ!!


――ザバァアアァァ! ドフン!


 いってーーー!!! 水っ、水がないんですけどーーー!! 息は出来るけど動けないぃいぃ!!


「食材鑑定! パブリック」


 え、食材? 我のこと??


「ダンジョンボス……! いたの?!」

「そのようだ、な……」


 あ、はい。我のことです。

 たぶん、我の命ここまで。水の中じゃないと動けない。


「アリカ……ダンジョン、閉じたいか?」

「……いいえ。食材庫として重宝してるので、出来れば残しておきたいです。料理人としてハンターさんたちの役にも立ちそうだし……」


 ハンター……たしかココみたいなダンジョン化した地域で、化け物狩る奴らだったよな……。

 たまに出てくる四角いやつが、ほかのダンジョン情報教えてくれてる。

 あまり読んでないけど。


 わ、我、バケモノじゃないからね?!

 あ、口に刺さってたやつ抜かれた。違和感消えた。なんかちょっとスースーする。

 んぎゃっ、持ち上げたよ、我よりちっこいヤツが、我を持ち上げたよ……!

 放られたよぉおおお!!! なんて力なんだ!


――ザッパァァアァァン



◆◇――――――――――


   トゥンク


――――――――――◇◆



 意味がわかんねー!!!

 しかし、あやつらは、我を殺すつもりはないようだ。

 すなわち、敵ではない。

 ……と、いうことは……?



◆◇――――――――――

情報をアップデートしました。


侵入者 → 藺草アリカ(親友)

侵入者2 → 仁久レイジ(親友)


――――――――――◇◆


 おぉぉぉおお!!!

 ぼっちな我に友達すっ飛ばして親友が……!!

 いーーやっほーーー!!!

 今日はいい夢見れそうだーー!!

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― 新着の感想 ―
主さん視点、こんな感じなのか~とめちゃくちゃ面白かったです! トゥンク ねえ、だからさ、可愛すぎるんだってば!( ・`ω・´) 痛かったんだから、もっと怒ってもいいんだよ?(笑) しかも想像以上に…
>トゥンク この一言に色々集約されてる気がする(笑)
さ、魚視線!? 新しいっ、新しすぎるっ!
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