表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伝説級モンスターを育てて世界の滅亡を防ぎます〜モンスターが人型になれるなんて聞いてないんですけど!?  作者: 犬型大


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

98/128

始まるアカデミー生活3

「うまーく負ければよかったな」


 素手なら勝てそう。

 そう思ったのでちょっと頑張ってしまった。


 一回負けて、また負けられるかという小さなプライドがあったのかもしれない。

 ただこれでまたライバル視が強まってしまった。


 今更ながら失敗したなと思う。

 手を抜いたら手を抜いたで怒られそうな気もするので、どうやればよかったのか難しい。


「おっともう時間だな。あれほどまで動けるようにとは言わないが、動けておいて損なことなどない。習った動きぐらいなら部屋でも復習はできるだろうから、ぜひやってほしい」


 チャイムが鳴ってモリワキは簡単にまとめる。

 キズクもグローブを外して着替えて教室に向かう。


「よう、レオン。調子……あ」


 キズクもまだ周りに馴染めていないが、レオンも友達がいる方じゃない。

 教室までの道のりでポツンとしていたので声をかけてみた。


 シホ同様にレオンとも仲良くなりたい。

 しかしどちらかといえば、レオンのキズクに対する態度はシホに近かった。


 キズクが声をかけると答えることもなく歩く速度を上げていってしまう。


「今度手合わせの機会あったらレオンのやつ指名してやろうかな……」


 流石に完全無視というのは気分が悪い。

 同じクラスにいて、今後話さねばならないような機会もするだろうにあまり頑固な態度でいられることも困る。


 シホにしてもレオンにしても人間関係は難しいものだとキズクはため息をついてしまう。


「大人しくしてたか?」


 教室に戻るとリッカはミミをペタリとさせて尻尾を振る。

 両手でも余るほどの大きなリッカの顔をわしゃわしゃと撫でる。


「体動かした後に国語とか拷問だよな……」


 武術を習ったりする特殊な授業もあるが、もちろん普通の授業もある。

 嫌でも国語や数学の授業は受けねばならない。


 普通の教科の先生は一般人の先生もいるのだけど、アカデミーで働いている歴が長い人もいる。

 教室の後ろに魔獣がいても怖がって授業が進まないなんてことはない。


 回帰前、人生に絶望していたとはいってもすることはなかったので授業はそれなりにちゃんと受けていた。

 覚醒者を育成することがメインであるアカデミーの授業レベルは高くもなく低くもない。


 キズクにとってはやや優しいレベルぐらいである。

 あまり勉強しなくてもレイカに怒られるような成績にはならないだろう。


 学校の成績もどこを目指すのか難しいところはある。

 中途半端に高いとレイカは一番上を目指せと言いそうである。


 たが学校の成績において手を抜いて、上を目指すのにも微妙なところに収まるのも逆に至難の業だ。

 手を抜きすぎて下の成績になると多分何か言われることだろう。


 上を目指しておくのが安全かなとは思う。

 授業を受けて昼になると、昼食を食べに食堂に向かう。


 アカデミーの食堂は二つある。

 一つは一般食堂であり、普通の生徒たちはそこに向かう。


 そしてもう一つの食堂は魔獣同伴可能なテイマー食堂である。


「正直こっちの方がいいよな」


 テイマー食堂はモンスター用の食事も出している。

 昼時に食堂が混むのはどうしても仕方ないのだけど、実はテイマー食堂の方は余裕があったりする。


 魔獣がそばにいられるようにテーブルが離れて置いてある。

 一般食堂に比べてかなり効率は悪そうだけど、すでに卒業した生徒やテイマー系の家門、ギルドからの寄付で成り立っているらしい。


 アカデミー全体の中で見てもテイマーの比率はそれほど高くもない。

 そのためにテイマー食堂の方は一般食堂よりものんびりと食事がとれるのだ。


 ケンゴとキズクは料理が載ったトレーを手に席につく。


「モンスター用の高カロリーフードじゃないんだな」


「この方が好みみたいだからな。出費はかさむけど……しょうがない」


 ケンゴはキズクの横でお皿を見つめてヨダレを垂らすリッカを見ている。

 リッカのお皿には山盛りのステーキ。


 魔獣にはモンスター用の高カロリーフードという選択肢もあるが、リッカとノアは人間用料理を食べるし、食堂のラインナップにはモンスター用に調整された料理もある。

 決して安くはないのだけど、今は北形家からお金の支援もあるので多少贅沢してもいいぐらいの懐具合であった。


「いいぞ」


「わふっ!」


 リッカがステーキにがっつく。

 ノアもステーキを切り分けたものをついばんで食べている。


「炎の精霊か……なかなか珍しいものと契約してるな」


 ケンゴの契約している魔獣は炎の精霊であった。

 精霊はモンスターの中でも珍しく人に親和的な存在も多い。


 ただ人と契約してくれるかはかなり気まぐれで、相性が良くないと契約できない。

 親和性もそうだが、本人が持っている魔力の質も関わってくると言われている。


 炎の精霊と契約できたならケンゴの魔力は炎と相性がいいのだろう。

 まるで炎の塊のような拳ほどの大きさの精霊はテーブルの上で大人しくしている。


「たまたま契約できたんだ」


 精霊は特に食事を必要としない。

 何か食べるようなこともあるようだが、基本的には魔力があれば生きていける。


 精霊は他のモンスターよりも成長の可能性がある。

 今は属性そのままの見た目をしているが、格が上がれば小さい人のような姿になることもある。


「この後は数学か……勉強は面倒だな」


「まあしょうがないさ。一応最低限の知識は必要だからな」


「そうかな? まあ赤点にならないぐらいには頑張るか」


 アカデミー生活、今の所は順調。

 このまま大きな問題なく学生生活も進んでくれればいいのになとキズクは思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ