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伝説級モンスターを育てて世界の滅亡を防ぎます〜モンスターが人型になれるなんて聞いてないんですけど!?  作者: 犬型大


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部活動、キズクの狙い2

「第一テイマー部にも負けない自信があります!」


 どうして第一テイマー部と第二テイマー部に分かれているのか。

 それには理由がある。


 何事も歴史が長くなれば色々な問題が生まれてくる。

 テイマーにも在野の人材というものが存在しているが、一方で王親家のようにテイマーを代々輩出したり集めたりして大きな集団となっているところもある。


 大きくなれば往々にして力を持つ。

 それは権力や発言力といった力である。


 権力を持つとどうしても立場の上下ができる。

 立場の上下ができるとそのうちにまるで自分が特権階級かのように振る舞う人も出始めるものだ。


 名家と呼ばれる家に属する人、大きなギルドに属する人、あるいは才能がある人なんかがエリートグループを作る。

 そうして普通のテイマーは爪弾きにされてしまった。


 普通のテイマーだって黙ってはいられない。

 不満が溜まり、やがて偉そうに振る舞うテイマーたちから分離する形で新たなテイマーの集まりができた。


 それが今の第二テイマー部なのである。

 名家の子息や才能がある人が集まる特権階級的な方は第一テイマー部となり、今は二つのテイマー部がそれぞれ存在することとなったのだ。


 こうした経緯があるので第一テイマー部と第二テイマー部はあまり仲が良くない。

 いまだに第一テイマー部にはテイマー名家の子や有名な覚醒者の子供なんかが集まり、第二テイマー部を見下している。


 第二テイマー部は第一テイマー部には入れないような子が集まり、第一テイマー部を見返そうと頑張っている。


「どっちを選ぶかなんて明白な話だよな」


「……何か言いました?」


「いいえ、なんでもないです。そういえば名前、聞いてなかったですね」


「あっ、そうですね! 私は水浦彩芽ミズウラアヤメと言います」


 貴族ごっこをしたいのなら第一テイマー部はいいのかもしれない。

 ただキズクはそんなものに興味はない。


 それにおそらくの話ではあるが、カナトが入学しているなら第一テイマー部に入ることになるだろう。

 クラスも分かれたのに部活は一緒なんて嫌である。


「こちらが第二テイマー部です」


「おお……意外と立派な建物……っていうと失礼ですかね?」


 アカデミーの広い敷地の一角に第二テイマー部があった。

 一部室なんてものではなく、一棟の建物丸々が第二テイマー部の部室となっているのだ。


「ちゃんとした建物ですよね。見た目は」


「見た目は?」


「中は意外とガタがきてるんです」


 アヤメは少し困ったように笑っている。

 そのまま後について第二テイマー部に入っていく。


「中もキレイじゃないですか」


 ガタがきていると聞いたので見た目に反してボロボロなのかと思った。

 見回してみると多少の古さは感じるものの、ガタがきているというほどではない。


 第二テイマー部の一階は訓練ができる部屋になっていた。

 モンスターと共に動けるように広めに作られた訓練室は壁や床に傷があって歴史を感じる。


 確かに、ピカピカとはいかないようである。

 他にも水棲モンスター用のプールがあったり、トリミングルームなどの魔獣のお手入れをする場所もあった。


「ここは?」


「暗い場所を好む子もいるので、暗室になっています」


 キズクが覗き込んだ部屋は完全に暗闇だった。

 窓も目張りされて黒い布で覆われている。


 廊下からの光だけが室内をうっすら照らしている。

 魔獣にも色々な種類がいる。


 日の下で活動するものだけじゃなく、暗闇に乗じて動くものもいるのだ。

 そうした魔獣は暗い環境が落ち着くので、そうした場を作ってあるのだった。


 思っていたよりも魔獣に寄り添った施設となっている。


「ここが人の集まる部室です。誰かいますか?」


 二階にある部屋の中にアヤメは入っていく。


「おう、ミズウラ……おっ? おおおっ?」


 部室には背の高い男子が一人、椅子に座って本を読んでいた。

 アヤメと一緒に入ってきたキズクを見て嬉しそうな顔をして、その後ろから入ってきたリッカを見て驚いたように目を丸くした。


「見学希望者です」


「ほほぉ〜、こりゃまたすごいのつれてきたな。適当に座ってくれ。何か出そう……ジュースでいいか?」


「ええ、なんでも」


「魔獣の子たちも?」


「……いいのなら」


 キズクがリッカとノアを見るとキラキラとした目で見返す。

 ジュースが飲めるなら飲みたいと目が語っている。


 体の構造的に動物に近いモンスターもいれば、全く異なっていたり強靭なものもいる。

 ただのペットなら人の食べ物はダメと言われたりもするが、魔獣にそんな常識は当てはまらない。


 普段はリッカもノアもキズクと同じものを食べる。

 リッカに至っては最近キズクよりも多くのものを食べている。


 世の中には魔獣用の高エネルギー食というものもあるが、リッカもノアもあまりそうしたものは好まなかった。


「はいどーぞ」


 キズクよりも先にリッカとノアにジュースを出してくれた。

 匂いからするとリンゴジュースのようだ。


 さすがテイマー部はリッカに驚きはしても、怖がってはいない。


「よくうちに見学に来てくれたね。ようこそ第二テイマー部へ。僕は七村蒼ナナムラソウ。第二テイマー部の副部長だよ」


 ソウはニコニコとしながらリンゴジュースが入ったコップをキズクの前に置いた。

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