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伝説級モンスターを育てて世界の滅亡を防ぎます〜モンスターが人型になれるなんて聞いてないんですけど!?  作者: 犬型大


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部活動、キズクの狙い1

「剣道部でーす! 現在見学受付中でーす!」


「野球部部員募集中!」


「ぶ、文学部……いつでも見学受け付けてます」


 校舎を出てみると人がたくさんいた。

 一年生だけでなく、部活の勧誘に来た二、三年生もいるのだ。


 あちこちで勧誘の声が上がって、チラシなんかを配っている。


「……声をかけられないのも寂しいな」


 今のところキズクを勧誘する人はいない。

 遠巻きに見ている人はいるものの、やはりリッカに近づくのは抵抗があるのだろう。


 分かっていても周りから声をかけられないことに少しの寂しさがあった。


「あのー」


「はい?」


「あなた一年生? テイマー……よね?」


 校内見学もできるけれど、初日の今日は校内も混むだろう。

 勧誘されることもなさそうだしと、そのまま寮に向かっていたキズクに声をかけてきた人がいた。


 振り返ってみると一人の女の子と一匹の大きな白い犬がいた。

 首元には二年生の校章。


 横にいる白い犬は魔獣だろう。

 女の子の方も犬のような笑顔を浮かべてキズクのことを見ている。


「テイマーです」


「どこの部活に入るとか……決めてるかな?」


「いえ、まだです」


「本当!? なら……」


 女の子は腕に抱えていたチラシを一枚、キズクに差し出す。


「第二テイマー部はどうですか? テイマーはもちろんこれからテイマーになりたい人も大歓迎! あなたは……もうテイマーみたいですけどね」


 受け取ったチラシには第二テイマー部とモンスターのイラストらしきものが描かれている。


「おい、どけ!」


「キャっ!」


 興味がある。

 そう伝えようとした時だった。


 三年生の校章をつけた大柄な男子生徒が割り込んできた。

 二年生の女の子は大柄な男子に押されてふらつく。


 白い犬の魔獣が支えて倒れはしなかった。

 三年生の男子は肩に一つ目の猿のようなモンスターを乗せている。


「そんな魔獣を連れているなんて才能がありそうだな! どうだ、うちに来ないか? 第一テイマー部こそ本当のテイマーのための部活だ」


 三年の男子がチラシを差し出した。

 こちらの方はイラストなんかもないシンプルなチラシであった。


「大丈夫ですか? 先輩」


「なっ、無視すんな!」


 キズクはチラシを受け取ることもなく、二年生の女の子の心配をする。


「第二テイマー部は落ちこぼれの集まりだ! 才能あるやつはみんな第一テイマー部にいる! それにそんな小さな鳥じゃなくてもっといいモンスターだって手に入るかもしれないぞ」


「なっ……小さい鳥だと!」


 三年生の男子の言葉にノアはムッとする。

 話していいのなら罵倒してやりたいところだけど、人目もあるのでグッと我慢する。


「先輩、人が契約している魔獣に対してそれは失礼ですよ。それにこちらの先輩にぶつかったこともです」


「わ、私は大丈夫だけど……」


「いいえ、よくありません」


 キズクと三年生の男子が睨み合い、二年生の女の子はオドオドとしてしまう。

 まだ若い段階での二歳もの違いは大きい。


 まともにやりあえばキズクは三年生になんて敵いはしないだろう。

 だからといって弱いものを虐げるような態度は許せなかった。


 力無き回帰前にはどうしようもなかったこうしたことも、今はただ黙って見ているだけにはならないと今は誓ったのだ。


「チッ! お前、友達は選んだ方がいいぞ」


 周りを気にするようにしながら三年生の男子は舌打ちした。

 キズクのことを一発分殴ってやりたい気分だったが、周りに人が多くて、そんなことすれば騒ぎになってしまう。


「ええ、よく選びますよ」


 リッカが牙を剥き出して唸り声を上げる。

 一つ目の猿はサッと三年生の男子の頭の後ろに隠れてしまう。


「……ふん、お前が第一テイマー部に来ても入部は認めないからな!」


 少し注目を集めつつある。

 三年生の男子は周りの目を気にして引き下がることにした。


 捨て台詞を吐いて三年生の男子は離れていく。

 体つきはいいのに態度は小物だなとキズクは思った。


「あ、あの……本当によかったんですか?」


「何がですか?」


「正直……第一テイマー部の方が色々と……設備もいいし」


「……あいつが言ってたでしょう? 友達は選べって。ちゃんと選びますよ。あんなやつはこりごりです」


 たとえ能力があるとしても人を見下したり、尊大な態度の奴は気に食わない。

 キズクの中ではカナトがその筆頭である。


 だから友達は選ぶ。

 あの三年生の男子とは友達にならない。


「第二テイマー部の見学に行きたいんですけど、いいですか?」


「えっ? あ、はい!」


 それにキズクにはある目的があった。

 元よりテイマー部に入るつもりだった。


 それも、第二テイマー部にである。


「もう一度聞きますけど第二テイマー部で……」


「いいんですよ。そんなに向こうに行かせたいんですか? それとも第二テイマー部は悪いとこなんですか?」


「そんな! 悪いところじゃないですよ!」


 アカデミーにはテイマー部というものがある。

 これは普通の高校にはない特殊な部活動だ。


 何をするのかは、名前の通りテイマーに関する活動をしている。

 しかしアカデミーにおけるテイマー部は二つある。


 第一テイマー部と第二テイマー部である。

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