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伝説級モンスターを育てて世界の滅亡を防ぎます〜モンスターが人型になれるなんて聞いてないんですけど!?  作者: 犬型大


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アカデミー入学2

「生徒も協力的なんだな」


 寮案内の受付にいるのは学生に見えた。

 入試の時もそうだったが、学生たちも入試の手伝いなど学校の運営にも携わっている印象が強い。


「テイマー寮のA棟、二一一号室です」


 キズクは受付の三年の女子に入学手続き後に送られてきた入寮許可証を見せる。


「あっ、A棟……特待生の方ですね」


 入寮許可証を見て受付の三年生は驚いた顔をする。

 そしてリッカを見て納得したように頷く。


 実はキズク、アカデミーから特待生扱いでの入学となっていた。

 魔力検査では受験者基準ではあるが、S級であり、実技では運もありながら最後まで残った。


 結果を見ると受験者全体で上位に入る事は間違いない。

 筆記の方もほとんどミスはなく、そちらでもおそらく上位だろうとキズクは思う。


 結果的にキズクは成績上位者として特待生扱いを受けられることになった。

 学費の免除が特待生としての大きな恩恵であるが、他にもちょっとした特典みたいなものもある。


 それがいい寮に入れるというものだった。

 A棟とは特待生用のいい寮なのだ。


「こちらがカギです。無くさないように気をつけてください」


 寮のカギを受け取る。


「あちらにテイマー寮のA棟がありますので」


 アカデミーは敷地内に寮がある。

 キズクはカギを手に言われた方に向かった。


 すぐにテイマー寮のA棟が見えてきた。


「ほー、立派なものだ」

 

 寮というには綺麗で新しい建物に見える。

 建物を見上げてノアは目をキラキラとさせる。


 北形家も悪くはなかったけれど、あまり壁が厚い感じはなかった。

 リッカやノアも、もうちょっとお話したいところであったのだけど、いつ人に聞かれるか分からないのでは落ち着いて話せなかった。


 レイカやサカモトもめざといし、ノアはともかくリッカは声が大きくなりがちである。


「ここが部屋か」


 ほんのりとした緊張を胸に抱きながら部屋に入る。

 アカデミーの寮はかなりしっかり作りになっている。


 特に特待生の寮は広々として本当に一人で使っていいのかというレベルである。

 加えてテイマー寮ということもあった。


 テイマーは魔獣となるモンスターと生活する。

 基本は常に共にいるのだ。


 そばにいるだけではない方法もあるものの、アカデミーとしては魔獣との生活にも慣れてもらいたい。

 慣れてもらうためにも同じ部屋で生活できるように、テイマー寮の各部屋は少し広めになっているのだ。


 テイマーのための広めで、特待生用の良い部屋。

 合わせるとかなり良い部屋であるという事なのだ。


「壁も分厚いし……よほど大きな声でも出さない限りは会話しても平気だな」


「話しても大丈夫なの?」


「ああ、大丈夫」


「んふー! ご主人様、大好き!」


 キラキラとした目のリッカは鼻を鳴らして興奮したように尻尾を振っている。

 話せると聞いて、いの一番に言いたいのはそれなのか。


 キズクは思わず笑ってしまう。


「俺も好きだよ」


 キズクがリッカの頭を撫でてやると、リッカは目を細める。


「部屋をよくみるのは後回しにしよう。まずは入学式……それからホームルームだな」


 流石のアカデミーも初日から授業をするほど厳しくない。

 だがやるべき事はある。


 まずは入学式がある。

 それからクラス分けが発表されて、軽いホームルームがあることになっていた。


 キズクは部屋の隅にキャリーを置くと部屋を出る。


「場所は第二講堂か」

 

 入学案内の冊子には入学式は第二講堂という場所で行われると書いてあった。

 寮案内の受付で軽く場所を聞いて向かう。


「回帰前とは明らかに違う人生……これからどうなるんだろうな」


 ーーーーー


「一の一……」


 入学式は滞りなく、問題もなく終わった。

 カナトやレオンもいることには気づいていたし、向こうもキズクに気づいていた。


 だが声をかけることもない。

 カナトには強く睨まれたが、キズクは涼しい顔をして無視をした。


 入学式が終わったので今度は各クラスに分かれることになる。

 キズクは一年一組であった。


 分かりやすくていいなと思った。

 他の一年生たちと同じく教室を探してキョロキョロと周りを見る。


「キズク、あれではないか?」


 ノアが教室のドア上にある標識を翼で指す。

 『1-1』と書かれたそれは、キズクが探していたものだ。


「ナイスだ、ノア」


「ふふぅふぅーん」


 キズクが指先でノアの頭を撫でてやる。

 ノアはご機嫌な鳴き声をあげて目を閉じている。


「前から入ると目立つかもしれないな」


 ドアは開けっぱなしとなっているけれど、さすがに前から入れば入ってきた人を見るだろう。

 キズクは後ろから入る。


「……まあ、しょうがないよな」


 クラスにはもう三分の二ほどの人が来ていた。

 やはりクラスメイトがどんな人なのかは気になるところである。


 誰かが入ってくると振り返って確認する人も多い。

 キズクに続いて入ってきたリッカを見て、教室が大きくざわつく。


 一般的な高校に比べてアカデミーの教室は広く作られている。

 だからといって一クラスの人数が特別に多いわけではない。


 なぜ教室が広いのかといえば魔獣のためである。

 常に共にいるということのために魔獣が入れるスペースを作ってあるのだ。


 だから学校の建物全体も普通よりもはるかに大きくなっている。

 これも一時期テイマーが国内の覚醒者の中で力を持っていた影響があるのだ。

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