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伝説級モンスターを育てて世界の滅亡を防ぎます〜モンスターが人型になれるなんて聞いてないんですけど!?  作者: 犬型大


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リッカの力9

「ミディアムに焼き上げました」


「美味い……」


 泥を落としたり着替えている間にサカモトが肉を焼いてくれていた。

 分厚めのお肉がお皿いっぱいに盛られている。


 空腹は最高のスパイスなんて言葉もある。

 軽く塩胡椒しただけのお肉だけどすごく美味しい。


 サカモトもきっと良い肉を買ってきてくれたのだろう。

 リッカとノアも肉にがっついている。


 肉の油が体に染み渡るようだ。


「お口をスッキリさせるのに炭酸飲料もございますよ」


「い、いいんですか!」


 サカモトがクーラーボックスの中から炭酸飲料の缶を取り出す。


「……美味い!」


 カシュッと開けて、グビッと一口。

 口の中の脂っこさが一気に流れていく。


 何だか、もう頑張ったという気分になってしまう。


「まだまだありますからね」


 サカモトはニコニコとしてお肉を焼く。

 キズクも今は育ち盛りだ。


 空腹状態で美味い肉を目の前にして我慢できるはずもない。

 食べる時は食べる。


「いい食べっぷりだねぇ。僕もお肉もらおうかな」


「どうぞ」


「お野菜もいい感じですよ。……リッカ様に玉ねぎはいけませんかね?」


「いけないこともないですけど……肉の方がいいようです」


 これ以上食べられないというほどに食べた。

 そして、寝た。

 

 サカモトが用意してくれていた寝袋を使って、外だというのに泥のように眠った。

 起きた時には次の日の昼間になっていた。


「よし、やるか」


 思ってたよりも寝てしまった。

 今は三連休三日目の昼だが、まださっさとボスを倒せば三連休中には帰れるだろう。


 サカモトがまた焼いてくれた肉を食べて、やる気も気力も十分、体もしっかり休めた。

 キズクは再びゲートに入る。


 ゲートの中は相変わらず面白みのない赤茶けた世界が広がっている。

 キズクたちはゲートの中を進んでいく。


 すると不自然な形をした土の塊が見えてきた。

 これまでゲートの中にあった土の塊よりも二回りほど大きい。


「ノアチェック!」


「うむ!」


 クレイゴーレムは近づかない限りは自ら襲ってこない。

 遠くから様子を見つつ、ノアにクレイゴーレムの全体を確認してもらう。


 最初のクレイゴーレムのように体の表面近くにコアがある可能性も否定はできない。


「なーし!」


「まあ、そう簡単にはいかないか」


 まだクレイゴーレム形態ではない。

 しかし、表面上にコアっぽいものが見えないことは確かである。


 クレイゴーレム形態になった時も、そんなに状態は変わらない。

 表面上にコアが見えていないなら、クレイゴーレム形態になっても見えないだろう。


「よし! じゃあ正攻法で倒すか!」


 最後の最後で楽をさせてもらえることはないだろうと分かっていた。


「いくぞ、リッカ!」


「はい! ご主人様!」


 残るはボスだけなのだから力を温存する必要もない。

 キズクとリッカはボスクレイゴーレムに向かって駆け出す。


 地面が揺れ、ボスクレイゴーレムも動き出した。


「グレイプニル!」


 ボスクレイゴーレムは動き出しが一番動きが鈍い。

 キズクは右手からグレイプニルを伸ばす。


 狙うはクレイゴーレムの肩。

 動きが鈍いうちにグレイプニルをボスクレイゴーレムの左肩に巻きつけた。


「おりゃ!」


 キズクは右手を思い切り引く。

 巻きつけたグレイプニルが肩にめり込み、ボスクレイゴーレムの左腕が切断される。


 今のグレイプニルに物を切断するような力は本来ないが、粘土質の柔らかいクレイゴーレムの体ならグレイプニルでも切ることができる。

 鈍い音を立ててボスクレイゴーレムの腕が落ちるけれど、わずかにみじろいだだけで大きなダメージがあるようには見えない。


 けれどそれでいい。

 ボスクレイゴーレムの腕が再生していく。


「腕にはないか」


 ゴーレムはコアを中心に動く。

 体が泥でできているクレイゴーレムは簡単に再生もしてしまうのだが、その性質を活かしてコアの位置を絞り込むことができる。


 クレイゴーレムの再生もコアを中心に始まる。

 つまり体を分断した時に再生が始まる方にコアがあるということになるのだ。


 今は左腕を斬り落として、体の方から腕が生えてきた。

 腕ではなく体の方にコアがあるということになる。


「リッカ、頼むぞ」


「ワオーン!」


 リッカがそのまま走っていき、キズクはボスクレイゴーレムの側面に回り込むように動く。

 ボスクレイゴーレムは近づいてくるリッカに向かって再生した左腕を振り下ろす。


 体の大きなボスクレイゴーレムの一撃は、通常のクレイゴーレムのものよりも破壊力がある。

 柔らかめな赤茶けた地面はボッコリとへこんでしまう。


 相変わらず破壊力はあるものだが、当たらなければ意味がない。

 黒き風のように地を駆けるリッカがボスクレイゴーレムを翻弄する。


「僕もいるよー!」


 加えて空を飛ぶノアもいる。

 敵の優先順位の付け方もかなり乱雑で、目の前のノアを狙ったりリッカを狙ったりととりあえず近い方を狙っている感じだ。


「右腕も違うか」


 リッカとノアが気を引いてくれている間に、キズクはボスクレイゴーレムの右腕を切断した。

 右腕を斬られてもボスクレイゴーレムはそのまま動き続けている。


 再生も体から始まっている。

 どうやら右腕にコアはないようだ。

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