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伝説級モンスターを育てて世界の滅亡を防ぎます〜モンスターが人型になれるなんて聞いてないんですけど!?  作者: 犬型大


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リッカの力7

「……なんでゲートが封印されていたんだろ?」


 ゲートが封印されていたということがふと気になった。

 そもそもゲートを封印するという行為自体初耳だったのだが、封印するのには理由があるだろうと思った。


 すぐに思いつく理由としては危険なモンスターがいるから、ということだろう。

 すぐに倒せないような強いモンスターがいたから、ゲートを封印して出てこないようにした。


 あるいは似たような理由で人手が足りないから急場しのぎ的に封印しておいた、なんてこともあるかもしれない。

 またあるいは有益なモンスターだから封印しておいた可能性もある。


 テイマー的な目線で見た時に、契約できたら強力な味方になってくれそうなモンスターだったから封印したということもあるかもしれないと考えた。

 契約できそうでも、契約できる人がいなきゃ倒すしかないので封印して契約できる人を待ったということもあり得るのだ。


 ただゴーレムは基本的に契約できないモンスターである。

 契約できたら便利そうだけど、いわゆる知能がないためなのか契約できない。


 ならば契約のために封印しておいたというのは違う。

 けれどもゴーレムの中でもクレイゴーレムはそんなに強くない方である。


 キズクでもそんなに苦労せずに倒せるようなモンスターであり、倒せないとかそんな理由で封印するようにも思えなかった。

 ならばどうして封印していたのか。


「まさかこのために?」


 成長のため。

 そんな考えが頭に浮かんできた。


 不人気なゴーレムのゲートをわざわざ封印したのは、誰かの成長を促すためなのではないかと思ったのだ。


「なんでオオイシさんはこんなところを知ってるんだろう?」


 ゲートが封印された理由についてはいくら考えても答えは出ないし、答えてくれる人もいない。

 後でオオイシに聞いてみようと思うのだが、オオイシもどうしてこんなところを知っているのかと疑問に思った。


 山奥の洞窟にひっそりと存在している封印されたゲートの存在など自然と知るものではない。

 ゲートの封印もサラッと解除してしまった。


 よくよく考えると不思議なことだらけだ。


「まあいいか」


「考え事は終わったのか?」


「ああ、全部後にする」


 ゲートを出てからオオイシに聞けばいい。

 今はともかくゲートの攻略を優先しなければレイカに怒られる。


「ノア、似たような土の塊がないか探してくれ!」


「うむ! まかせよ!」


 周りのものに擬態して隠れている場合もあるけれどクレイゴーレムは見つけやすそうだ。

 ノアに捜索を任せる。


「キズク! あっちだ!」


「オッケー! リッカ、行こうか!」


「分かった!」


 ーーーーー


「すでに一日半が経過いたしましたね」


「うん。思ってたよりも頑張るね」


 ゲート外ではオオイシとサカモトがキズクが出てくるのを待っていた。

 オオイシの予想では一日目の夜ご飯ぐらいには一度出てくるだろうと思ったのに、キズクはもうかなり長いこと入っている。


 今は三連休の二日目の夜。

 キズクがゲートに入ってから一日半が経っていた。


 流石にサカモトも少し心配していた。


「大丈夫……なのですよね?」


「そこは大丈夫だと思うけど……」


「もしキズク様に何かありましたら……レイカ様を止めることはできませんよ?」


「そうなったら首差し出すさ。せめて苦しまないように逝かせてもらうしかない」


 キズクがゲートの中でモンスターにやられてしまったということはないだろう。

 オオイシはカルラコンジを送り込んである。


 キズクにピンチなことがあれば助け出すように見張らせている。

 今のところ何もない。


 ということはキズクの命に別状はないのだろうと分かる。

 それでも飲まず食わずで戦い続けているのも心配だ。


「少し中の様子を……おや?」


「あー……疲れた……」


 ゲート中では時間経過が分からないということもよくある。

 もしかしたら一日以上の時間が経っていることを気づいていない可能性もある。


 何にしても食事や水分補給をしなければ体の負担にもなってしまう。

 サカモトが中に入ろうと手袋を取り出した時だった。


 キズクたちがゲートの中から出てきた。


「なんとも……」


 土が出てきたのかとサカモトは思った。

 キズクもリッカもノアも全身土まみれであった。


 赤茶けた土を身体中にまとっている状態で、キズクは重たそうに体を引きずっている。


「キズク様! 大丈夫ですか!」


「体に怪我はありません……だけど……もう!」


 キズクはうっとおしそうに体を震えさせた。

 全身から半分固まった赤土がパラパラと落ちていく。


「はぁ……本当にキッツイ……」


 リッカも体をブルブルと震わせて土を払う。


「何があったのですか?」


「まあ調子に乗って戦ったんです……」


 クレイゴーレムはキズクでも倒しやすかった。

 そしてキズクは体の変化を感じた。


 クレイゴーレムを倒すほどにキズクの体は乾いたスポンジのように魔力を吸収していった。

 目に見えて強くなる、なんてほど甘くはない。


 けれどもキズクの体感としては体が軽くなっていくようだった。

 敵を倒せる。


 強くなれる。

 戦うのが面白くて、ついつい調子に乗って戦ってしまった。


 ただクレイゴーレムはコアが体の中にあることも多かった。

 そのせいでかなり泥をかぶりながら戦う羽目になってしまったのである。

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