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伝説級モンスターを育てて世界の滅亡を防ぎます〜モンスターが人型になれるなんて聞いてないんですけど!?  作者: 犬型大


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リッカの力5

「いくぞ!」


「偵察は任せおれ!」


 ノアが翼を広げて飛び上がる。

 周りは平坦なように見えて、よく観察してみると意外と起伏がある。


 高いところではキズクの身長以上はある小さい丘のように隆起しているところがあって、見通しが悪いのである。

 そのままで見通しが悪いのなら上から見ればいい。


 こうした時に飛行タイプのモンスターがいると便利だ。

 大抵の場合、空からなら見通しがいい。


「近くに敵の姿はないぞ!」


 加えてノアは会話という意思疎通が取れる。

 普通だと鳴き声やちょっとした行動でなんとなく伝えてくれるだけだが、ノアは言葉で伝えられるのだ。


「あっちの方に土の塊みたいなのがあって、あっちの方はちょっと小高くなっているぞ! そして……」


 キズクの腕に止まったノアは周りの説明をする。

 そういえば、とキズクは思った。


 回帰前もノアの飛べるという能力を活かしてキズクは偵察の仕事をしていた。

 その時はまだノアは話せなかった。


 話さなかったのか、話せなかったのか細かいことは知らないけれど、会話という意思の疎通をとったことはない。

 でもノアはキズクに伝わるように身振り手振りで周りの状況を表していた。


 よくよく考えればそんなことしているモンスターなんて、他にはいなかったなと今更ながら思った。

 そして今もノアは身振り手振りを交えながら説明してくれる。


 回帰前も今も出来る限りキズクに伝えようとしてくれている。


「何を笑っている?」


「いや、嬉しくてな」


「んん?」


 妙に愛しさを感じずにはいられない。

 でもそんなことをキズクが考えているとは知らずに、ノアは不思議そうに首を傾げる。


「土の塊がある方に行ってみようか」


 ひとまず土の塊がある、という方に向かってみることにした。

 環境の変化や怪しいものがあるというのは大体モンスターがいる兆候である。


 岩の塊があるということはモンスターがいる可能性も高い。

 さっさとモンスターを見つけて、さっさと倒さねばならない。


 キズクはツルハシを肩に担いで赤茶けた大地の世界を歩いていく。

 木々や植物もなくて景色としては非常に平坦で面白みもない。


「あれが、ノアが言ってたやつか」


 赤茶けた土が盛り上がったような塊が見えてきた。

 確かに周りから若干浮いていて目立っている。


「行け、ノア!」


「おうともさー!」


 怪しいものの偵察にもノア。

 ノアはキズクの腕から飛び立って土の塊を偵察に行く。


「ぶぅ……私も役に立ちますよ?」


 ノアばっかり役割を与えられていることにリッカがすねる。

 ちょっと頭を下げて恨めしそうにキズクのことを見ている。


「リッカにはリッカの役立つ時があるって」


 キズクは笑ってリッカの頭に手を伸ばす。

 モンスター探しといえばこれまでリッカの役割であった。


 リッカの嗅覚や聴覚を使ってモンスターの存在を察知するのだ。

 意外とリッカセンサーは優秀であるが、弱点もある。


 ニオイを感知するということで風向きやモンスターのニオイなどに影響されるのだ。

 耳は割と安定している。


 しかし嗅覚にしても聴覚にしてもモンスターと接近するまでどんなモンスターか分からなかったり、モンスターがいる方向も大雑把だったりするのだ。

 その点で目視は相手が見えているという利点がある。


 魔獣がモンスターの姿を説明することは難しいけれど、知能が高めの魔獣だと大きい小さい、敵の数が多い少ないぐらいなら伝えることもできる。

 会話ができて、上から目視で確認できるならその方が偵察に向いている。


 ニオイや音で察知してくれるなら、近くにいて警戒してくれることもキズクとしてはありがたい。


「ぬぬぬ……特になんともなさそう……」


 土の塊の上まで飛んで行ったノアは旋回しながら様子をうかがう。

 土の塊は土の塊である。


 影にモンスターでもいるのかなと思ったが、そういうわけでもない。


「何か……ぬおっ!?」


 少し高度を下げて土の塊に近づく。

 すると土の塊が動き始めてノアは慌ててまた高度を上げる。


「……なるほど。だからツルハシを渡したのか」


 土の塊の形が変わっていく。

 手足のようなものが出来て、まるで人のような形になっていく。


「ゴーレムのゲートか」


 土の塊は最終的に首から上がない、プロレスラーのような体格のいい人のような形になった。

 それはゴーレムと呼ばれるモンスターであった。


 ゴーレムにも色々な種類がある。

 もっと正確にいえば、ゴーレムを構成する素材や魔力の属性が色々とあるのだ。


 多くの人がイメージするのは岩で出来たゴーレムである。

 他にも金属だったり氷だったりと周りの環境に合わせたり、特殊な素材で出来たゴーレムも存在している。


「いうなれば……グレイゴーレムってところかな?」


 土の塊だったゴーレムの素材は土である。

 赤茶けた粘土質の強い土で作られたゴーレムはクレイゴーレムという種類のゴーレムであった。


 どうしてツルハシを渡されのか、クレイゴーレムを見て納得した。

 ゴーレムは体が岩石や金属などのもので出来ていることがほとんどである。


 剣などの斬撃で倒せないこともないが、効果は薄い。

 斬撃で倒そうと思えばやはり高い実力が必要となるのだ。


 その点でツルハシは相手を破壊する力が強い。

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