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伝説級モンスターを育てて世界の滅亡を防ぎます〜モンスターが人型になれるなんて聞いてないんですけど!?  作者: 犬型大


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リッカの力4

「遊びでツルハシを選んだわけじゃないよ。さて、ここまでくれば察しのいい君ならわかると思うけど……あのゲートの攻略をしてもらう」


 オオイシはゲートを見る。

 青白く光るゲートは魔力が渦巻いている。


 今の所、モンスターが飛び出してくるようには見えない。


「期限は設けない。中のモンスターを全部倒して、ゲートを閉じるんだ」


「えっ?」


 中のモンスターを倒してゲートを閉じろ、というところはまだいい。

 覚醒者として未熟なキズクにそんなことさせるのかという驚きはあるものの、短期間で強くなるためには多少の無茶でもやるしか無い。


 それよりも驚いたのは期限は設けないというところだった。

 ゲートのモンスターやキズクの実力によっては時間がかかることもあるだろう。


 それでも三連休の間には終わるのだろうと思っていた。

 レイカは北形家に来る前にやっていた仕事を辞めて、北形ギルドの一員となっている。


 赤剣隊という一部隊の隊長をやっていて、今は出張していていないのだ。

 だから三連休にオオイシの指導を受けているという側面もある。


 期限を設けず、ということは三連休が過ぎてもゲートが攻略されていなかったらそのままゲート攻略を続けるということになる。

 学校もあるし、予定では三連休も過ぎたらレイカも帰ってくる。


 レイカはオオイシとゲート攻略することについて、キズクに何も言わなかった。


「早く攻略して帰らないとレイカさんに殺されちゃうかもね」


「え……」


 レイカはこうして遠出していることについて何も知らない。

 終わらなければ帰れない。


 となるとレイカの訓練をサボることになる。


「僕も殺されちゃうかもしれないけどね」


 オオイシはヘラヘラと笑っているけれど、キズクは急に汗が噴き出してきた。


「……いくぞ、リッカ、ノア」


 事情を話したとしてもレイカは止められないだろう。

 ゲートを攻略できなかったキズクが悪いなんて笑顔で言ってのけそうである。


 三連休中にゲート攻略を終わらせなければならない。

 そうしなければ殺される。


 命をかけたゲート攻略が始まったのだった。


「さてと、攻略できるかな? まあ攻略してもらわないと僕が殺されちゃいそうだしねぇ」


 オオイシはヘラヘラと笑う。

 

「まあでも期待してるよ。全く異なるタイプのモンスター二体と同時に契約できる……キズク君の才能は本当はどうなんだろうね? あとで調べておかなきゃ」


 面白い仕事が回ってきたものだとオオイシは思った。


「ただ封印ゲートの解放を許されるのだから……期待はされてるってことだよな。監視を頼むよ、カルラコンジ」


 カルラコンジがゲートの中に入っていく。


「サカモトさんはそろそろ帰ってきたかな? 頼んでたアイス忘れてなきゃいいな〜」


 オオイシは軽い足取りで洞窟を出ていく。


「報告しなきゃ……やること多いな」


 ーーーーー


「なんというか……荒野ってのかな?」


 ゲートの中は赤ちゃけた土の大地が広がっていた。

 空は雲がかかっていて薄暗いが、洞窟の中よりは明るく活動するのに問題はない。


 ただ空気感としてはあまり爽やかなものではない。


「地面は柔らかめだな」


 キズクはツルハシの先端で軽く地面をつつく。

 ツルハシの先が沈み込むように刺さるところから地面がやや粘土質の柔らかいもののようだ。


「ぷはぁ〜! ようやく話せる!」


 話せるモンスターというのはキズクでも見たことがなかった。

 それが一体どれほどの価値になるのか分からない。


 今はまだ何かを守るにはキズクも弱すぎる。

 だから人前でリッカとノアは話さないようにしている。


 特にオオイシはまだまだ信用できない。

 今のところ悪人だとは思っていないが、オオイシもテイマーであるのだし話せるモンスターに価値を見出して豹変する可能性だって否めない。


 でも話せるなら話したい。

 話すのを我慢するのはなかなかストレスが溜まるものであった。


「負担かけてごめんな。俺がもうちょい強くなるまで待ってくれ」


「ぬぅ……分かっておる」


 キズクに撫でられてノアは目を細める。

 ノアとてワガママを言いたいわけじゃない。


 リッカはともかく、ノアは現状狙われると逃げるしかない。

 自分たちを守るために力を隠しているのだということは理解している。


「とりあえずゲート攻略しちゃおう。母さんが帰ってくるまでに帰らなきゃ……」


「レイカは怖いからな」


「うん、レイカは怖い。優しいけど」


 ノアの言葉にリッカは頷いた。

 レイカの圧力を思い出すと、尻尾が勝手に丸まってしまいそうになる。


 ただ結構デカくて邪魔だと思うのにレイカがリッカを邪険に扱ったことはない。

 キズクには内緒なんて言いながらおやつをくれたりもするので、キズクの次には好きだった。


「だから早く帰るぞ! さっさと終わらせれば残りも休みになるかもしんないし」


 上手くやって連休が残ればお休みをもらえるという希望もある。

 頑張るつもりだけど、休みがもらえるのは何度回帰したって嬉しいことに変わりはない。


 ゲート攻略だって別に逃げたらダメとも言われていない。

 危なそうなら一度撤退したっていいのである。

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