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伝説級モンスターを育てて世界の滅亡を防ぎます〜モンスターが人型になれるなんて聞いてないんですけど!?  作者: 犬型大


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リッカの力3

「お水と……軽い軽食でもどうだい?」


 カルラコンジが持ってきたのは山のふもとに置いてきたキズクたちの荷物であった。

 置いていってどうするつもりなのか不思議だったが、登山の負担を少しでも軽くしてくれたようである。


 キズクはオオイシから水筒とボウルを受け取った。

 自分で飲むよりまずはリッカとノア。


 ボウルに水を入れてやると飲み始める。

 こうしたところもリッカもノアに好かれる要因なのかもしれないな、とオオイシは見ていた。


 適当なところに腰を下ろしてサカモト特製のサンドイッチを食べる。

 運転、戦闘、料理まで万能爺さんだなとキズクは感心してしまう。


「さて、覚醒者やモンスターの成長についても話したのは別に単なる知識の確認だけじゃない」


「教えてもらったら実践……ってことですか?」


「うーん、察しがいいのは楽でいいね」


 遊びに来たのではないのなら理由があってここに来ている。

 というか、遊びに来たのではないのなら実質的な目的は限られるだろう。


 鍛錬か、モンスターと戦うか、それぐらいである。

 強くなるためにはモンスターと戦う必要があるという話をされたのだから、モンスターと戦うのだろうということは簡単に予想がついた。


「洞窟?」


 軽食を食べ終えてもう少し山の入っていく。

 すると洞窟があった。


「入っていいんですか?」


「大丈夫大丈夫」


 急に現れたようにポツンと入り口があって、中を覗いてみると下るように中に続いている。

 洞窟の入り口には黄色いテープの規制線が張られている。


 入るなってことだろうけど、オオイシは笑いながら規制線を切ってしまった。

 山の入り口にも立ち入り禁止の看板があった。


 意外とヤバいことしてるんじゃないかと思うのだが、オオイシは大丈夫しか言わない。

 オオイシはライトを取り出して中を照らしながら洞窟の中へと進む。


 テシテシと歩いてオオイシについていくカルラコンジの後ろ姿が可愛いなとキズクは思った。

 そのまま五分ぐらい洞窟の中を歩いた。


 下がるにつれて洞窟の中は少し広くなったが、どこからか水が染み出しているのかちょっと湿度があってあまり空気感としてはいいものではない。


「なんだ……あれ? 黒い箱……?」


 洞窟の奥に巨大な黒い箱のようなものが見えて、キズクは目を細める。

 暗い洞窟の中では見間違いかと思った。


 でもオオイシがしっかりとライトで照らしても黒い箱は黒い箱だった。


「あれはなんですか?」


 あんなもの見たことがない。

 リッカも黒い箱のことを大きな目でじっと見つめている。


「あれはゲートだよ」


「ゲート!?」


 キズクは改めて黒い箱を見る。

 知っているゲートは青白い光を放っているもので、黒い箱型のゲートなんて見たことも聞いたこともなかった。


「まあ驚くのも無理はないよね。あれはゲートだけど、封印されたゲートなんだ」


「封印されたゲート……」


「えーと……あったあった」


 オオイシが懐から一枚の紙を取り出す。

 手のひらほどの大きさがある縦長の紙は赤いインクで不思議な模様が描いてある。


 何かお札みたいだなとキズクは感じた。


「ほいっ!」


 オオイシがお札に魔力を込めると赤い模様がうっすらと光り出す。

 ピッとお札を投げ飛ばすと黒い箱に張り付いた。


「おっ?」


「にょわ!?」


 黒い箱にヒビが入る。

 ビキビキと音を立ててヒビが広がっていって、黒い箱が弾けるように壊れてしまう。


 ノアも驚いて思わず声を漏らしてしまった。


「ゲートが現れた……」


 黒い箱が壊れた後に残ったのは青白い光を放つ、キズクもよく知っているゲートであった。


「リッカ?」


 リッカがキズクの服をくわえてゲートの方に引っ張る。

 ゲートに行こうと言っているかのようだ。


「リッカはやる気のようだね。ただちょっと待ってくれ。はい、これ」


「えと……これは?」


 オオイシから手渡されたのはツルハシだった。

 立派なツルハシはズシリと重い。


「武器無いだろ?」


「……まあそうですけど」


 ブラックアントアギトはサイクロプスのゲートに置き去りにされてしまった。

 グレイプニルで飛ばして防がれた後にどこに落ちてしまったようで、ギリギリキズクだけ出たものだからゲートの中に置き去りになったブラックアントアギトはゲートと一緒に消滅した。


 黒くてカッコいい剣だったのに失うのは早かった。

 ろくに使ってもなかったから結構惜しい感じはある。


 ただゲートに巻き込まれて消失してしまったら、もう取り戻しようも無い。

 だからキズクはせっかく手に入れた武器も今はないのである。


 武器についてもどうするのかと思っていた。

 まさかこれを武器に? という視線をオオイシに向けるとオオイシは満面の笑みで親指を立てる。


「これはね、由緒あるツルハシなんだよ。ちゃんと戦えるように魔力も含まれてるでしょ?」


 覚醒者の武器はたとえ最低品質でもうっすらと魔力を帯びている。

 そうでないとモンスターにダメージを与えるのが難しいのだ。


 逆に魔力を帯びていれば、それは覚醒者が使う装備品であるということになる。

 由緒があるかは知らないが、武器として使えることは間違いない。


「……ふふ、察しが良くて助かるよ」


 キズクは具合を確かめるようにツルハシを振る。

 剣とは違うがわがままを言ったところで剣が出てくるとは思えない。


 ならばツルハシで戦うのだと納得した方が話が早い。

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