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伝説級モンスターを育てて世界の滅亡を防ぎます〜モンスターが人型になれるなんて聞いてないんですけど!?  作者: 犬型大


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リッカの力1

「すいませんね、運転してもらって」


「いえ、これが私の仕事ですから」


 サカモトの運転で隣の県までやってきた。

 車に乗っていたのはキズクとリッカ、ノアに加えてオオイシもいた。


 土日と祝日で三連休となる最初の休みの日の朝早くから出発して、もう昼時になっている。

 サカモトは長時間運転してくれたものの、疲れた様子もなくニッコリとしていた。


 車が止まったのは名前も知らないような山のふもとである。

 町からも離れていて、特別観光地でもない。


 登山道ですらなく道端に車を止めたけれど、山に車ですれ違った車は数えるぐらいしかなかったので大きな迷惑にもならない。


「ここで何するんですか?」


 遊びに来たのではないことは分かっている。

 ただはっきりとした目的も告げられていない。


「まずは山の頂上を目指そう。ついでに授業のおさらいだ」


 これまでオオイシから学んだことは知識だった。

 モンスターやテイマーとしてのことを教えてくれていた。


 レイカによる鍛錬はハードなので、オオイシの授業は割と癒しの時間みたいなところはある。

 テイマーとしての知識も子供の頃に少し学んだきりだった。


 回帰前はカナトに手を出されないように興味がないと目を背け続けていたのだ。


「それでは私は」


「えっ……」


 サカモトはまた車に乗ってどこかに走り去ってしまう。

 人里離れた山に置き去りにされてしまった。


「ほら、山登るよ」


 登山道とまでいかないけれど獣道のような人が登れそうな道はあった。

 ただし立ち入り禁止と書かれた看板が立てられている。

 

 いいのかと思うが、オオイシは普通に山の中に入っていくのでキズクもオオイシの後を追いかけていく。


「歴史の勉強はいらないだろう。覚醒者はモンスターと契約を交わし、一緒に戦う友となることができる」


 木が鬱蒼と茂る獣道を登っていく。

 斜面はまだ緩やかでキツいこともない。


「どうしてモンスターと契約する?」


「一緒に戦ってくれるだけじゃなくモンスターから力を得るためです」


「そうだね」


 オオイシの問いにキズクは答える。

 モンスターとの契約で得られるのはモンスターだけではない。


 モンスターからの魔力を受けられる。

 これによってより一層力が強化されるのだ。


 だから北形家を始めとしてテイマーではない人は、モンスターの力を得るテイマーをよく思わないのである。

 だが羨ましいのなら、自分もモンスターと契約すればいいのにとキズクは思う。


 変な意地なんか命のかかる戦いの前では邪魔なのだ。

 契約スキルを得られるということあるけれど、それはごく一部のモンスターとごく一部の才能がある覚醒者が契約した時に得られるものである。


 結局、一緒に戦ってくれる仲間と力を得られるから契約する。

 言ってしまえば強くなるためと言い換えてもいい。


「じゃあモンスターの方はどうして人と契約すると思う?」


「……モンスターが?」


 そんなこと考えたことなかったなとキズクは思った。

 横を歩くリッカを見る。


 ノアを頭に乗せて歩くリッカは、ゆったりと尻尾を揺らしながらキズクにくっつくようにしている。

 人がモンスターと契約する利益はある。


 だがモンスターから見た時に人と契約する利益はなんなのか。

 見つめるキズクの視線に気がついて、リッカが笑顔を浮かべて尻尾を激しく振り始める。


 リッカを見ていると全くの無条件で好いてくれているからと答えてしまいそうになる。


「モンスターにも何か……利益がある?」


「その通りだけど……やや答えが大きすぎるかな。それじゃあ正解はあげられないよ」


 とりあえず答えてみたけれど、ちゃんとした答えになっていないことはキズクも理解している。


「答えは強くなるためさ」


「強く……」


「まあこの答えが本当に正しいかは……モンスターに聞いてみないと分からないけどね。もっと色々な理由があるかもしれないけれど、これも答えの一つだ」


「モンスターは人と契約すると強くなるんですか?」


 本当にそうなのか、と疑問に思ってしまう。


「契約したからと即時強くなるわけじゃないよ」


 オオイシは顔に当たりそうな枝を屈んで避ける。


「覚醒者はどうやって強くなる?」


「体鍛えたり技術を身につけたり……あとはモンスターを倒したり」


 少し斜面の傾斜がキツくなってきた。


「うん、そうだね。君が今レイカさんとやっている鍛錬は覚醒者じゃなくても強くなるようなものだね」


 鍛錬や剣の技術を身につけることも強くなる方法ではある。

 しかしそれはたとえ覚醒者でない一般人でも強くなれる一般的な鍛錬である。


「覚醒者が覚醒者として強くなる方法はモンスターを倒すことだ」


 覚醒者としての能力を伸ばすためにはモンスターを倒すしかない。


「理由は分かるかい?」


「ええと……モンスターを倒すと誰のものでもない経験値魔力が放出されて、それを吸収するから」


「よく覚えてるね」


 モンスターを倒すと魔力が放出される。

 目には見えないものであるが、空中にある魔力などと違った性質を持っていて近くにいるものに吸収される。


 昔はモンスターを倒すと強くなることをゲームなんかになぞらえて経験値と呼んでいたが、研究によってモンスターから魔力が放出されて人はそれを吸収しているが判明した。

 その時の名残から放出された魔力を経験値魔力と呼ぶのである。

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