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伝説級モンスターを育てて世界の滅亡を防ぎます〜モンスターが人型になれるなんて聞いてないんですけど!?  作者: 犬型大


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生活の変化3

「俺は君にモンスターについて教えるように頼まれてね」


「もちろん北形家でもキズクを守ろう。約束だからな。自分で力をつけて守れるようにすることもまた守るということになる」


 守るとはただ守ってやるだけではない。

 力をつけてやることもまた守るということである。


 毛嫌いしているはずのテイマーを引き入れるなんて、本気なのだなとキズクは感じた。


「レイカの教えを受けながら大変かもしれないが、どうだ?」


「もちろん受けさせてください」


 タダで先生をつけてくれるというのなら断るつもりはない。

 今はまだ余裕がある。


 キズクそのものにも、あるいは世界の情勢的にも。

 もっと前に戻れたならもっと早くに強くなれたかもしれない。


 ただそんなものは想像したところで、叶いようもないことは理解している。

 今からでもやれることをやる。


 必死になって食らいついていくしかないのだ。

 大変でもやってやる。


 目の前に転がり込んできたチャンスをみすみす逃すなんてことはしない。


「強くなりたい。そのためなら頑張るよ!」


 キズクの決意は固い。

 未来の流れだけではない。


 キズクの生活も、キズク自身も変わっていっているのであった。


 ーーーーー


 地獄が始まった。

 朝早く起きて走り込みやトレーニングをして、学校に行って授業を受けて、帰ってきてからレイカの指導を受ける。


 レイカの指導は日によってオオイシの指導に代わる。

 厳しいと自分自身でレイカは言っていたけれど、嘘じゃなかった。


 これまで覚醒者としてはレイカとの関係が微妙だった。

 回帰前は強くなれるわけがないと思わされ、思い込んでいた。


 だから覚醒者としてやっていくつもりはなかった。

 特にリッカを失った後は覚醒者なんて考えられなかったのである。


 泉ギルドで働きはしていたが必要に駆られてのことであるし、覚醒者として戦っていたわけでもない。

 覚醒者として多少活動していたことも、自己流でトレーニングしていたこともレイカは知らないのである。


 回帰前の経験があることも知らない。

 つまりレイカにとってキズクは素人なのだ。


 多くの人はアカデミーに入って覚醒者としての活動や鍛錬を始める。

 アカデミーはいわゆる高校相当に当たるところで、そう考えるとキズクが今から鍛え始めることは遅くない。


 けれども覚醒者家系の大きな家は早い段階から覚醒者としての鍛錬を始めている。

 北形家も同じで、レオンなんかは小学校を卒業した時にはもう剣を振り始めていたのだ。


「もう一本!」


「ハァ……ハァ……ふぅっ!」


 北形家の中でキズクが認められるためにはちょっと強いぐらいではいけない。

 他にもいる北形家の子や、北形家が抱えている若い覚醒者たちにも負けないような力を示さねばならないのである。


 まずは基礎的な体づくり。

 自主的な走り込みで体力はついてきていたが、レイカがキズクに課すのは優しいランニングなどではない。


 両手両足に重りをつけて走り込みをさせられる。

 北形家の広い敷地を何度もぐるぐると走らされる。


 手を抜くと周回数が増やされるので常に全力でなければいけない。


「頑張れ〜!」


「ご主人様、私も一緒に走るからね!」


「くっ……お前らは……楽でいいよな!」


 汗だくになって走るキズクの横にはリッカとノアもいる。

 一緒にいてくれることはいいけれど、ノアは飛べるしリッカは多少走ったぐらいじゃびくともしない体力がある。


 手助けすることは許されていないのでひたすら応援するだけだ。


「ふっ、飛んでるのも楽ではないのだぞ?」


「お前、俺の肩に留まってるだろ!」


 楽ではないと言いながらノアはキズクの肩で休んでいる。

 飛んですらいない。


「はい! 十分休憩したら素振りよ」


「十分だけかぁ……」


 十分の休憩では息を整えたら終わりぐらいである。

 しかしそれでもやると決めたのだからやるしかない。


「ほらよ。スポドリ」


「ありがとうございます……」


 鍛錬の様子を見ていたオオイシが、キズクに用意してあったスポーツドリンクのボトルを差し出す。


「魔獣との関係は良さそうだな」


「ええ、仲良いですよ」


 キズクとリッカやノアの距離は近い。

 いまだに人前で話さないようにはしているけれど、話さなくともキズクのそばを離れない。


「まあモンスターとの絆は大事だ。その点では良い感じだ」


 オオイシは親指を立てる。

 軽そうな人だなと思っていたけれど、実際割と軽めの人である。


「しかし全く別タイプのモンスターなのに両方とも親和性が高そうだな」


 オオイシはアゴに手を当てて首を傾げる。


「モンスターの親和性が低いと聞いていたのだが……そんなこともないようだな」


「相性がたまたま良かったのかもしれません」


 キズクは笑って答える。

 モンスターとの親和性が低い。


 このことはキズクが家を追い出されてしまうことの一つの理由にもなっていた。

 しかし、それにもまた秘密があることを今のキズクは知っている。


「まあリッカもノアもモンスターにしては知的で性格も良さそうだもんな」


 オオイシはリッカの目を覗き込む。

 相手が理性的な存在かどうかは目を見ればある程度分かる。


 リッカは非常に理性的で澄んだ目をしていた。

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