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伝説級モンスターを育てて世界の滅亡を防ぎます〜モンスターが人型になれるなんて聞いてないんですけど!?  作者: 犬型大


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部活対抗戦5

「これならいけるかもな」


 レオンはチラリと保護魔法の状態を確認する。

 いつの間にかリュウセイの方の耐久度がシホよりも少なくなっている。


 このまま押していけば勝つこともできそうだ。


「ふぅむ、どうだろうな?」


「そう上手くもいかなそうだけどな……」


 みんな、シホがそのまま勝てそうだと期待し始めた。

 しかしキズクは果たしてそう上手くいくか疑問だった。


 ここまでの戦いでリュウセイは確かにちゃんと本気で戦っていただろう。

 しかし全力ではなかった。


 笑うような余裕があったし、シホにも勝てるだろうと思って戦っていたはずだ。

 余裕がなくなった今、本気の全力を出してくる。


 キズクは入試で本気で戦った。

 しかしリッカとノアはいなかったしグレイプニルを使わない、全力の戦いではなかった。


「くっ……月影刀法第七式!」


 このままでは押し切られる。

 そう思ったリュウセイはシホとの戦いを一撃で終わらせようと考えた。


 リュウセイの魔力が刀に集まっていく。

 集中が高まり、足にかじりつくプララムの痛みも遠くに離れていく。


「上杉流第五剣・大龍開口」


 リュウセイの最高の攻撃が来る。

 ならばとシホも今の自分が繰り出せる一番強い剣術を繰り出す。


「なに……」


 数回互いの攻撃が衝突し、魔力が散る。

 次の攻撃も防いでくるだろう。


 そう思ったリュウセイの想定を超えた行動をシホはとった。


「保護魔法が……解けた」


「同時解除、引き分け!」


 保護魔法の耐久度はシホとリュウセイ同時に無くなった。


「相打ち……何でそんな」


 シホはリュウセイの攻撃を喰らいながら、自分の攻撃をリュウセイに喰らわせた。

 いわゆる相打ちを狙ったのである。


 シホの方が耐久度も残っていたけれど、まともに喰らったので互いに保護魔法が解けてしまった。


「私の後には強い人いるから」


 結果としてみればリュウセイは三人破ったことになる。

 五人中三人倒したのなら十分すぎる働きだ。


 加えて第二テイマー部でも最大戦力と見られているシホを脱落させたのならもう勝ちは決まったも同然。

 そのはずなのに、シホは穏やかに笑っていた。


「プララム、おいで」


 リュウセイの足から離れてプララムがシホの方まで移動する。


「と、とりあえずシホを倒したぞ!」


 正直タケダはリュウセイには引き分けではなく、シホを倒すところまで期待していた。

 だがトミナガなんかを見れば残りの奴の実力も知れるだろうとタケダはもう勝った気でいる。


「次は頼むぞ。何なら全部勝っちゃってもいいから」


「ふん、任せておけ」


 ニヤつくタケダの顔はムカつく。

 しかしそんな余裕の表情もすぐに青くなってしまった。


 副将として出てきたのはレオンである。

 残り四人と残り二人。


 普通に考えれば勝てるはずもない。

 しかし勝ち抜き戦なのだから、リュウセイがやったように一人で何人も勝ち抜けば勝負は分からない。


 レオンは花菱会の次鋒、中堅を撃破した。

 副将同士の戦いもレオンの方が実力はありそうだった。


 しかし保護魔法の耐久度は回復させずに勝ち抜きで戦っていくというルールのために、レオンの保護魔法が先に解除されてしまって負けとなってしまったのである。

 だがレオンの奮闘のおかげで四対ニがニ対一になった。


 相手の副将も半分ほど削れているので実質的には相手もほぼ一人のようなものである。


「劇的な演出も必要だよな」


 キズクの肩にノアはいるけれど、ステージ上にリッカはいない。

 これはわざとだ。


 懐から魔獣移転魔法陣が描かれた紙を取り出す。


「チッ! あいつも魔獣を……」


 プララムのおかげで小さい魔獣でも油断ならないとタケダたちも思い知った。

 キズクがもう一体魔獣を呼び出そうとしているのを見て、タケダは盛大に舌打ちする。


「な、なんだよあれ……」


 こういう時もリッカの見た目は役に立つ。

 浮かぶ魔法陣から大きなオオカミが飛び出してきて、周りがざわつく。


 普段の大型犬のサイズではなく、フルサイズのリッカはかなりの威圧感がある。

 実際はとんでもないドヤ顔を披露しているのだけど、周りから見るとキリリとしたお顔に見えていることだろう。


 副将の子が怯えた表情でタケダの方を振り返る。

 本当にこんなのと戦うんですかと訴えかけている。


「あ、あんなの見掛け倒しだ!」


 タケダは必死に鼓舞する言葉を投げかけるが、頭を低く下げて唸るリッカに副将の子は完全に怯えてしまっている。


「チッ……こりゃ終わりだな」


 副将の子だけではない。

 大将となっている子も顔がひきつっている。


 カネシロは舌打ちすると席を立った。

 戦う前から雰囲気に飲まれては勝てるものも勝てやしない。


 試合を見るまでもなく、花菱会は負ける。


「せっかく金出して特待生動かしてやったのに、役立たずめ」


 会場を立ち去るカネシロの後ろで悲鳴が聞こえた。

 試合が始まって、リッカが副将の子に襲いかかったのだ。


 軽く咥えられてステージの外に投げ出された副将の子は情けなく気絶してしまった。

 青い顔をした大将の子もキズクとリッカとノアの連携の前に、ほとんど抵抗することもできずに倒されてしまったのだった。

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