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伝説級モンスターを育てて世界の滅亡を防ぎます〜モンスターが人型になれるなんて聞いてないんですけど!?  作者: 犬型大


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部活対抗戦2

「き、緊張する……」


 トミナガは決して好戦的な性格ではない。

 部活対抗戦になんて出るような子ではないのだけど、ジャンケンで負けてしまったので出ることになった。


 戦う以上はトミナガも精一杯を尽くすつもりではある。

 ただトミナガは決して強いとは言えず、人数合わせ的な存在であることは否めない。


「まあ無理はするなよ?」


 一勝でももぎ取ってくれれば嬉しくはある。

 けれども大切なのは無理をしないことだ。


 無理をするのは当事者であるキズクとシホ、それに勝てそうな確率も高いレオンでいい。


「先鋒、前へ」


 審判を務める先生がステージに上がる。

 一応互いに関わりのない先生となっているが、どこまで本当かは分からない。


 とりあえず一年生の授業を受け持っている先生ではなさそうだ。


「……強そうだな」


 出てきたのは鋭い目をした背の高い男子だった。

 キズクも見たことがない男子で、手には一本の刀を持っている。


 まとう雰囲気はかなり鋭く、強そうな雰囲気がある。

 見掛け倒しということもあるけれど、見た目の印象というのは意外と馬鹿にできない。


柳竜星ヤナギリュウセイだ」


「ヤナギリュウセイ……?」


「知っておるのか?」


 キズクの肩に止まったノアがこっそりと話しかける。

 ヤナギリュウセイという名前を聞いて、何か知っていそうな顔をしたから気になった。


「独眼竜……ヤナギリュウセイ……」


「どくがんりゅー?」


 回帰前のかなり後の時まで残っていた覚醒者の一人に独眼竜と呼ばれる男がいた。

 その男は左目のあたりをモンスターにやられて布で覆っていたために、歴史上の人物になぞらえて独眼竜と呼ばれたのだ。


 ただのあだ名というわけではない。

 左目が見えていないから独眼だとつけられてもおかしくないが、それだけで竜と呼ぶのはおこがましい。


 リュウセイは竜と呼ばれるのにふさわしいような実力があった。

 とんでもない刀の使い手で、その名声はキズクにも及ぶほどだったのだ。


 人付き合いが良い方ではなく、竜というよりは一匹狼器質だったとうっすら記憶している。

 リュウセイがどんな人だったのかまでは知らないが、リュウセイが回帰前について相当な腕前の持ち主だったことは確かである。


 まさか同い年だなんて思いもしなかったし、こんなところで出会うとは想像もしていなかった。


「なんで……こんなところに?」


 回帰前で活躍していたやつはだいたい若い頃も強い奴が多かった。

 おそらくリュウセイも強いはずだ。


 だが入試でリュウセイの姿を見たことはない。

 見た目の雰囲気では適当に手を抜いてやっているような性格には見えない。


「彼は特待生かもね」


「特待生?」


 キズクのつぶやきを聞いたソウが口を挟んだ。


「アカデミーにも推薦枠の特待生入学があるんだ」


 キズクたちは入試を乗り越えてアカデミーに入ってきたが、特定の要件を満たせば推薦入学として特待生になることもできる。

 特定の要件とはすでに覚醒者として活躍しているとか、そんなものである。


 仮にリュウセイが特待生なのだとしたら、もうすでに実力は一般の生徒よりも飛び抜けている可能性が大きい。


「しかしおかしいな」


「おかしい?」


「正直言って、特待生ならタケダのところになんて行く必要はないのに……だけどこれで廃部までかけた理由が分かったよ」


 タケダの部活は多くある部活の中で大きな勢力を持っているとはいえない。

 だからこそシホを引き入れたいような思惑もあった。


 最初こそ部活対抗戦を渋るような感じだったのに、急に乗り気になったのはそうした理由だったのかとソウは苦い顔をする。


「もしかしたら……誰かが手を貸してるのかもしれないな」


「……かもしれませんね」


 廃部をかけた部活対抗戦になったことといい、リュウセイの存在といい、怪しい点が多い。


「あいつは政治家タイプじゃない。こんなふうに根回ししたり、他から人を連れてきたりなんてしないはずだ」


 第二テイマー部と花菱会の部活対抗戦に誰かが介入している。


「……誰がこんなことしたのか分かりますか?」


「さあね。でも心当たりはあるよ」


「誰ですか?」


「タケダのところはともかくうちが廃部になって得するところなんて限られるからね」


 タケダに手を貸して得する人はそんなに多くない。

 むしろ多くある剣術家系の部活が減ればいいと考える人の方がいるだろう。


 逆に第二テイマー部が無くなって得するところはどこだろうか。


「第一テイマー部だ」


 ソウは観客席に目を向けた。

 同じテイマー部なのに、タケダたちに近い席にいるカネシロの姿が目に入った。


 腕を組んで座り、ニヤニヤとした顔をしている。

 その態度にも怪しさがある。


「あいつならそういうことやりそうだしな」


 カネシロは大物ではない。

 むしろ小物である。


 ただその分小賢しく動く。

 顔も広くて、特待生へのツテもカネシロならばあるのかもしれないとソウは思った。


 ただ仮に助っ人だとしても非難できるものではない。

 レオンも元々第二テイマー部ではなく助っ人的に所属してもらったのでリュウセイと大きく変わりがないのである。

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