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伝説級モンスターを育てて世界の滅亡を防ぎます〜モンスターが人型になれるなんて聞いてないんですけど!?  作者: 犬型大


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テイマーの凄さ1

「じゃあ確認するぞ。俺が勝ったらテイマーになってもらうからな?」


「うん。その代わり、本気でね?」


「分かってるよ」


「本気じゃなかったら……」


「なかったら……?」


「二度と口聞かない」


「……それは困るな」


 キズクは苦笑いを浮かべる。


「あの子は誰? キタカタ君の恋人?」


「そんな甘いじゃなさそうだけどね。なんでも広い場所が必要なんだってさ」


 コボルトゲートでキズクはシホと本気で戦約束をした。

 あの時はゲート前だったので後でということになっていた。


 ただ後でというが、戦うのにふさわしい場所が必要だ。

 ふさわしいといっても格式などの意味ではない。


 外で戦えばいいというわけでもないだろう。

 シホはそれでもいいと言いそうだけど、キズクとしては目立つのは避けたい。


 それにアカデミーのどこでも戦っていいわけじゃない。

 そこら辺で剣を抜いて戦えば、最悪退学にもなる可能性がある。


 一応そうした場所もあるので予約でも借りようと思っていたのだけど、どうしたらいいのか分からなくてムギに聞いてみたらテイマー部の訓練室を使えばいいと言われた。

 予約する必要もなく、広くて丈夫で人目につかない。


 ということで第二テイマー部の訓練室をお借りした。

 放課後に第二テイマー部でキズクとシホは手合わせをする。


 万が一事故でもあった場合に備えてムギが審判役を買って出てくれた。

 ただ放課後ともなると他にも部員がいる。


 ソウを始めとしたテイマー部の部員たちも見学しに来ていた。

 あまり見られたくはないが、先輩たち相手に来るなともいえなかった。


「リッカとノアも一緒でいいんだよな?」


「もちろん、それがあなたの本気なら」


「それじゃあ安全装置起動させるよ?」


「あっ、お願いします」


 本気の手合わせで手加減することは難しい。

 加えて武器も本番に近く、金属製の切れる武器を使えば怪我してしまう可能性の大きいと言える。


 医療体制もアカデミーでは整っているけれど、そもそも怪我をしないことの方が大切だ。

 怪我をしないようにしつつ実戦的な経験も積みたい。


 そんな時に使われるのが決闘保護システムである。

 魔法を機械によって再現したもので、武器あるいは人体を魔法で保護することができる。


 保護された武器で体の保護の魔法を攻撃すると耐久度が減り、耐久度がなくなると負けになる。

 元々は人工的な魔法による一般人の保護を目的としていた技術だが、今はこうしたことにも利用されているのだ。


 ムギが壁に設置されたパネルを操作する。

 すると弱い耳鳴りのような音が聞こえてきて、体が魔力に包まれていく。


 壁のパネルにそれぞれの保護魔法の耐久度が表示されている。

 ちなみにテイマー部にあるものは特別製で魔獣も保護が受けられる。


「それじゃあ、始め!」


「リッカ、ノア、いくぞ!」


 ムギの合図と共にキズクとリッカは二手に分かれて動く。

 ノアはキリッとした顔をしてキズクの肩に止まっている。


 まずは軽く当たる。

 キズクの剣をシホが受け、シホの剣をキズクが受ける。


 入学テストの時に戦ってからさほど時間も経っていない。

 そんなに実力が急に伸びるわけもないが、キズクだって遊んでいたわけじゃない。


 数回剣を合わせる。

 あわよくば倒すぐらいのつもりはあったけれど、シホは冷静にキズクの攻撃を防ぐ。


「ガアッ!」


 キズクとシホが戦っている間に、リッカは後ろに回り込んでいた。


「くっ……」


 リッカが鋭い爪を容赦なく振り下ろす。

 魔獣も加わるということは単純に考えて戦力が二倍になるということである。


 連携を取り合い戦えば二倍以上の効果を発揮することもできる。

 キズクはリッカの攻撃に合わせて剣を振る。


 挟撃されるような形になったシホだが、回避と防御を巧みに使い分けて攻撃をさばく。

 キズク一人で戦うのに比べてシホの余裕はなさそうであるものの、ギリギリという感じもない。


「流石だな。じゃあ……もう一つ増やそうか」


 戦いが続くほどにシホはキズクとリッカの対応に慣れて余裕ができ始めていた。

 つい先日レオンが才能に嫉妬していたが、本物の天才はやはりシホのような人のことを指すとしか言いようがない。


 キズクも少し羨ましく思ってしまう。

 だがシホの才能だって何もせずに輝くものではない。


 シホも努力を重ねて、才能を磨き上げているのだ。

 怠惰なものがシホと同じ才能を持っていたとしても、きっとシホのように才能を発揮する事は叶わない。


 しかしキズクにもまだ切っていないカードがある。


「なに……」


 キズクの肩から飛び出したノアがまっすぐシホの顔面に向かう。

 まるで弾丸のように飛んできたノアをシホは顔を傾けてかわした。


「何もできないと思ったか? ノアもちゃんと戦力だよ」


 小さいからというだけで人は相手を侮りがちになる。

 けれどもキズクはノアが戦えないだのと思ったことは一度もない。


 確かに大型のモンスターや硬いモンスターに対してノアは無力になりがちだ。

 ただ狙える柔らかい場所があるモンスターは多い。


 むしろ全く狙えないモンスターの方が少ないだろう。

 ノアがクチバシを突き出して飛んでくれば人にとっては意外と脅威になる。


 当たれば痛いし、当たらなくともシホの注意はさらに散漫になっていく。

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