表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伝説級モンスターを育てて世界の滅亡を防ぎます〜モンスターが人型になれるなんて聞いてないんですけど!?  作者: 犬型大


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

111/128

コボルトゲート異常事態2

「じゃあやる?」


「……それはちょっと。ここはゲートの前だしな。アカデミーに戻ったらやろうぜ」


「……分かった」


 シホはちょっと不満そう。

 ただゲートの前、みんなの前で戦い始めるのは状況的にも良くはない。


 キズクもシホも多少は疲れているので万全とも言い難い。


「それと俺が勝ったら一個聞いてもらいお願いがある」


「……えっちなのはダメだよ?」


「そんなことお願いするかよ!」


 シホがいうと冗談なのか本気なのか分からない。


「そう、ならなに?」


「俺が勝ったらウエスギもモンスターと契約してほしい」


「……私にテイマーになれって言ってるの?」


「その通りだ」


 この先魔獣の力は必要になっていく。

 ただ必要になったからと強い魔獣と契約できるものでもない。


 強くなる可能性のある人は積極的にテイマーとして引き込んでいきたいところである。

 シホは現段階で強い。


 魔獣の力を味方につければ回帰前よりも活躍できるかもしれない。


「まあ嫌だっていうなら無理にとは……」


「いいよ」


「いいのか?」


「うん、私は別にテイマーに偏見ないし」


 シホは思いの外あっさりと頷いた。

 上杉家も北形家と同じような剣術名家である。


 レオンのようにテイマーに対して偏見や反感を抱いていてもおかしくないのだけど、シホはそこら辺も淡白であった。

 剣術名家の出ではあるので積極的にテイマーになろうとは思わないが、何が何でも拒否するというところまで否定的な考えを持っていない。


 勝てばいい。

 負けてもテイマーになることに抵抗はない。


 それで戦ってくれるならとシホは思っていた。


「……ははっ!」


「どうしたの?」


 急に笑い出したキズクをシホは不思議そうな顔で見る。


「いや、話してみれば簡単だったなって」


 キズクの方も少し臆病になっていたのかもしれない。

 嫌われている、距離を置かれているかもしれないと時間に任せてシホと向き合うことはしなかった。


 たまたま二人きりの状況だったので勇気を出してみれば、解決の方法は思っていたよりも単純なものだった。

 シホが抱えていた事情も偏見や反感からくるものではなく、シホなりのプライドによるものである。


 少し話してみればなんてことはなかった。


「ひとまず目の前のゲート攻略からだ。といってもあとはボス倒して帰るだけだがな」


「……うん」


 とりあえずシホとの関係改善はできそうだ。

 上手くいけばシホをテイマーにもできる。


 負けても関係が良くなるなら言うことはない。

 キズクはご機嫌でブラシを手にテントの中でリッカのブラッシングをして時間を過ごした。


 ーーーーー


「多くのゲートの場合、ボスモンスターというものがゲートの中にいる。通常出てくるモンスターのリーダーや一つ上の強さの存在、あるいは通常のモンスターの敵対的な存在や捕食者的な存在がボスであることがほとんどだ」


 後発組の班も帰ってきて、昼食を食べて少し休憩。

 それからボス攻略のために再びゲートに入った。


 ボスは何体もいるものではない。

 二回の攻略でコボルトもだいぶ倒されて数も減っていることもあって、一クラス分全員がゲートに入ってきている。


「ボスの攻略も君たちでやってもらう」


 ヤシマはボスモンスターの討伐も生徒に任せるつもりだった。


「これまでの動きを見てボス討伐を任せる生徒を選抜する。ウエスギシホ、北嶋邦弘キタジマクニヒロ結城恵ユウキメグミ、そしてキタカタキズク。この四人で挑んでもらう」


 ヤシマが四人の生徒を選び出した。

 コボルトとの戦いを見て冷静に動ける生徒を選抜したのである。


 キズクも選ばれた。

 特に活躍したような気はしないが、動きの冷静さが買われたのかもなと思った。


「リーダーはキタカタ、お前がやれ」


「俺……ですか?」


「そうだ。魔獣も参加させても構わない」


「私の活躍……がきた?」


 ヤシマの言葉にリッカが目を輝かせる。


「言われん限りはおとなしくしとれ」


 逆にノアは冷静である。


「自信がないか? ならば他の人に……」


「いえ、やります」


「そうか。他の者も異論はないな?」


「大丈夫です」


 真っ先に答えたのはシホだった。

 ちょっと前まで頑なだったのに急にどうしたのだとチトセが驚いた目をしている。


 これまでならキズクがリーダーだと聞けば、不満をあらわにしていたはずである。

 なのにあっさりと受け入れて、不満そうな顔をしていない。


「……なに?」


「んーん、まあその方がシホらしいかな」


 目を細めて見つめてくるチトセに対して、シホは不思議そうな顔をする。

 態度急変の理由は謎であるが、誰にでもツンとした態度のシホがキズクに対してはツンツンしすぎだ。


 クールと周りから言われるぐらいがシホらしい。

 チトセは友人の好ましい変化に笑顔を浮かべた。


「頑張ってね、ボス討伐」


「ああ、頑張るよ」


 変なの。

 そう思いながらもシホは特に聞き返すこともしなかった。


「まずはボスは見つけるところからだな」


 肝心のボスがいなければ戦うも何もない。

 キズクたちはゲートの中を歩き回ってボスを探し始めた。


「ふんふふーん」


 ボス戦は出番がありそう。

 リッカはやる気を見せてキビキビと歩いている。


 どうにも凶悪な顔をしていて可愛くないコボルトのおかげで、リッカの顔が意外と可愛いのではないかというみんなの意識の変化も生まれている。

 よく行動を見るとリッカの感情もわかりやすく、大きくて怖いモンスターという認識が大きな犬みたいになってきている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ