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伝説級モンスターを育てて世界の滅亡を防ぎます〜モンスターが人型になれるなんて聞いてないんですけど!?  作者: 犬型大


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ゲート攻略演習4

「僕の愛弟子は優秀だね」


「いつの間に俺が愛弟子になったんですか?」


「初めて会った時からさ」


「……光栄です」


「大人な対応するね」


 つまらないといった顔をしてオオイシはキズクの頬を指でつつく。


「オオイシせんせー、これどうしたらいいの?」


「おっと、呼ばれちゃった。他の班が完成するまでは待機だから休んでてよ」


 オオイシは他の生徒に呼ばれてキズクのところから離れていく。

 やはりこうした場でもオオイシは人気で、生徒たちにヘルプに呼ばれている。


 そしてヤシマはちょっと怖いのか、呼んでいる人はいない。

 良い人なんだけど、やはり厳しそうに見えることはキズクも否定できない。


 オオイシと並ぶと余計にそう見える。


「オオイシ先生と親しいのか?」


 テントをさっと完成させて他の班を待っていると、ケンゴがそーっとリッカに手を伸ばしながら話しかけてきた。

 リッカは無言で牙をムキッとして威嚇する。


 ケンゴは特に怯えた様子もないが、すぐに諦めて手を引っ込める。


「実は入学前にちょっとテイマーについて教えてもらってたんだ」


「へぇ、家庭教師ってやつか」


「そんなもん」


 オオイシも隠すつもりはないようなので、キズクもさらりと答える。

 隠す理由もないし、おかしな話ではないので堂々としていても大丈夫である。


「…………」


「シホちゃん、何見てるの?」


 することもないので持ってきたお菓子を食べてのんびりしているキズクのことを、シホは睨みつけるように見ていた。


「まぁた、彼のこと見てるんだ」


 シホの視線の先を辿って三隅千歳ミスミチトセはため息をついた。

 チトセはシホとアカデミーに入る前からの友達である。


 他人にあまり興味がない。

 それがチトセがシホに抱いているイメージだった。


 なのにシホはキズクに対しては珍しく感情をあらわにしている。


「……悔しくて」


「何が悔しいの?」


「あっちの方が先にテント張ったから」


 ちょっと期待して質問するが、返ってきた答えは予想外だった。

 シホはキズクをライバル視している。


 キズクが先にテントを用意してしまったことに対して、シホは悔しさを覚えているのだ。

 感情少なめなシホが感情を表すことをチトセとしては良いことだと思うのだけど、恋愛感情ならともかくライバル心はどうなのかと思ってしまうところはある。


「そんなとこまでライバル視することないんじゃないの?」


 シホは少し変わっている性格をしているとチトセは思う。

 キズクは優秀な方だと思うけど、ライバル視するような相手かどうか微妙なところだ。


「剣ではあなたが勝ったんでしょ? じゃあ別にいいじゃない」


 なんでライバル視することになったのかもちゃんと聞いている。

 むしろ勝った側が負けた側をライバル視するという不思議さがある。


「あの時の、ただの剣では私が勝った。でもそれだけだから」


「わっかんないなぁ。まあ早くテント立てよ。他のところにも負けちゃうよ」


「うん」


 ーーーーー


「マジでお前と一緒でよかったわ」


 テントを立てた後は食事を作った。

 晩御飯、そして次の日になって朝もテントを立てたのと同じ班で作ったのだけど、ここでもキズクの手際の良さが発揮された。


 アカデミーには食堂もあるし、まだ高校一年生ではちゃんとした家事をしたことがないという子もいる。

 外なので難しい料理をするわけではないが、簡単な料理でもちょっと失敗している班もあった。


 キズクはもちろん回帰前の経験があるので料理ぐらいなんてことはない。


「料理でも負けた……」


「料理はね……あんた、生粋のお嬢様だもんね」


 ちょっと失敗した班というのがシホとチトセのところだった。

 シホは上杉家の箱入りお嬢様である。


 料理なんてやったことはない。

 チトセも実は良いところの家の子であって、料理を普段からするわけじゃない。


 他の子もいたが、アワアワとしている間にちょっと失敗したのだ。


「それではゲートに入っていくぞ。まずは前半は一班から四班だ」


 朝食を食べて後片付けをし、いよいよゲートに入ることになった。

 教師は担任と副担任のヤシマとオオイシの二人に加えて、補助となる先生が二人の合計四人である。


 ゲートの中で一クラス全員を見るには少し手に余る。

 クラスを五人一組の班で分けて、四つの班ずつ、つまりクラスの半分ずつゲートに入る。


「ただこの班、雰囲気悪いよな」


「……否定できないな」


 キズクの班は一班。

 くじ引きによって班は決められたのだけど、ちょっと組み合わせが悪い。


 クラスの中でも仲が良いケンゴと一緒になったことは良かったのだけど、他のメンバーが問題なのである。


「そんな顔すんなよ、レオン」


「……ふん」


 まずはレオンだ。

 たまたまキズクと同じ班になったレオンは、相変わらずキズクに対して冷たい。


「他のやつにも態度悪いけどさ。お前には特別態度悪いよな。何したんだ?」


「まあ……ちょっとな」


 同じ苗字しているし親戚関係なことは周りももう分かっている。

 ただキズクとレオンの仲が良くないこともレオンの態度を見れば明らかだった。

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