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伝説級モンスターを育てて世界の滅亡を防ぎます〜モンスターが人型になれるなんて聞いてないんですけど!?  作者: 犬型大


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ゲート攻略演習2

「流石金があるアカデミーはすごいのぅ」


 アカデミーは当然生徒から集めた学費で成り立っているが、それ以外にもすでに卒業している覚醒者やギルドからも多くの寄付金を受け取っている。

 大きな敷地や建物、一般の高校にはないような特殊な機材や覚醒者用の装備、あるいはテイマー用のモンスターの管理など普通よりもはるかにかかる費用は寄付金で賄われている。


 それでいながらちゃんと生徒の負担も考えている。

 残念ながら今回向かうゲートはアカデミーから近いとは言えなかった。


 移動はバスで、一日走っても着かないぐらいだ。

 ただそのまま無理に目的地まで行くのではなく、ホテルに宿泊して次の日もバスで移動するという感じだった。


 ホテルもしっかりしたところでバスに長時間乗った疲労も癒すことができた。

 不便さをお金で解消していて、ノアも感心している。


「キズク、菓子いるか? リッカとノアも」


 前の座席のケンゴがキズクの方を振り返る。


「もらうよ、ありがとな」

 

 スティック状のお菓子を差し出してきたのでリッカとノアの分ももらう。


「にしたって……狭かないか?」


「どうしてもついてきたいっていうからしょうがないんだよ」


 大型魔獣用に魔獣移転魔法陣も使わせてもらえることにはなっていた。

 リッカなんかは寮にいてもらい、ゲートに着いたら呼び出すということもできた。


 だが、リッカは一緒に行くと聞かなかった。

 クンクンと悲しげに鳴かれてはキズクも抗えず、リッカもバスで一緒に行くことにしたのである。


 今リッカはできる限りサイズを小さくして、キズクの足元にミチっと収まっている。

 足元にゆとりのあるタイプのバスなのでなんとかなっているが、正直ギリギリであった。


 キズクはリッカにはそのまま、ノアには短く折ってお菓子をあげる。


「相変わらずご主人大好きだよな」


 ケンゴはジッとリッカのことを見る。

 授業中もリッカは静かにしている。


 だがキズクの常に後ろにいるし、時々先生の隙を見て顔を伸ばして頭を撫でてもらったりしているのをケンゴは知っていた。

 大人しく命令を聞くのに、そうやってちょっかいを出すところは微笑ましい。


 リッカがキズクのことを好きなのだということは見ていて分かる。

 たとえ狭くともキズクと一緒なら幸せなんだろう、とケンゴは目を細めた。


「俺もリッカのこと、好きだからな」


 キズクが手を伸ばしてリッカの頭を撫でる。

 ミミを広げてキズクの手を受け入れるリッカの尻尾はファサファサと振られている。


「マルチテイミングできるんだもんな」


 普通の人は一体ずつしか契約できない。

 強くなって強い魔獣と新しく契約していくことも常識であり、ケンゴもそのうち別の魔獣と再契約するのだろうと考えている。


 対してキズクは他の魔獣と契約するような気配がない。

 リッカも強そうなので、強い魔獣に乗り換えるという必要がないのかもしれないとケンゴは思う。


 マルチテイミングで複数の魔獣と契約できるなら尚更だ。


「そうだな。仮にもっといいモンスターがいたとしてもリッカとノアと契約を解除することはないよ」


「キズクゥ……」


 ノアはキラキラとした目でキズクのことを見上げている。


「もうすぐゲート近くに着くよ。みんなも降りる用意しておいてね」


 オオイシがバスの中に声をかける。

 一日ちょっとかかった長い移動もようやく終わりそうだ。


「これだけ食べちゃうからもらってくれよ」


「じゃあ遠慮なく」


 開けたお菓子を中途半端にするのものなんだが嫌で、ケンゴはキズクに箱を差し出す。

 何本かお菓子をもらって、リッカとノアと分け合いながらポリポリと食べる。


 キズクは出しているものもないのでただお菓子を食べて到着を待つ。

 バスがゆっくり止まり、キズクは窓の外を見る。


 キズクたちが乗るバスが止まったのは、高速道路のど真ん中であった。

 町から離れた場所で、左右には森が広がっている。


 体を傾けて前の方を見ると通行止めの看板があって、その奥に青白く光るゲートが見えていた。


「バスはここで止まるから前の座席から順に降りていって」


「ほら、リッカも行くぞ」


 ゾロゾロとバスから降りていく。


「なんもねえな……」


 ケンゴが周りを見てつぶやく。

 降りて周りを見てもバスの中から見ていた以上の発見はない。


 近くに町もない道のど真ん中である。


「初めて見るものもいるな? あれがゲートだ」


 通行止めの看板の前で並んでゲートを観察する。

 回帰前の記憶があるキズクにとっては見慣れたものだが、ちゃんと見るのは初めてだという人もいた。


「さてとおさらいだ。今見えてるのは青いゲートだな。一般的なブルーゲートになる。他にはなにがある? キタカタ……キズクの方」


「はい。ブルーゲートの他にはレッドゲートとブラックゲートが確認されています」


「その通りだな」


 ゲートの名前は文字通り色からきている。

 ブルーゲートが青い見た目をしたゲートで、レッドゲートは赤、ブラックゲートは黒である。


「レッドゲートはゲートの異変が起きた時にゲートの色そのものが変化して起こる場合が多い。そしてブラックゲートは……通常のゲートよりもはるかにモンスターが強い大災害のゲートといえる」


 回帰前キズクのことを消し飛ばそうとしたフライホエールも、ブラックゲートから出てきたモンスターであった。

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