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scene7 一期一会(大切な…大切な人達……)

【私のルーティン……】


 朝起るとカーテンと窓を開け、外の新鮮な空気と入れ替える。天気のいい日には日の光を浴びて大きく深呼吸。そしてクローゼットから服を選んでコーディネートをする。選んだ服に着替え、リビングに降りて『おはよう』と両親に挨拶をする。用意してある朝食を食べ、玄関に行き下駄箱からお気に入りのスニーカーを出して履く。立ち上がり玄関のノブに手を掛ける…………すると……急に胸の鼓動が速くなって呼吸が苦しく少なり……足の力が抜け、その場に蹲ってしまう……。


 座り込んでノブを握ったまま……そんな自分に失望し、肩を落として泣いていると……お母さんが傍に来て私の頭を優しく撫でながら言ってくれる。


「大丈夫よ、君子、今は……それでいいのよ」


 辛いけど、『自分が出来る事を今はやるだけだ』と思い、そんな日々を毎日のように繰り返していた。


 それでも少しずつ進めていた。その証拠に、外出する事はできないけど、特定の人とは会うことが出来るようになっていたからだ。


 それは、私の事を心配してくれて定期的に家に訪ねて来てくれていた『千草保育園』で一番お世話になった管理栄養士の美香先生だ。


 今も1週間に2~3回訪ねて来てくれている。美香先生は、小顔で綺麗な長い黒髪、細身で長身、保育園では、エプロン、三角巾、マスク姿でしか見た事がなかったけど、普段着の美香先生は、おしゃれでとても美人さんだ。


 部屋から出ることが出来ても、やはり最初の頃は、人と話すのが怖くて会う事は出来なかったけど、美香先生は根気よく何度も何度も何度も、訪ねてきてくれて……そしてやっと美香先生にだけは、会えるようになった。保育園では、自分の事で精いっぱいだったので余り話をした事はなかったけど、とても面白い先生でこんな私にとても優しく接してくれる。そして訪ねて来る日には、手作りのお弁当やケーキ、お菓子等々、いつもおいしいお土産を沢山持ってきてくれる。


 それともう一人、空気が読めない大学時代の友人で今は、フリーターの葉山洋介だ。洋介は、どこからか私の噂を聞きつけて家に来てくれた。洋介は家に着くなり母の制止を聞かず、いきなり二階の部屋へ駆けあがってきた。そして私に会うなり


「きみちゃん…………元気…そう……よ…よかった……よかったよぉぉぉ…………うわぁぁぁぁんん!」


 そう言いながら膝をついて大号泣し始めた。その時、丁度美香先生も来ていたので、二人で顔を見合わせて洋介には悪いけど大笑いしてしまった。その後、逆に私が宥めてあげたけどね。


 前にも言ったけど洋介からは大学時代、四回告白されている。全部断っているのに……こうして私の事を心配して駆けつけてくれる……とても優しい人……。でも本当におしゃべりで、大学時代に私が失敗した話とか先生に怒られた話とか美香先生の前でべらべらとしゃべる。ネタが尽きると『大学時代誰と付き合った』とか『なんで保育士になったのか』とか『なんで僕と付き合ってくれなかったのか』とかもう喋りまくりで、美香先生も大爆笑していた。でも相変わらず天然で騒がしく、いつも1人でしゃべり倒して満足げに帰るのは、昔と変わらない。この性格だから気兼ねなしに会うことが出来たのだろう。 

二人一緒に来る時は、本当に楽しくて大学時代を思い出してしまう。

  

scene8……へ きっと…きっと続くはず……

 つばき春花です、沢山の方にお読みいただき感謝感謝です。おかげさまで『恋のキューピット~』もscene7まで投稿する事が出来ました。今後とも『恋のキューピット~』をよろしくお願い致します又、活動報告にもぜひお越しくださいませ。

                        つばき春花

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