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scene25 私色のドレス

【ぎゃんとこ一人で泊まらなんとね?もったいなかぁ! 誰っか連れちくんならよかった!】


(こんなところに一人で泊まるなんてもったいない! 誰か連れてくればよかった!)


それから私は、再び真咲さんが運転する車で、二日間滞在するホテルへと向かった。狭い壁に阻まれた道路をみんなすごいスピードで走っていく。


「これが首都高速道路かぁ……」


熊本にはこんなビルの間を縫うように走る道路はないから珍しさの余り、また口をあんぐり開けてその景色に見入ってしまった。

 

都心を抜け海が見え始めると首都高速を降りてそこから程なく走ったところにあるホテル『グランドニッコー東京台場』に着いた。


ホテルはとても綺麗で豪華なホテルだった。地下の駐車場に車を止め、エレベーターで3階のロビーへ上がる、そこはまるでお城の様な雰囲気でお上品な方々がまるで映画の中の舞踏会のようにごった返していた。そして真咲さんのエスコートでチェックインを済ませるとさらにエレベーターで15階の私が宿泊する部屋へ、コンシェルジュさんを先頭に案内された。


その部屋の大きな窓から見えた景色は超絶景! レインボーブリッジとその奥には東京タワーも見る事が出来た。そして広いワンフロアの部屋は、一人で泊まるにはもったいないくらい広かった。


窓に張り付きあんぐりと口を開けて外を眺めている私。その間に真咲さんが私の荷物をクローゼットまで運んでくれた。そしてルームサービスを呼び昼食の用意をしながら真咲さんがその後の予定を教えてくれた。


「そちらのクローゼットに今日の試写会に着ていく服を何着か用意しています。どれかお好きなものを一着選んでおいてください。この後、5時に担当の美容師がこちらのお部屋を訪ねて参りますので、お好きな髪形も考えておいてください、それでは……」


そう言い残し真咲さんは、部屋を出ていった。私は、窓際のテーブルに座り、外の景色を眺めながら真咲さんが用意してくれた昼食のコーヒーとサンドウィッチを頂いた。そして食べ終わった後、ジャケットをソファへ投げ捨て、ふかふかのベッドにうつ伏せで倒れこんだ。


「あぁぁぁぁ……初日前半からハードだったぁ……」


そしてクルッと仰向けになって天井を眺めていると……何故か彼の顔が浮かんだ。


「千隼……今何してるのかなぁ……ドラマの撮影かなぁ忙しそうだったなぁ……」


そう呟き天井を見つめていたら……満腹感とベッドの寝心地が余りにも良すぎてそのまま寝入ってしまった。


どれくらいの時間が過ぎたのか……ピッピッピッ……と遠くから可愛い音が聞こえる。それはベッド横にある時計からの音だった。


「やばい! 5時! 美容師さんが来る!!」


慌てて飛び起きて時計を見たら……まだ3時だった。


「まだ3時だったぁ……よかったぁアラームセットしといて……寝過ごしたかと思ったよ……」


安心して再びベッドに寝転がるとそういえば……と思いつつ起き上がって、クローゼットへ向かった。


「真咲さん、クローゼットの中に服を用意してるって言ってたなぁ……」


そう思いながらクローゼットを開けるとそこには、私には今まで無縁、いやこれからも着る事がないであろう煌びやかなドレスが何着も掛けてあった。


「うっわぁぁ素敵! 綺麗! 可愛い! この中から選んでいいのぉぉテンションあがるぅぅ!」


私はそのドレス群を見ながら呟いた。


「5時に美容師さんが来るって言ってたよね(時計を見て)今、まだ3時……時間あるから……全部試着してもいいよねっ!」


私は、ドレスを全部クローゼットから引っ張り出し、ベッドの上に並べ一着ずつ試着した。そして大きな姿見の前で一人ファッションショーを始めた。

 

「この淡いピンク色いいよねっ! フリフリが超可愛い!」


「黄色もいいかなぁ? でもちょっと丈が短いかなぁ、おっきい足が丸見えになっちゃう!」


「白! やっぱり白が一番いい! でもこれ体のラインが………あぁ! 坂東明華になりたい!」


「この色も……やっぱりこれかな……これも捨てがたい……あぁ悩むぅ……」


全部試着し気にいった何着かをベッドの上に並べ腕を組み『うううん……』と悩んでいるところでふっと我に返る私。


「はっ? いかんいかん! 目立っては駄目! 絶対に駄目っ!」


私が目立ってしまったら彼に迷惑が掛かってしまう……そう思い、名残惜しかったけど一番控えめな色と形、薄い水色で後ろがリボンになっているドレスを選んだ。


「あぁぁあ、可愛いフリフリのピンクのドレス、着たかったなぁ。これも可愛いけど……あぁぁあ……」


私が独り言を言っていると『コンコン』とドアをする音が聞こえてきた。



scene24へ……白色のドレス……着たかったなぁ

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