スクロールと決意
マコトとレンはダンジョンから出た後、早速武器屋に向かった。
昨日手に入れた巻物の正体を明かすためだ。
武器屋のドアを押し開け、店内に入ると、いつものようにカウンターの向こうで作業をしているマイが顔を上げて彼らに微笑んだ。
「おっ、今日は二人揃って来たね。どうしたの?」
マイの声に、マコトは少し興奮気味に巻物を取り出した。
「昨日ダンジョンでこれを見つけたんです。何だかわかりますか?」
マイはマコトが差し出した巻物を受け取り、じっくりとそれを観察した。
巻物を手に取り、光にかざすと、彼女の顔にわずかな驚きが浮かんだ。
「へぇ、これは珍しいものを見つけたね。これは『スクロール』だよ。」
「スクロール?」レンが首を傾げながら問いかける。
「そう、スクロールっていうのは一時的に特殊な力を得られるアイテムのことだよ。これは、3分間だけ素早さを劇的に上げてくれる巻物だね。素早く動けるってことは、攻撃をかわすのも、敵にダメージを与えるのも効率が上がるってわけさ。」
マイは巻物を返しながら説明を続けた。
「このスクロールは結構貴重だから、もし売りたいならいい値段になるよ。ただし、売るかどうかは君たち次第だ。上手く使えば戦いで役に立つのは間違いないしね。」
マコトは巻物を見つめながら考え込んだ。
確かに、今の自分たちにはお金も必要だが、何よりボブゴブリンに勝つための手段が欲しい。
あの巨大な敵を倒すためには、このスクロールが役に立つに違いない。
「売るのはやめよう。」
マコトはレンに向かって決然とした声で言った。
「これを使って、ボブゴブリンを倒そう。」
レンもすぐに同意した。
「そうだね。あいつを倒すためには少しでも有利な道具が必要だと思う。」
マイは二人の決意に頷き、「それがいいと思うよ。君たちが成長していくのを見てると、応援したくなるね。気をつけてね、ボブゴブリンは強敵だから。」
マコトとレンはお礼を言って武器屋を後にした。
外に出ると、マコトは大きく深呼吸をしてから、レンに話しかけた。
「よし、明日ボブゴブリンを倒しに行こう。」
レンも頷き、「うん、明日は絶対に勝とう。」
その日の夜、マコトは自分の部屋で、ベッドに寝転びながら考えを巡らせていた。
スクロールを使えば、確かにボブゴブリンとの戦いは有利になるだろう。
しかし、肝心なのは自分たちの力が十分かどうかだ。
レンの力も頼りになるが、最後に頼れるのはやはり自分自身だという思いが強かった。
「俺たち…本当に倒せるかな…?」
不安はあったが、同時に胸の中に湧き上がる熱い決意もあった。
負けることは許されない。
あのボブゴブリンを倒して、さらに強くなるために、全力を尽くすしかない。
翌朝、マコトは早起きして準備を整えた。
昨日の決心を胸に、ダンジョンへ向かう心の準備はできていた。
レンも同じように気合が入っているだろう。
学校が終わった後、二人は再びダンジョンに向かうために集合した。
お互いに短い言葉を交わし、無言のままダンジョンの入り口へと足を進めた。
二人とも口には出さなかったが、その目には確かな決意が宿っていた。
ダンジョンの前に立つと、マコトはスクロールを再び確認した。
これを使えば、あの時のようにボブゴブリンに押し返されることはないだろう。
レンも自分の武器をしっかりと握り締め、目の前に広がるダンジョンに視線を向けていた。
「絶対に勝つぞ、レン。」
「うん、ボブゴブリンなんてもう怖くない。」
二人は互いに頷き合い、再びダンジョンの中へと足を踏み入れた。
ご愛読いただきありがとうございます。
少しでも面白い、続きが気になると思ったら
『ブックマーク』『いいね』『レビュー』
お願いいたします!
また、広告の下にある「☆☆☆☆☆」から
ポイントをいただけるとモチベーションになります!!
よろしくお願いいたします。