新たな仲間
朝の光が教室に差し込む中、マコトはまだ昨日の出来事を思い返していた。
ボブゴブリンに返り討ちに遭い、無力さを痛感したが、悔しさと同時に「もっと強くなりたい」という強い思いが心に芽生えていた。
今日の授業は正直頭に入らない。
どうやって仲間を集めて次こそはボスを倒すか、そればかりを考えていた。
そんなマコトの前に、親友のタケシが現れる。
タケシは快活な笑顔で、マコトに軽く肩を叩いて言った。
「おいマコト、最近顔色悪くないか?何かあったのか?」
突然の問いかけに、マコトは一瞬戸惑ったが、すぐに笑ってごまかすことにした。
「いや、別に。ただちょっと疲れてるだけさ。心配すんな。」
「そっか。まぁ、何かあったらいつでも言えよな!」
タケシの無邪気な声が少しだけマコトを癒してくれる。
それでも、今はまだダンジョンのことをタケシには話せない。
もう少し、自分が強くなった時に相談しようと心に決めた。
授業が終わり、マコトはダンジョンに再挑戦するために家に帰ろうとしていた。
体力を回復させるポーションを準備し、明日に備えようと思っていたその時、背後から聞き覚えのある声がかけられた。
「マコト!」
振り返ると、そこには幼馴染のレンが立っていた。
彼女は普段の明るい表情とは違い、少し緊張した面持ちでマコトを見つめている。
「昨日、ダンジョンから出てくるところを見たんだけど…あれ、マコトだったよね?」
その一言に、マコトは驚きを隠せなかった。
まさか自分がダンジョンに入っていたことをレンに見られていたとは。
「えっ…あぁ、そうだよ。実は昨日、一人でダンジョンに挑戦してたんだ。でも、どうして知ってるんだ?」
レンは少し俯きながらも、しっかりとした声で答えた。
「たまたま街を歩いてた時、ダンジョンの入り口付近で君を見かけて…。私もずっと、ダンジョンに行きたいと思ってたの。でも一人じゃ怖くて…。」
その言葉を聞いた瞬間、マコトは胸がざわついた。
レンがダンジョンに興味を持っていたことは知らなかった。
彼女が危険な場所に足を踏み入れることを、どうしても心配してしまう。
「レン、ダンジョンは危険だ。俺も昨日ボスにやられて、やっと逃げ帰ってこれたくらいだよ。君にそんな危険な目に遭ってほしくないんだ。」
レンはマコトの言葉に一瞬驚いたが、すぐに力強い目で彼を見つめ返した。
「それでも、私は行きたいの。マコトがいるなら、きっと大丈夫だと思う。一緒に行ってくれる?」
その真剣な眼差しに、マコトはもう一度考え直した。
レンの意思は固く、彼女を守りながら進むことならできるかもしれない。
彼女の決意を無視することはできなかった。
「…分かった。でも、絶対に無理はしないでくれ。俺がしっかりサポートするから、一緒に頑張ろう。」
レンは微笑んでうなずいた。
「ありがとう、マコト。私も頑張るから!」
二人はその場で次のダンジョン挑戦を約束し、翌日に向けて準備を進めることにした。
マコトは仲間ができたことで少し心が軽くなり、今度こそボブゴブリンを倒すための覚悟を新たにした。
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