冷たいほお
どうして義父と寝たのだろう?母への恨み?社会への反抗?それとも単なる好奇心だろうか?
彼と寝ずにいられなかった。母の男と寝たことを汚らわしいとも思わない。ホテルの自室で服を脱ぎ、手と手を重ね、体を重ね、喘ぎ声をもらした。アルフォンス・ミュシャのポスターの女は夢見るような目をして、裸の義父も、裸の少女も、どこも見ていない。
ナミは女の顔を見てほっとした。義父の裸を見て軽蔑したものだ。もしかしたら、軽蔑するために彼と寝たのかもしれない。いつも仮面をまとったような義父も、裸になれば普通の中年の男となんら変わりなかった。
恋もセックスも。
あんなものはなんでもなかった。
ずっと続くと思えたものは泡よりはかなく、呆気なく消えてしまう。コウスケなど好きじゃなかった。義父でさえなんともない。
ナミの心には男にも女にも注ぐ愛情などなかったのだ。ただあどけない残酷さと動物的な欲求だけが残されている。
ほおはあつく、つま先は冷たい。ナミは窓枠に腰かけ、しなやかな足を外にたらした。ひんやりとした風がほおにあたって心地よかった。
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