電話中
「それで、どうしたの?お母さんが再婚するって?相手は金持ち?ナミに優しい?若い?」
回線の向こうで、亜美の能天気な声だけが聞こえた。
友だちの声を聴くと、安心する。夏休みになってから、もうずいぶん経ったような気がすた。本当はまだ一週間も経っていないのに。亜美ははすっぱな感じがするけれど、優しい。
「まだ会ってないの。予想ではね、金持ちだけど若くはないと思う。ママもね、決める前に私に相談してほしかった」
ナミはベッドの上の、香水瓶をもてあそびながら言う。
「へぇ、私には縁のない世界。ナミのママって自由人だもんね。でもやっぱり、義理のお父さんなんて気まずくない?」
懐かしい声に目頭がじんわりと熱くなる。
「うん。今度会うから様子見するつもり。亜美の方はなんかニュースないの?」
これ以上話したら泣き出してしまいそうだった。だから亜美に相手に話をふる。そうして、クールを気取った。
「どうだろう」声に笑いがにじむ。「この前話してた先輩がね、一緒に花火に行かないかって。それで思ったんだけど、ナミとコウスケくんも来ない?ダブルデートだよ?」
もちろん誘いに乗った。亜美にもコウスケくんにも会いたい。呑気で、いつでも自然体でいてくれる人たちに会いたかった。




