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四海兄弟  作者: 杜若表六
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 孔子はよく笑う人だ、と司馬牛は知った。

 何かにつけ豪快に笑う。冗談も言う。教えとして怪力乱神は語らないが、冗談では別である。

「わしだけ蚤に尻をかじられなかったのは、わしの尻だけ天に守られているからだ」

 などと真顔で言ってから、弟子たちが神妙に聴いているのをみて、ぷっと吹き出す。

「少しは笑うことも覚えよ」

 と困ったように言う。

 師は音楽の才能が凄まじい。

 顔回との琴の合奏は、息をのむ光景である。

 こちらが嗚呼といけば、そちらが応といく。かと思えば即興が旋律を裏切る。生じては絶え、絶えては生じる刹那の節が巧妙に絡んでいる。

 顔回も不思議な男である。

 いつも恬淡とほほえんでいる。かと思えば、洞察に抜け目がない。

「君はいつも本を読んでいますね」

 と司馬牛に言った。

「いちど読めば、覚えてしまいますから」

 と誇らしげに答えると、

「どうせ覚えてしまうなら、つまりませんね。また読むのがおもしろいのに」

 と言って笑った。

 この人もよく笑う、しかし孔子様よりかすかに。と司馬牛は思った。

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