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四海兄弟  作者: 杜若表六
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 宋から出奔した孔子一行は、とぼとぼと次の国へ歩んでいた。

 横殴りの風が細かい砂を運んでくる。

 目を細くしながら弟子の一人が言った。

「あの若者は何者でしょう」

 一行のうしろを、少々距離をおいて、痩せた覇気のない若い男がついてくる。

 ちらちらと弟子たちがそちらをうかがうたび、恥ずかしそうにうつむく。

「宋の間者ではないでしょうか」

 と弟子が孔子に言った。

 孔子は目を細めながら、何も答えない。

 一行は川に行き当たった。ほとりで休む。

 若者はおずおずと一行に礼をし、孔子のもとへいき、

「昨晩は兄が失礼をいたしました」

 と言った。

「桓魋どのの兄弟であられるか」

 と孔子が言った。

「はい。司馬牛ともうします」

「なんの御用かな」

「私を弟子にしていただきたい」

「わしは宋を追われた身。弟子になれば、君も国へは帰れまい」

「それでも、教えを乞いたく」

 孔子は目を細めた。

「君が満足するまで、ついてくるがよろしい」

「ありがとうございます」

 そのときから、司馬牛は孔子の弟子となった。

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