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004.狩人


 昔の偉い人は言いました。


 敵を知り己を知れば百戦殆うからず、と。


 オールマイティによって身体的な能力が上がったことは把握できた。次はそう、転生者の誰もがみんな憧れるであろう魔法が使えるかを試してみたい。


 実は転生してこの街にたどりつき生活に慣れてきて魔法という存在を知った頃に一度試したことはあった。この言い方でもう結果は想像つくと思うが何も起こらなかったのだ。才能のある子どもだとユニークスキルなしでもちょっとした火が見えたり、水を動かせたりすると聞いたときには落胆したものだ。


 だが、今は違う。今の俺にはオールマイティがある。


 あなたとは違うんです、と言わんばかりに手の平を上に向け炎を想像した。


 途端、今までに感じたことない感覚に襲われた。だが襲われたといっても怖いものではなかった。むしろ暖かく何かに支えられているような感覚、微かに聞こえる雑音みたいな声、そして徐々に手の平に何かが集まってくる感触、と思ったらゴォっという音を立てて炎が現れた。


「おお!!」


 思わず声が出てしまった。なるほどこれが魔法を使うという感覚なのか、と転生してきて初めて魔法を行使したことに感動を覚える。ファンタジー万歳。しかも青い炎だ。確か赤い炎よりも温度が高いんだったっけか。不思議と炎を出している手は熱くない、がもう片方の手を近づけると熱さを感じる。考察すると原理はいろいろ可能性はあるけれど、今は難しいことはいいやと、ご機嫌に青い炎を見つめる。ずっと見ていられるなんて言ってるキャンパーの気持ちが分からなくもない。


「このまま消すのも勿体ないな」


 そうこうしているうちにワイルドボアの集団は街に近づいてきてはいたがまだ少し距離に余裕があった。


 おそらく魔法を使うのにもスタミナみたいな、マジックポイント的なものがあることは想像に難くない。試しで使った魔法で魔力切れなんて笑えない。せっかくだから無駄にはしたくないけれど、かと言ってこのまま炎を投げつける、いわゆるファイアボールだと全然届きそうにもない。全然届かないばかりか衛兵たちの防衛ラインなんかに落ちたら目も当てられない。


 そこで想像(イメージ)した。


「こう、もっと細長い感じの…」


 想像がそのまま炎の形を変えていき、次第に一本の矢のように尖っていく。


「なるほど、魔法は想像力とかなり結びつきが強いのかもしれないな」


 実際は自由に形を変化させるのはそう簡単ではない、ということは後になって知るのだが。


「なら、矢の次は弓だ」


 空いた左手に弓を想像すると、同じく青い炎が出現し、今度は弓のように大きく広がる。そのまま、弓を構えるようにして炎の矢を引いていく。


「狙うは黒い集団。あれだけ広がってればどこかには当たるだろう」


 弓道の経験はなかったが、何となくやれそうな感覚はあった。



 「シッ!」



 弓を充分に引き絞って放つと青い炎でできた矢はそのまま一筋の青い光となって真っ直ぐに黒い集団に向かっていき、そのまま最後尾にいた周囲より一際大きい黒い個体…ブラックベアを突き抜けた。


 ワイルドボアの集団が街に進むなかブラックベアだけは活動を停止しその場に取り残されていた。


 「……ちょっと出来すぎでないかい?」


 矢を放った本人も思わず目をまん丸にするのだった。


 なおこの出来事は後に複数の衛兵による証言により「青い流星」として人々に語り継がれることになるのであった。


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