表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の落とした左手を  作者: 宇野 伊澄
42/44

42

「おい、気持ち悪いぞ」


 宏斗が冷たい目線を注ぐ。


「ど、どこがだよ!返信を待ってるだけじゃん」

「だからって付きっきりになることないだろ。しかもなんだよ、お前は一向にガラケーの上に、新しく買ったって言う彼女もガラケーって。俺は昔の恋愛ドラマでも見させられてるのか?」

「うるさいなぁ、これが一番使いやすいんだよ……あ、来た!」


 手の中で震える携帯をすぐさま開き、メールを確認する。



 すごい!桜の蕾をもう見つけたんですね!とても綺麗です。ほんのり桃色で、今にも咲きそうな膨らみにわくわくが止まらないです。また好きな絵が増えちゃいました。今日も素敵な絵をありがとうございます。

 私はいまお母さんと一緒にチョコレートを作っています。鈍感な水無瀬さんでもわかりますよね?バレンタインだからです!明日の朝、家のポストに入れておくので受け取ってください。その時少しでも逢えたらいいんですけど……水無瀬さんは朝が苦手だから無理はしないでくださいね。

                                            要より


 僕は携帯を握りしめ、目を見開いた。


「やばい宏斗……目覚まし時計がいる!」

「はぁ?」


 最近の寝起きの悪さは異常で、結局目覚まし時計五個を駆使しても起きれなかった僕を、宏斗が一日中慰めることになった。高級店並みに美味しいチョコレートをひと口ひと口大切に頬張りながら、また絵を描き、メールを送り、ベッドの上で返信をいまかいまかと待ち侘び、メールが届くとまたにやけ、そんな日々を繰り返していた。


 いま僕は世界中の誰よりも幸せだ。


 十日、二十日と時は進み、思っていたよりも一か月はあっという間に過ぎて行った。辛いときだけじゃなく、幸せなときにも部屋で一人、宙に笑顔を描き続けた。きっと要も、同じものを描いていると信じて。


 そして、卒業式の日が訪れた。

最後までご覧いただきありがとうございます。

ご感想・アドバイス等いただけると嬉しいです。


あと二話で完結となります!ラストまでぜひお楽しみください。

本日夜に次話を更新いたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ