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短編集3  作者: 反逆の猫
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01 最大の調味料の力を借りて

食べてくれないから調味料の力を借りる事にした。


「ああ、お腹がすいた」


 彼はずっと私に空腹をうったえている。

 横にいる彼は、ずっと私の目を見ながらただ口を開いて懇願していた。


「もうずっと何も食べていないんだ、食べさせてくれ。お願いだ、食べないと死んじゃうよ」


 食べ物なら目の前にあるじゃない。

 それを食べれば良いのよ。 それ以外は必要ないでしょ。あら、食べないのね。 だったら、もう少し空腹でいてもらわなくっちゃ。

 だから私は「お腹が空いた。食べたい」と言う彼に、優しく言い聞かせ続けるのだ。


「だめ」


 そして。


「だったら待って」


 こんな風に。


「もっと」


 時間をはかりながら。


「もっと我慢してみて」


 彼の顔色を観察しながら。

 そうすれば喜んで目の前の料理を料理を食べてくれるはず。





 そして、どれくらいか分からないけれど、やがて十分な時間が過ぎた。

 私は彼に「もうそろそろ食べたくなったでしょ?」と、聞いたけれど彼はまったく反応を返さなかった。

 首を傾げて私は独りごちる。


「おかしいわね、空腹は最大の調味料だって言っていたのに」


 目の前で強烈な異臭を放つ料理と彼を見ながら、私はひたすら首を傾げ続けるのだった。


「初めてだからうまく作れなかったかもしれないわね。待っててもう一度作ってみるから」


 私は再び、台所に散らかった調理道具を手に取った。



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