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悪役令嬢は執着されてハメられる  作者: ちょしゃなげ
第3章
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当主確定

「お祖父様っ!」

 血鎖式の後、正装から普段着に着替えた僕は、もう就寝時間でございますよ、というアンナの言葉にムッとしながら、それでもお祖父様達の客室に突撃した。


「お祖父様、なんですかっ、血鎖式(アレ)!」

「よく来たねぇ・・・ギーヴくんは眠くないのかい?」

 ちっさい声で、ほんわり喋るお祖父様は間違いなくテドさんと同類だ。


 見た目が岩熊で普段は大人しい性格というヤツだ。テドさんと血が繋がっているから当然なのだが、なんだかその共通点すら、今の僕にはムカつく。


「お祖父様、当主ってどういうことですかっ!!僕が侯爵になるのは16になってからでいいって、おっしゃったじゃないですかっ!」

 怒り爆発の僕である。


「そ、そうじゃよ。爵位はギーヴくんが好きな時に申告すれば良い・・・」

「じゃあ!あのウネウネ真っ赤の気持ち悪い鎖はなんですかっっ!」


「あ、あれが見えるんだねぇ・・・ギーヴくんはテオドールと同じく初代に匹敵する魔力を持つのよなぁ・・」

 凄い凄いと頷くお祖父様に、僕はますます腹が立つ。


「アレ、一族みんなの生殺与奪権をもらう儀式ですよねっ!!」

「おや、そうなのかい?」

「なっ・・・」

 絶句である。えっ、違うの?と一瞬、安心しそうになった。


 だが実際に、初代からの魔法でみんなの命を握ったと実感したのだ。あの感覚(おつげ)が勘違いなはずがない。


「そうだねぇ・・・ギーヴくん、聞いてくれるかい?ひとつひとつ話そう」

「・・・・・・・わかりました」

 ソファに座るように促されて、僕はしぶしぶ座った。


「まず、爵位だね。

モーグ家の所有する公爵、侯爵、伯爵、男爵、騎士爵ーー全ては、ルクス王国の王家から賜ったものである。

ギーヴくんはもう〈初代の部屋〉に入れるのだろう?あの部屋はモーグの〈病〉に掛かった当主の様子を伝えるものだが、初代については〈病〉だけでなく、多種多様のことを残している。

初代は王権をーー王を心底憎んだが、元々モーグ一族は王家からの叙爵に意味を見出さないんだ」


「・・・それは知ってますーーでも大丈夫なのでしょうか?」

 現体制を認めないって、危険分子の認定をされるんじゃないの?


「我らは王家より古くから、この地に生きるモノ。人王から知恵と魔法を賜ったもっとも古い一族と言われる。王家がとやかく言える権利はないね」


「人王!?あの神話の?」

 葬式の時に神父が(そら)んじていた話を思い出す。


「まだ国の形がない頃から、我ら一族はこの地を治めていた」

 豪族だったってことかな?荘園とか?


「そこに人王が降り立ち、この地を〈聖地〉と定めて、人族を1か所に集め国を興そうとされた。じゃが、人族は数多に別れ、争うことを止めなかった。そこで人王は我らに〈律〉を授け、争いごとをおさめるように命じられた」


「律ってーー?」

「法律じゃの」

「ほうりつ!?」

 頭の中に日本国憲法が思い浮かぶ。前世、ロースクールに行ってまで法律家を目指そうとしていた志が過る。


「〈律〉は人族を自覚させ、守らせ、縛るものーーそういった人王の魔力が込められている。我らはその〈律〉を護る一族じゃよ」

 人王の魔力ーーなんとなく、前世の憲法や法律とは違う気がしてきた。


「それが我らの起源でもある。その後に人族はいくつもの国を興し、同盟を結びーーこの地はルクス王国となった。その王国で、〈律〉を守り維持するために爵位を預かる身分を受け入れた。それが公爵じゃよーーしかし、今から100年以上前に、記録に残る初代が、王家に嵌められた。一族の多くの血が流れ、領地の大半を奪われ、侯爵に降格された。その時の事は日記で読めるであろう?」


「復讐のところだけですが、読みました」

「初代は復讐以外に、〈律〉を守るべく、一族の結束を図られた。それがーー当主の魔力が変われば、速やかに行われねばならぬ〈血鎖式〉に繋がる」

 人王の魔力〈律〉を受け継ぐためってこと?


「じゃあ・・・やっぱり生殺与奪権を得るものではないのですか?」

「それは分からぬ。ギーヴくんがそう感じたのであればそうなのであろう。テオドールは雁字搦め(がんじがらめ)の鎖だと言っておったがの」

「お祖父様は?」

「わしは魔力の色しか見えなかった・・・ただ代々『当主は空けてはならぬ、当主は遡ることができぬ、当主は一族の杭を束ね、結ばねばならぬ』と決められている」


「くひ?」

「一族の血を引く要職にある者のことだね。だから嫁いできたトリッシュや15歳以下の未成年は参加できないんだよ」

「僕、まだ7歳ですっ!」

 僕はここぞと主張する。お祖父様は済まなそうに言う。


「爵位と違って、一族の当主は年齢制限がないんだ。あるのは魔力を通せるかどうかだけなんだよ」

「そんなの、僕教えてもらってません!当主のことも、僕聞いてませんからね!騙し討ですからね!」

「ギーヴィスト。君はもう当主だよ。一族を捨てるのかい?」

「そういう聞き方、ずるいですっ。お祖父様もテドさんも勝手です!」

 怒ったって全て後の祭りだって分かってる。説明してくれるだけで、珍しいことなのだ。


 貴族の親や当主は命令することに慣れているからだ。説明せずに、ただ命じるだけの者も多い。

 その点、テドさんやお祖父様は優しい。


 でも、何もかもが急変すぎて、僕の気持ちはパンパンだった。


 そこへ、翌日お祖母様が、爆弾を落とした。

「ギーヴィスト、この子がいとこで許嫁のアルールだ」

 は!?エルバーラがいるのに?王女と無理やり婚約させたのに!?


 ブチ切れた僕は、とうとう家出した。


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