表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は執着されてハメられる  作者: ちょしゃなげ
第2章
35/37

迷路庭園2〈黒騎士〉

 エルバーラの呪いのネックレスを外すーーその方法は色々考えられた。


 本人に外してもらう、貸してもらう、見せてと騙して持ち帰る、メイドや侍女を買収して、持ち出してもらう。

 ジェムニールに上手く話を持ちかけて、取り上げさせるーーなどなどだ。


 だが見えない触れない時点で、物理的な手段はすべて駄目になった。


 では、魔法でーーと思うかもしれないが、貴族の屋敷はどこも、登録した魔法以外を無効化する魔道具が置かれている。


 だからフランチャスカ侯爵家で使える魔法は、モーグ家の独自魔法の一部だけだ。その魔法を使えば確かに可能だが、僕自身修練度が足りなかったし、使った状況がバレる恐れがあった。


 そして何より、僕の幼馴染は対外的にはジェムニールであり、エルバーラはあくまでその妹だという立ち位置だ。お互い王家の婚約者がいるという立場もあって、私的に交流する機会はなかなか無かった。


 モーグ家の特殊性を王家に悟らせてはいけない。

 王家の婚約者が不適切な行動を取ってはいけないーーというハードルのせいで、僕とエルバーラは立ち話ができても、呪いのネックレスの話を打ち明けたり、一緒に魔法を試して安全に呪いの解除をしたりする、ということができない。


 もしジェムニールが、もしフランチャスカ侯爵夫妻が、もし使用人の誰かが、エルバーラを大事にしてくれていたなら、事情を話して協力をお願いできたかもしれない。


 だが、それも不可能だ。


 だからこの庭園を準備した。そして何かあった時の証人として、耳目がある場所を選んだのだ。





 エルバーラと二人の令嬢が、このエリアにたどり着いたのを確認して、僕は空間遮断の魔導具を起動する。


 知らぬうちに迷路の一部が閉鎖される。それに伴い、チャンクスたちが植木の一部を少し動かしてくれることになっている。


「手早く処理してしまおう」

 先回りして迷路の壁の影から、僕はモーグ家の独自魔法を発動した。


 金色の魔法陣が、連続花火のように次々明滅する。


 まずはネックレスの隠蔽解除をする。

 それからネックレスを僕の元に転送するための、有在転換魔法。そして転送と同時に、エルバーラから離れることで発動するかもしれない呪いを、即時解呪する魔法を連続展開した。


「・・・ごっそり持っていかれる・・・っ」

 魔法の術式が進むに連れ、僕の全身をしびれが走る。それでも身体中を逃げまどう魔力を制御して、次々に指先から送り出した。


 汗が滲み、視界が歪む先で、変わりなく楽しげな会話を続けているエルバーラを見つめていた。


ーーよっし、隠蔽解除できた。エルバーラに気づかれる前に、こちらに引き寄せて・・・。


 ネックレスを転送で引き寄せようとしたその刹那だった。


 自分の影から黒い靄が立ち上がり、黒髪の騎士のような姿に変わった。

 

 そしてーーひと呼吸する、あっという間の事だった。


 すっと縦に走った閃光に気づいたのは、胸から飛び散る自身の血と、激痛を熱く感じながら地面に膝をついた時だった。


 黒騎士が持つ剣の切っ先から、自分の血と見覚えのある黒い魔力が地面に滴り落ちていた。


「〈我が君〉の命約を遮ることは許されぬ」

 低いーー闇の底から響き渡る声が、そう僕に告げた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ