7歳のガーデンパーティー5
本日2回目のUPです。少し短めですが。
客室からテラスに向かう階段をおりた場所。
貴賓室からはエントランスに向かう途中の場所で、先程別れた第二王子の一行とエルバーラの姿が見えた。
動揺する気持ちを抑えて、なるべくゆったりと歩くーーほんとは走り寄って割り込みたい。
だから、嫌でも目に入ってしまった。
エルバーラが笑い、彼女の手袋の先に第二王子が軽く口づけをする姿を。
ーーイヤダ!
『理由なんてねぇよ。アイツがジャマなら潰しちまえ』
黒蜥蜴の声が、はっきりと耳元で聞こえた。
ーーせっかく僕の色を贈ったのに。
銀色を贈るわけにはいかなくても、僕の髪の色を連想させるはずの、白。
エルバーラの黒髪には白のリボンを編み込み、腰に巻く緑のリボンにも白のリボンを足した。ドレスの裾にはドレープを作るように繊細な白いレースが追加されている。
野暮ったかった緑のドレスがーー艷やかな黒髪が、僕の色と交じって輝く。
『そうだ。あんな風に笑うエルバーラを、一番に見る権利はお前にあったんだ』
ーーそうだよ。白は僕の色。だから白をまとったエルバーラは僕のものなんだ。
『そうだ。エルバーラはお前のモノ』
ーー僕のもの・・・なのにっ!
『お前のモノなのに!盗られてもいいのかーー』
「ギーヴ君」
エルバーラに伸ばしそうになった腕を、テドさんがわし掴む。
「まだ、独占欲をコントロールできませんか」
「ぁ・・・」
鋭い声に、冷や水を浴びせられた。
激情が冷めてブラックとの繋がりを抑えると、嫉妬にのまれていたのだと知る。
自分の独占欲の強さに、ため息を付きたくなった。
「わざわざ見送りに来てくれたのか?」
第二王子が僕に気づいて、笑顔でそう言った。
「エルバーラ嬢とも会えたし、そろそろ戻って王妃様に報告せねば」
先程とは打って変わって、あっさりとそう言う。
ーー危なかった・・・。ブラックに煽られて、うっかり自分の気持ちを晒してしまうところだった。
「・・・すみません」
小さい声で、テドさんに謝った。
「気をつけてください」
第二王子一行を、成り行きでエルバーラと並んで見送る。
隠密用の王家の馬車を見送り、テドさんとトリッシュお祖母様は貴賓室に戻るらしい。
僕達はテラスに戻ることにした。
アンナとチャンクスが近くにいるとはいえ、エルバーラと二人の状況に心臓がバクバク言い出す。
「ねぇ、どう?侍女さんが可愛くしてくださったの。モーグ家の侍女ってすごいのね」
くるん、と回って、エルバーラが髪に編み込まれたリボンを見せてくれる。そしてドレスの裾をふわりと揺らせた。
それだけで、僕の落ち込んだ気持ちが浮上する。
「うん・・・似合ってる」
「それだけ?殿下は、髪飾りと合っていて綺麗だねって、髪もドレスも褒めてくれたのに」
「髪飾りはーー」
「ほら、壊れてなかったわ。殿下に贈って頂いたものだから、付けているところを見ていただけて良かったし、気にしないでね」
「殿下の贈り物、ねぇ」
「そうよ。合うでしょ?」
自慢げなエルバーラの顔が可愛くて仕方ない。
にっこり笑顔を浮かべるその裏で、壊してしまえば良かった、と本気で思う僕は、悪あがきし過ぎなのだろうか。
ーーあぁ、本気で第二王子いらん。
『排除してしまえ』
ーーそそのかす黒蜥蜴もいらん。
八つ当たりしつつも、僕は僕らしくエルバーラを愛する。
「あれ、エルバーラ手袋汚れてるよ」
「え?」
エルバーラが見る前に、手を取ってつるんと手袋を抜き取る。
「アンナ、エルバーラに新しい白い手袋を渡して」
エルバーラが何かを言う前に、抜き取った手袋をさっと丸めてアンナに渡してしまった。
ーー殿下の口付けた手袋をなんか、もっといらない。
無駄な抵抗をしつつ、僕は白を身につけるエルバーラに満足した。
パーティ長くなっちゃってます。次はようやく迷路庭園で。
ところで、男性の嫉妬は恋する人に向かい、女性の嫉妬は浮気相手に向くのか、と議論したことがあります。
逆じゃないか、と言っていた人もいて、今はどうなんだろう?とふと思いました。どっちもあり?
ギーヴくんの場合は、最終的に全部エルバーラに向かうようです。




