道端に転がってた石ころの妖精。
僕が、学校帰りにいつも通る道にね!
見つけたんだ! どこにでもあるような石ころだったけど?
僕は、なんだか? その石ころが気になって家に持って帰ったんだ。
___そうしたらね?
次の日の朝、石ころが真っ二つに割れてて、中から何か出てきたんだよ。
『___ココは何処だい?』
『ここは、僕のお家だよ! キミは?』
『ボクは、石ころの妖精さ!』
『・・・石ころの妖精?』
『あぁ、石ころの妖精に会うのは初めてかい?』
『___うん!』
なんだか不思議だったんだ! 妖精といっても、、、?
僕には、小さなおじさんにしか見えなかったから。
ステテコ姿の、頭はバーコード頭で黒縁メガネをかけててね。
土日の休日のおじさんみたいな感じ。
『___おい! そこの少年! 今日からココがボクの家だ!
いいかい、、、?』
『___あぁ、それはいいけど?』
『・・・いいけど? 何?』
『パパやママに、おじさんの事言わなくていいのかな?』
『そんなの! 言わなくていい! パパやママがボクを見たら
気絶するだろう! それでもいいなら、どうぞ!』
『___いやいや? そんなの困るよ!』
『じゃあ~言わない事だねぇ~! おじさんと少年との約束だ!』
『___あぁ、分かったよ。』
▼
___この日から、僕は石ころの妖精のおじさんと一緒に生活するようになった。
石ころの妖精のおじさんは、30㎝ぐらいの大きさでね!
お酒とお風呂が大好きなんだよ。
だから、僕にいつもワガママばかり言うんだよ。
『なあ、和徳! 冷蔵庫からビールを持って来てくれー!』
『___そんなのダメだよ! パパやママにバレたら、僕が怒られる
じゃないか!』
『___お酒なら、何でもいいんだよ~! それとおつまみと底が深い
鍋と熱いお湯を入れてな!』
『___ねえねえ、おじさん! 底が深い鍋と熱いお湯は何をするの?』
『お風呂だよ。 ボディーソープやミニタオルも用意しておいてくれよ。』
僕が下から、こっそりと少し残っている日本酒の瓶と昨日の残りのおかず
に奥の深い鍋にお湯を入れて自分の部屋に持って上がってくると?
___おじさんは、機嫌良さそうにハナウタなんか歌いながら。
【ウフフふ~ン♪ ふんふん~♪ うフフフフ~ン♪】
服を脱ぎ、小さなタオルを女の子のように胸のところから巻いて大きな底
の深い鍋に、僕にお湯を入れろと言って、おじさんは鍋の中に。
『___あぁ~気持ちいい湯だな~おい! 和徳、ゆっくりお湯を足してくれ!』
『___ううん。』
『いい湯だな~ホイホイ~♪ 最高の湯だな~アハハハーン♪』
『___何? その歌?』
『知らないのか? おじさんが作ったオリジナルの歌だよ~!』
『___知らないよ。そんなの! だけど気持ちよさそうだね!』
『和徳のおかげで、サイコーだよ~! アハハハーン♪』
『___分かった、分かった!』
おじさんはボディーソープを丁寧に手に取って優しく泡を立てると?
優しくバーコード頭の髪に付けてサッサっとお湯で流した。
___髪には、どうやら? “神経質”みたいだ。
40分ほど、湯船に浸かっておじさんが鍋から出てくると?
___僕の机の上は、水浸し。
僕が綺麗に、タオルで机の上の水を拭き取っているころ。
おじさんは、体を綺麗に拭いて服を着て日本酒の瓶から小さなおちょこに
お酒を注ぎ、ゴクゴク飲みだしていたんだ。
『___プ~ハ~お風呂上がりの一杯はうまいな~』
『おじさん、机が水浸しだよ!』
『すまない! すまない! 和徳のおかげでお風呂上がりにお酒も飲ませ
てもらって、しかもおつまみもついてきて最高だよ~』
『___あぁ、ううん。』
『ちゃんと、このお礼はするからな和徳!』
『___お礼?』
『あぁ、明日からが楽しみだな~』
『___うーん?』
*
___おじさんは、僕と一緒に学校も行くと言い出したんだよ。
『・・・みんなに見つかったら? ヤバいよ! おじさん妖精なんでしょ?』
『大丈夫だよ、和徳! 他の人にはおじさんは見えないから。』
『___えぇ!? そうなの! 早く行ってよ~』
『・・・あれ? 言ってなかったけ!?』
『___言ってないよ~』
『すまん、すまん!』
『・・・別にいいけど。』
___確かに、おじさんが昨日言っていたお礼をおじさんの何らかの力で
してもらっている事に僕にも気づいたんだ!
『これって? “おじさんの能力なの?”』
『___まあな!』
『凄いじゃん!!!』
___テストをすれば、100点。
駆けっこだって、1番だし! 先生に褒められまくり。
僕のクラスの好きな女の子からも、僕の事が好きって言われたし。
学校帰りに車に轢かれそうになった時も、事故に遭わずに済んだしね。
___おじさんのおかげで、何もかも上手くいっているよ。
▽
___正直、おじさんとの生活は面倒くさいところもあるけど?
段々なれてくると、僕はおじさんが嫌いじゃない!
【___こんな生活もアリだな~!】
*
___そして今日も。
おじさんは、大きな底の深い鍋にお湯を張って気分よさげに。
鼻歌を歌いながら、気持ちよさそうにお風呂に入っているよ。
【いい湯だな~アハハハーン♪ サイコーの湯にホイホイ~♪】
最後までお読みいただきありがとうございます。