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1.端緒
「あなたは、ひとりぼっちになってしまったのね」
「……ひとりぼっち?」
「そう。本当はそんなはずではなくってよ。本来ならばあなたはここでたくさんの家族に囲まれて、独りきりで寂しい思いはしなくて良かった」
「じゃあ……どうしてひとりぼっちに?」
「人間のせいですわ」
「人間?」
「我々のこの美しい世界に侵略してきた――敵。傲慢な人間は自然を支配できると思いこんで、自然と調和して暮らす我々のことが邪魔なの。それゆえ、我々を駆逐しようとしている……」
「ひどい奴らです」
「あなたは、無事だわ。とても幸運なこと」
「わたしは……ここにいます」
「今に同志が来るわ。あなたを救うためにね」
「何から救うのです?」
「おぞましい、侵略者から」
「戦うってことですか」
「戦わなければ全てが滅ぼされてよ。あなたの命も、いとも簡単に奪われてしまう」
「じゃあ……戦います、わたしも」
「あなたも?」
「助けてくれるんですよね?」
「――ええ。もちろんですわ」