村のひろば
ひさしぶりにきた村はあいかわらずのどかなようすでした
「それじゃあ、カナ、お父さんはまきを売ってくるから、ひろばのあたりで遊んでいなさい」
「わかった、いってらっしゃいお父さん」
村のまんなかにある井戸のまわりはひろばになっていて、せんたくをするひとやこどもたちが遊んでいます
こどもたちのなかにはいりたいけど、カナはなかなかゆうきがでません
しかたなく、もってきたなわとびで遊びはじめました
しばらく遊んでいると、何人かのこどもがちかずいてきました
「あなたはだあれ?」
「しらないこだね」
「村のそとからきたの?」
「えっ、あの、わたしはカナ。森の小屋にすんでるの」
なんどか村にきたときにすこし話したことのあるこどもたちでした
わたしのことおぼえてないのかな?
カナはかなしくなりながらも、なんとかがんばってはなしました
「森の小屋って木こりのおじさんの家?」
「こどもがいるなんてしらなかった」
「きいたことないね」
「……」
カナはもっとかなしいきもちになって、おもわずかけだしました
村のはずれのさかみちにすわって、カナはなくのをがまんしていました
なんどか話したことのあるこどもたちだったけれど、わたしのことをおぼえていなかったんだ
カナがうつむいていると、犬のなきごえがきこえました
かおをあげてみると、とおくにバートンさんとジェフが見えました
カナはめをこすりながら、バートンさんのほうへとあるいていきました
「こんにちわ、バートンさん」
「やあ、おじょうちゃん。きみは…どこのこかな?」
カナはからだのねつがさぁっとさがっていくようなきがしました
「バートンさん?カナだよ?」
「カナちゃん?村のこどもにいたかなぁ?」
「カナだよ!森の木こり小屋の!」
「森の木こり小屋?あそこはふうふ二人きりでこどもはいないはずだよ。おじょうちゃんはだれだい?」
「そんな、おぼえてないの?ジェフもわたしをわすれてしまったの?」
「ジェフのこともしっているのか…うーん、こまったな、ほんとうにおじょうちゃんのことをしらないんだ」
カナはこわくてこわくて、またもやかけだしました
「カナ?やっとみつけた」
村のいりぐちでないていたカナを、お父さんがむかえにきてくれました
「どうしたんだい?ひろばにもいないからさがしたよ。だれかとけんかしたのかい?」
「お父さん……うわぁぁぁあん!!!」
「いったいどうしたんだ、とりあえず家にかえろう」
お父さんはなくカナをだきかかえたまま小屋へとかえります
なきつかれたカナはそのままねむってしまいました