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ミミック・ギミック:ダイナミック  作者: 財天くらと
第四章 エンタープライズ躍動編
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76 撃滅の戦鬼―発展

「ミミゴン様に命令された通り、ここに向かいました。僕だけでなく、土地に詳しい者と回復スキルを所持している者も含めて、三人です。当時、そこで復興作業をしているはずのドワーフは遊び呆けており、村に建てられていた家屋は、瓦礫の山となったままでした。なんとかして、彼らを奮い立たせて、村と呼べる状態にまで戻しました」



 淡々と語るクラヴィスが簡単に説明してくれたが。

 怠けきったドワーフを奮い立たせたというが、そこに感心している。

 クラヴィスは人の扱いが上手いという才能があるのかもしれない。

 正直、あんなに慕っている部下がいるのだから実際にあるのだろう。

 弟のトウハと違い、常に冷静でいて状況をしっかりと把握している、とラヴファーストが褒めていた。



「さすが、クラヴィスだ。素晴らしい! それで、村から街への変化についても聞かせてほしい」

「はい、さらなる飛躍に繋がった要因ですが。多くの魔物が活動している【ミトドリア大平原】と高レベルな魔物が出現する【ユーグレノゾア海岸】に近いため、地理に精通した者たちが、ここに目を付け拠点とし始めたのです。多くの移住者たちに伴い、宿泊施設の改築に加えて宿泊料金の低価格を提供したのです。しばらくして、多くの店が立ち並ぶようになり、解決屋の首席監察官からは僕のハンター登録と、ユーグレノゾア地域の解決屋を担当する上級監察官になったのです」

「で、Aランクハンターになったのはいつなんだ?」

「その日ですね。首席監察官の前で、A級賞金首のモンスターを何体か切り裂いたので」



 首席監察官との散歩中に、強い魔物と出くわしたという話らしいが、まあ超人ラヴファーストによって鍛えられた身体能力は、そのへんの魔物を超越しているだろう。

 『見抜く』で、クラヴィスのレベルでも見てみるか。



 名前:クラヴィス

 レベル:96

 種族:真・鬼人

 称号:『生殺与奪の権利』

 耐性:『物理・魔法攻撃半減』『混乱・睡眠・麻痺・魅力無効』『全属性半減:50%』

 戦闘用スキル:『紫電一閃』『剣術・改』

 常用スキル:『剣豪』

 特殊スキル:『神出鬼没』『剣の達人』『真・幽鬼』『羅刹天』



 なんか、怖い漢字が並んでる。

 助手が言うには、この世界の強者はスキルがスッキリしている人の方が強い傾向にあるらしい。

 クラヴィスはスッキリして見やすいが、俺から見たらどんな効果を持っているのか、全然分からないスキルばっかりだ。

 ただ、強いとだけ分かった。

 それも、こっちに来てからより強くなっていると。



「クラヴィス、聞きたいことがまだある。なあ、この街の長ということになっているのか?」

「そうですね。解決屋はグレアリング領、リライズ領の各地に地方支部局があるのをご存知でしょうか」

「それは、もちろんだ」



 前にハウトレットが言っていたのを思い出す。

 確か、国や街の警備も担当していて、支部局を置く代わりに守ってくれるだったか。



「街や村に支部局を設置しているところの大半は、支部局のリーダー……解決屋内では『上級監察官』というのですが、その役割を持つ者が長となることが多いです。国は王様などがいますので必要ありませんが。そういうわけで、僕がこの街……【無類の街 ミミゴン】担当の上級監察官です!」

「ちょっと待て。ミ、ミミゴン?」

「はい、ミミゴン様の名から頂いている街なのです。も、申し訳ございません! 勝手に、ミミゴン様の名を拝借するなど……」

「え、まあいいけどさ。なんていうか、恥ずかしいな……」



 ついに、自分の名前が街の名前になってしまったな。

 異世界に来てから生まれた名前だけど、今では俺の名前として定着している。

 日本にいた頃の名前が、現在も思い出せない。

 いつになったら、思い出してくれるんだ。



「ところで、ミミゴン様。一つ、お願いがあるのですが」

「ああ、なんだ。できる範囲内なら、協力しよう」

「ありがたきお言葉です。ミミゴン様は最近、多くのドワーフを移住させたとお聞きしました。どうか、ドワーフの何名かを連れてきてはくださらないでしょうか。それも建築スキルを得ているドワーフを」

「理由を聞かせてくれないか」

「はい……元々、ここにいたドワーフが少ないのです。最近では移住者の数も増えて、彼らは住まわせる家屋の建築に追われているのです。かなりの肉体労働をさせられているのが現状なのです」

「よし、理解した。こちらから何名か応援に行かせよう」

「ありがとうございます! ミミゴン様!」



 深々と頭を下げ、感謝を伝えてくる。

 頭を上げさせて、クラヴィスが落ち着いたところで、コンコンと二回ノックする音が聞こえ、ゆっくりと部屋の扉が開いた。

 入ってきたのは、さっきクラヴィスに従っていた四人の一人だった。

 あれ、こいつリライズの電車を襲った……

 頭に一本小さな角があった。

 リライズ領を走る電車内で、ダンダンと話していたところを魔物と共に襲ってきた竜人だった。

 そうだ、思い出した。

 捕まえた竜人を被災地に派遣させたと、ラヴファーストから連絡があったな。

 こいつを見る限り、クラヴィスとは仲良くやっているようだ。

 明らかな上下関係を感じるがな。



「クラヴィス監察官。本部長より依頼が届きました。どうやら、シュトルツ村を調査してほしいとのことですが。我々も同行しましょうか」

「いや、君たちは狩りを終えたばかりだろう。僕だけで向かうことにしよう。かわりに色々と道具を手配してもらいたい」

「かしこまりました、クラヴィス監察官」



 入ってきた竜人はクラヴィスに手紙を渡すと、退出していった。

 受け取った手紙を『異次元収納』で仕舞い、俺に向き直る。



「ミミゴン様は、どうされますか?」

「そうだなぁ……じゃあ、お前の働いている様子を見せてほしいな」

「かしこまりました。では一緒に行きましょう」

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