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ミミック・ギミック:ダイナミック  作者: 財天くらと
第三章 リライズ決然編
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傭兵派遣会社―企み

 暗闇。

 だけど、完全なる闇で覆われているわけではない。

 正面の扉から漏れる光が、うっすらと通路を照らす。



「やあ、元気かい? 藤原くん?」

「…………」



 男がドアを開け、中にいた人物に声をかけたが。



「返事がないな。ちゃんと飯、食べてる?」

「…………」



 藤原と呼ばれた少年は、ポツンと部屋の隅に座っているだけである。

 目は虚ろ、口は半開きでよだれが垂れている。

 Tシャツに長ズボンという身なりに加えて、衣服は散らかり、コンビニの袋とコンビニ弁当の容器が乱れ放題である。

 まさに。



「ゴミかと思ったよ。……君がね」

「…………」



 男は少年のパソコンを勝手にログインし、中身を見る。

 ゲーム画面のようで、キャラクターが描かれたカードが並んでいるシーンだった。



「あらら、ガチャで爆死かな? 何万、入れたのかな?」



 相変わらず、男の質問に対する返事がない。

 焦点が左右で異なっている。

 脳が崩壊したかのように見える有様だ。



「もしかして、この前の依頼料を全部……」



 返事はなかったが、少年の頭を縦に振った。

 苦笑を浮かべる男は、指をパチンと鳴らした。



「失礼いたします、ラオメイディア様」

「はい、じゃあ藤原君に食事させて、部屋を綺麗にするんだ……始め!」



 部屋に入ってきた女性は、ラオメイディアの指示により、テキパキと掃除、洗濯、調理をしていく。

 ラオメイディアは『異次元収納』に入れていた最新ゲームを、少年の目に映させる。

 少年は目を生き返らせ、ケースを奪おうと手を伸ばすが、ラオメイディアは遠ざけて、口を開ける。



「これ、欲しいの?」

「ほしい……欲しー!」

「欲しい? 欲しい? 最新ゲームが欲しい?」

「欲しー!」

「だったら、僕の話……聞いてくれる?」



 少年は伸ばす手を下ろし、話を聞く体勢に入る。



「聞く、聞くよ、良太は! 手に入れるためだったら」

「じゃあ、聞いてくれるね?」



 行儀よく正座までして、少年は欲しがっていた。



「偉いね、藤原君。今時、正座までして聞こうという奴なんていないよ。だって図々しい奴らが、テレビに映るくらいだからね」

「早く、はやく!」



 女性が持ってきた料理を、少年は汚らしく食べていく。

 早速、掃除したばかりの床に米粒が落下していった。

 ラオメイディアは、ポケットティッシュで米粒を拾いながら、話を進める。



「いいかい? 今度の依頼は、名無しの家にいる奴を殺してほしいんだ」

「奴って?」



 スマホを取り出して画面を何度かタッチし、メールを送る。

 少年のスマホが通知音を発し、メールが届いたことを知らせた。

 けど、彼は見なかった。



「忘れない内に見といてね。メールに添付してある画像の奴を殺すんだよ。分かったかい?」

「もがもご……」



 少年の口に、ご飯や肉を放り込んでいく。



「ちゃんとやってくれたら……ジャーン! 最新ゲームの『ラストヨンパチ(嵐)ファミリー・サモンライド!』だよ」



 可愛らしいキャラクターが描かれ「プレイする権利をやろう」というコメントが載っているパッケージだ。

 パッケージを受け取った少年は、嬉しさのあまり口に入っていた食べ物を吐き散らした。

 正面にいたラオメイディアは、全身に米粒を付けられ、パッケージも持っていかれた。



「うわぁ! 約束された神ゲーだ! クソゲーじゃないはず、今度のは!」

「……ちゃんとやってくれるね? 今から」

「うん、わかった。あとでやる」

「家政婦さん、連れて行きなさい」



 女性は、騒ぐ少年を担いで部屋から出ていった。

 入れ替わるようにして、別の女性が入ってくる。



「秘書ちゃん、準備は完了したかな?」

「既に完了しております。後は、社長の一声で」

「うん、ありがとうね。じゃあ、始めようかな」



 『念話』を使用して、各リーダーに繋げる。

 ラオメイディアは常に笑顔を浮かべ、上機嫌な声を発した。



「よし! じゃあ、社長を喜ばせるための依頼……スタート! さあ、ゲーム感覚で終わらせてきなさい」

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