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ミミック・ギミック:ダイナミック  作者: 財天くらと
第三章 リライズ決然編
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47 新都リライズ―1

 新都リライズの見た目は、近未来の都会という感じだ。

 陸も空も車が行き交い、人々は仕事する者と遊ぶ者とで分かれている。

 ドワーフに、人間。

 スーツ姿のため、サラリーマンを思わせる。

 空にも車と言ったが、他とは少し違った。

 何より、それほど数があるわけではない。

 おそらく、タクシーのような役割を果たしているのだろう。



〈正解ですー。新都リライズから離れた都市では、バスやタクシーが人を乗せ、街中を走り回りますがー。新都は、あの黒い箱に人を乗せ、各エリアに移動するんですー。名前は「エリア・カーゴプレーン」ですー。略して「エリカゴ」と呼ばれてますー〉



 空に浮かぶ黒い箱が無数に連結し、それぞれに分裂し他のエリアに向かっていく。

 タクシーは目的地が自由だが、エリカゴは電車のように行き先が決まっているんだな。

 俺は盗んだ帽子をかぶって、目立たない挙動で人ごみに紛れ込んでいった。

 そこらを眺めながら歩いていると、帽子を深々と被った人が何人かいる。

 鞘に収められた剣を背負っていることから、ハンターのようだが。

 もしかして、竜人か。

 他の人は気付いていないみたいだが、何しにきたんだ。



〈観光に来たのではないと分かっているでしょー? 武器でしょうねー、恐らくー〉



 奴らが向かう先にある電子掲示板には【商業区】と表示されていた。

 助手の言う通り、武器の購入に訪れたわけか。

 ドワーフお得意の武器造りが行われ、魔物狩りだけでなく、人殺しにも使われている。

 武器が戦争を生む、なんていうのを聞いたことがある。

 だが、本質は異なる。

 武器は殺し”やすく”するための道具だ。

 武器がなくても、拳がある、脚がある、肉体がある。

 人が存在している時点で、争いは生まれてしまうのだ。

 同時に戦争を回避するためにも、人が存在している。

 もし可能なら、俺が王国と帝国の戦争を止めてみよう。



 エリカゴに乗り、電車が襲撃された事件を思い返す。

 犯人を無事、捕らえることに成功した。

 竜人二人の傭兵だった。

 しかも、所属する傭兵派遣会社の名は『VBV』。

 そう、サカイメの街での騒動の際、俺をスカウトしにきた傭兵派遣会社の名も『VBV』。

 社長の、ラオメイディア。

 奴らの仕業だというのが判明した。

 そして、傭兵が派遣されたということは「誰かが電車を襲うことを命令した」ということだ。



 捕らえた竜人を問い詰めたが、当然「知らない。俺たちは命令されたことしか知らない。依頼主とかどうでもいい。金が欲しいだけだ」と供述する。

 その傭兵たち、かなり強い部類で社長からの信頼も厚い。

 ラヴファーストの部隊に新しく「拷問専門部隊」なんていうのができて、試しにと放り込んでみた。

 結果は一瞬。

 謎の拷問テクを持つ部下にかかれば、すぐに情報が飛び出た。

 どんな技術スキルだよ、とラヴファーストに聞いてみたが教えてくれない。

 凄まじく敵にまわしたくないと、恐怖に怯えた日になった。

 その二人は、エンタープライズ国民の一員となり、ラヴファーストの命令で、グレアリング領の被災地へ飛ばされたようだ。

 確か「過去に大きな地震があって、破壊された町村の復興作業を手伝ってほしい」と、グレアリング王から依頼され、ラヴファースト軍の一部「復興支援隊」を派遣した。

 現在、まだ報告はきてないが「復興支援隊」のリーダー、クラヴィスがいるからなんとかなっているだろう。

 もしかして、もう終わってたりして。

 その後、リライズへの電車は動かないので『自由飛行』で飛んできた。







 と、黒い箱こと「エリカゴ」に乗りながら回想していたら、いつの間にか到着していた。

 ”料金無料、速い!”が、キャッチフレーズになっているが、その通りだった。

 速いし、乗り降りも楽だった。

 バス停のような場所で待っていたら、すぐに来た。

 運転手はいない、自動運転というやつか。

 技術が可能にしたAIに感謝だな。







 【商業区】の「武器防具製造地域」という場所。

 地に足を着けた瞬間、熱気で肌を焦がすほどだ。

 数多くの鍛冶場によるものだろう。

 職人の数と、ハンターの数で溢れかえっている。

 あちこちで、ハンマーで真っ赤な刀身を叩く音が聞こえてくる。



『ようこそ! 武器をお求めでしたら、私達『リアル・アームズ』にお任せください! 切れ味はもちろんのこと、軽さやエンチャントされた武器も多数ございます! ぜひ! ぜひ!』

〔ぜひぜひ! ぜひぜひ! お店、ここ!〕



 流暢に喋るロボットが宣伝してきた。

 小さい人型ロボットとセットだ。

 ロボが売り込む世界なのか。

 激戦区であるここにも、無数の人型ロボットがあらゆる人に宣伝していく。

 あそこに、ティッシュを配るやつもいるし、チラシをその場でプリントアウトして配るロボもいる。

 人件費削減に貢献しているみたいだな。

 この光景に驚いているのは、俺だけだ。

 他の者は知らんぷりして素通りする者もいるし、店内に入っていく客もいる。

 これが当たり前の国なんだな。







 ようやく、商業区を抜け出し【中央官邸通り】に出てきた。

 新都リライズで、最も人が多いエリアだと聞く。

 建物も多いし、この国を治めている最高権力者が執務を行う官邸も存在している。

 選挙活動の真っ最中らしく、奇妙な形をした車の上で、マイクを握り演説している者もいる。



「私は、この国に潜む難問を解決し、より住みやすい暮らしやすい社会を私は実現します! 私を国を支える大臣として、政治家として、ぜひとも清き一票をよろしくお願いいたします!」



 こうやって、人の注目を集めている者もいる。

 他にも、大きいサイズのテレビが設置されており、そこには別の所にいる候補者を視聴者のコメントと一緒に映されている。



「この国は、明らかにおかしい! 何が『ヴィシュヌ』だ! 何が安全と健康を、だ! 皆さん、目を覚ましてください! あなた達は国に管理されているのです! 分からないのですか! そして管理がずさんだからこそ、ハッキングによって個人情報が流出するのです! これまでにも……」



 一人の演説者が訴えかけるも、周りに人はいない。

 演説者を映すテレビ画面には大量にコメントが書き込まれ、左に流れていく。



「まーた、出たよ。陰謀論を信じてしまう馬鹿が」「あっち系のドワーフは、どうなってんだ」「誰も投票するんじゃねぇぞ!」「投票するなら責任持てよ、お前ら。お前らのせいで、国を潰されたら堪ったもんじゃないからな」



 国の批判をする者には、暴言や意味不明なコメントで荒らされている。

 この国の政治も大変なんだな。







 目の前には、白く形の整った建物が偉そうに構えていた。

 ここが『官邸』、女王シャルトリューズ・エリシヴァの居場所。

 綺麗な石の階段を上り、入り口を目指した。

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