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ミミック・ギミック:ダイナミック  作者: 財天くらと
第三章 リライズ決然編
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46 新都リライズ:道中―反撃

 エルドラ、一体何が起こっている?

 爆発音多数に加え、魔物の群れ。

 異常と異常のオンパレードだ。



(ふむ、線路内に魔物が侵入できぬよう結界が張られていたんだが、特殊な爆弾で打ち破ったのだろう。そこから魔物が侵入、で今に至るのだが……)



 あきらかに外に生息する魔物の数と比例しないよな。

 つまり、何者かがこの大群を引き連れて襲ったと考えるべきか。



(この地域、魔物の数が激減していると聞いていた。その線で間違いないだろう。流石はミミゴン、良い親友をもったわ!)



 嬉しいお言葉、ありがとな。

 で、首謀者らしき人物は?



(我に任せておけ。すぐに探し出してくれる!)



 心強いぜ、エルドラ!

 頼りになる相棒だ。



「ギャアギャアー!」

「うるさいな! っと」



 両側から攻めてくるライオンみたいな魔物に、力を尽くしたストレートパンチを食らわせる。

 魔物は頭を失いながら来た方向に押し戻され、勢いで車両を突き破っていく。

 腰を落として、ジャンプする体勢に入り一呼吸おいて、思いっきり床を蹴って飛び上がる。

 『自由飛行』を発動させ、広い範囲にあちこち目を向けて、有様を確認する。

 ん、あそこにいるのはハンターか。

 流石と言うか当たり前だけど、何人か守りながら魔物と対峙している。

 当然、苦戦しているわけなので、救いの手を差し伸べる。

 前作った、でかすぎて軽すぎる大剣をハンター達に向かって振り抜き、地面に突き刺す。

 それを使いな、的な意味でプレゼントしたのに、不審がって手に取ろうとしない。

 仕方ないので『念話』で怪しげな口調で、使えと伝える。



(それを……使うといい。この危機を乗り切ることができる……ぞ)

「な、なんだこの声は! いったいどこから!」

「ナイリウス! 迷っている暇がない! その剣を扱え! お前なら軽々と使いこなせるはずだ! そんな馬鹿でかい、デザインセンスがなさすぎる剣でもな!」



 おい、今いうことか?

 ようやく、ナイリウスという青年は決心したようで、傷だらけの手で大剣を握った。

 触れると同時にナイリウスの傷は塞がり、癒しの光を纏った手で剣を引っこ抜く。

 驚愕の表情を浮かべたのは言うまでもない。



「体の……底から底から、力が湧き上がってくる! 何だか、大暴れしたい気分だ! ハハハハハッ!」

「ど、どうしたんだ!? 大丈夫か!」

「先輩! ここはナイリウスに任せて、私達は乗客を守りましょう!」



 現在、無双している青年に何が起こったのか。

 俺が、剣に『武器スキル付与』で『使用者の体力回復』と『アドレナリンバースト』を付与させたからだ。

 おかげで、狂ったように笑いながら、それまで苦しめられていた魔物をバッサバッサと斬り伏していく。

 これで、常人サイドは大丈夫だな。

 ありがとう、助手。

 良いスキルを教えてくれて。

 俺は、ハンター達とは反対側にいる魔物の集団に飛行した。







 エルドラの報告通り、線路を守る結界を張っていた装置が爆破されていた。

 そして、現在も魔物が線路内を侵し、電車に乗り込んでいく。

 俺が流れを断ち切るとしようか。

 助手、こちらに全敵の注意を向けさせるスキルはあるか?



〈あそこにいる『ルビーシールド』が、『注目』という囮スキルをもっていますー。それを使えば、全体の注意を自分に向けれるでしょー。さあ、『ものまね』ですよー!〉



 任しとけ。

 赤いヤドカリが巨大化した魔物がいた。

 『ものまね』!



《スキル『注目』『ファランクス』『受け流し』『硬化』を獲得しました》



 敵をひきつける役をタンクっていうんだっけ、囮に特化したスキルだな。

 特に目立つのが防御力。

 物理や魔法は効いても、その防御力がダメージをとことん減らす。

 殻で覆われた本体を攻撃しないと、攻撃が有効ではない厄介な敵だな。

 でも、今は厄介な奴に自分からなってるんだけどな。

 そして、奴らは俺を攻撃してきた。

 魔物の姿でも、中身が魔物じゃなけりゃ混じることもできない。

 ルビーシールドの防御力を頼って、殻に閉じこもり、次に何をしようか考える。



 これだけ様々な魔物がいるんだから『ものまね』で、魔物スキルを獲得していくか。



〈いいですねー! ミミゴンにしては良い案ですー〉



 それぐらいの罵倒で動じないぞ。

 近くの敵から、まねしていくか!

 次々と『ものまね』して、ミミゴンという身体は変化し続けていく。

 変化して、鳥になったかと思えば、瞬間で猪に近い姿になる。

 もちろん、この間にも敵は俺を襲いかかる。

 更に、さきほどの『注目』を使用して、車両に向かった魔物も方向転換して牙を向ける。

 猛攻が入り混じって、俺を攻撃するブレスは周りの魔物に被害を与えた。

 魔物が魔物を殺しているようなものだ。

 鋭い爪は、小さい肉体を持つ者を切り裂き。

 研ぎ澄まされた牙は、別の魔物の肉に食い込み、血と唾液を啜る。

 俺は、それらを避ける。



 もう十分か……助手、どれだけ獲得できた?



〈見てみましょうかー。表示しますよー〉



 スキル『ゼノグラシア』『眼力』『麻痺牙』『睡眠牙』『即死牙』『影縫い』『急所発見』『エコー』『デストロイビーム』『癒しの霧』……。



 さすがに多いなぁ。

 ただ、どの状況でも切り抜けられるほどの強さになったんじゃないか。

 こうなったら俺を止めることは、できねーな。

 さてさて、こんなに混雑している魔物達をどう処理してやろうかな。

 めんどくさいから、これでいいか。

 魔物の姿を解除して、人型に変化し『自由飛行』で空中に佇む。



「終わりだ! さー、俺の最強すぎる卑怯なスキルを食らえ! レベルマイナスデ……」

〈はーい! ストップ、ストップー!〉



 な、何しやがるんだ、助手!?

 ちょ、発動しない!

 止めんなー!

 攻めてくる魔物共のスキルを避けながら、冷静になろうと努めた。

 助手は慌てた口調で、説明し始める。



〈何、バカなことしようとしてんですかー!〉



 『レベルマイナスデス』で一掃しようかと。

 良い考えのはずだ。

 俺よりレベルの低い魔物を即死させるスキルだろ?



〈魔物だけじゃないんですよー! 分かっていますかー! 生物もですよー! 生物ー! 生き物、全て効果の範囲内ですよー! 何が言いたいか分かってますかー!〉



 生物……乗客も巻き込まれるのか。

 けどさ、この前ドワーフを魔物から助けた時『レベルマイナスデス』使ったが、あいつらには効いてなかったが。



〈『魔結界』は、スキル攻撃から身を守るものですよー。そんなの効くわけないじゃないですかー〉



 要するに『魔結界』の中にいる人物は平気ってことだな。

 今で言うなら、ダンダンは『魔結界』の中だから安全か。



〈『レベルマイナスデス』は非常に強力なスキルですがー、逆に広範囲すぎて味方も巻き込むので、不便でもあるのですよー。それに死霊スキルは経験値を得ることは、できませーん〉



 死霊スキルは経験値がもらえないのか。

 通りでこの前、即死させた時に充実感が得られなかったわけだ。



〈死霊スキルっていうのは、言わば死神の召喚ですからねー。死神は命欲しさに殺すんですから、私達の経験値にならないのは当然ですねー〉



 死神に経験値である魂をもっていかれるわけか。

 うーん、一掃したい気分だ。

 こうなったら、エルドラに化けて暴れてやる。

 肉体がグワングワンと揺れながら、徐々に徐々に龍の姿へと変身する。



「グオオオオー! ハッ! エルドラ参上だ!」

(ウオオオー! やってやれ、ミミゴン! いや、我よ!)



 試しに、この囲まれた状況で全力で腕を振るってみる……。







 ……終わった。あっけなく。何もない。



(ちょっと、強すぎたな。地形……変えちまったな)



 エルドラのドン引きが、伝わってくる。

 い、いや俺は戦いを楽しむ性格じゃないからな。

 これでいいんだよ、レベルも1上がったし。



〈いつまで、この状態でいるんですかー。エルドラって結構大きいですしー、目立つのですよー〉



 よし、満足、満足。

 『ものまね』の効果を解除し、エルドラから普通の人間に戻った。

 ずっと同じ服では楽しくないから『異次元収納』で衣服を取り出し、早着替えした。

 しまった、これ女性用の下着じゃないか。

 俺、今の性別、男だよな。

 これはしまって……で、あれはあれはどこだ。

 わけもわからず、クワトロから買いすぎたな。

 エルドラが、『念話』で事態を引き起こした犯人を報告する。



(ミミゴン、今回の電車を襲わせた犯人を見つけたぞ。ほら早くしろ! 逃げちまうぞ!)



 待て待て! 焦らせるな!







 着替え完了。

 クールなスーツを身に着ける。

 今から首謀者を懲らしめると共に、リライズの最高権力者に会うんだからな。

 エルドラ、位置を教えてくれ。



 位置情報を貰い、『テレポート』で瞬間移動し、捕らえに行った。

 これで電車事件は無事終了した。

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