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ミミック・ギミック:ダイナミック  作者: 財天くらと
第三章 リライズ決然編
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41 新都リライズ:道中―暴力

「いや、傭兵じゃないんだが。ってさっきも言ったな。あんた、何者だ?」

「さー、当ててみては」



 クイズ番組やってんじゃねーよ、答えろよ。

 うーん、助手は分かるか?



〈おそらく、竜人でしょうかー。かなりレベルの高い方ですから、進化した龍人ですねー〉



 竜人!? いや、龍人!?

 けど、顔が竜っぽくないぞ。

 顔をまじまじと見つめて、確認する。

 気持ちの悪い笑顔が張り付いている。



〈それは戦闘の際『竜化ドラゴフォーム』や『龍化ドラゴハーモニー』を発動させることで、全身が竜のようになるのですよー。普段は力を温存するため、人の姿なのですー。人といっても人間と同じではなく、体格も大きいですし、角も生えていますー。この男は、その角をニット帽で隠しているのでしょー〉



 そういうことか。

 この前、グレアリングでの騒ぎにいた、ラバートっていう竜人は『竜化』していたわけか。

 じゃあ、エルドラは?

 常に竜の姿だが、いや龍か。



(ん、我か? 人の姿に戻ることは出来るぞ。神龍人だからな。だが、人の姿では牢獄が広くなって、不便なのだ。それによぼよぼのジジイになるし、ブサイクで嫌なのだ)



 移動が面倒で、姿を見られたくないと。

 どうせスキルで、どうにかなるんだろ。

 とりあえず、謎の男の質問に答えた。



「龍人だろ。それにニット帽で、龍人の証拠である角を隠しているとみた」

「お見事! さすが強者は違うねー」



 パチパチと拍手している。

 そして、ニット帽を外し、黒い角が二本現れた。

 以外に小さいんだな。

 女性のように艶やかな長髪を垂らし、握手を求める手を出してきた。

 細目が、俺を捉えている。



「僕の名前は『ラオメイディア』! ラオって呼んでくれて構わないよ。スカウトマン兼社長だよ」

「社長? 何の」



 目を光らせて、俺の手を握る力が強くなる。

 口角を上げた後、ゆっくりと話し始めた。



「傭兵派遣会社『VBV』だよ。聞いたことない?」

「聞いたことないし、やってることは非人道的なんだろ。誰がついていくか。じゃあな」



 逃げるように去ろうとするが、ラオの手が拒んでくる。



「君のパワーに一目惚れさ。ハンターやるより、もっと稼げるけどなー」

「俺が金で動く男だと思ったか、社長さんよ。今度、お宅の会社を潰して……」



 何かが音と共に迫ってくる。



 振り返って、説得しようと思ったが、目の前に剣先を突きつけられ、何も言えなかった。

 なるほど、脅しか。



「僕と一勝負してみないかい? 君が勝てたら、退いてあげるよ」

「めんどくさいな。はいはい、勝負ね。一旦距離を置いて、始めようか」

「いいねぇ!」



 互いの距離が広がっていく。

 広い草原、近くには倒したラフレシアビュースの焼死体、草を揺らす風。

 ラオと俺が向き合い、戦いの時を待つ。

 と、戦いの前に聞いておく。



「あのさ、『VBV』って何かの略なの?」

「あー、『Violence・Breeds・Violence』だよ。暴力バイオレンスが暴力を生むってね」



 英語も、この世界にあるんだな。

 いや、各国の言語が混ざっている世界なのか。

 俺は転生してきたのではなく、もしかしてゲームの世界に入ってきたとか?

 今は関係ないため、脳内から弾き出す。



「いつでもいけるか!」

「ええ、いつでもかかってきなさい」



 余裕溢れる笑顔を向けて、言い放つ。

 じゃ、遠慮なく行かせていただくわ。



「『テレポート』!」

「……!? え、え、え、え」



 戦う気なんて最初からない。

 暴力が暴力を生むんだろ、じゃあ俺は戦わない。







 『テレポート』で、サカイメの街に戻ってきた。

 社長の誘いは無視だ無視。

 ラフレシアビュースが討伐されたからか、最初に訪れた時よりも活気に満ち溢れていた。

 特に解決屋の連中によって。

 『地獄耳』のスキルで、遠くから盗み聞く。

 あと念の為に『透明化』で、姿を隠しておいた。



「赤髪の兄ちゃんが、瀕死の俺たちを治していったんだ! それにあいつが、ボスを倒したんだとよ! レイランが言ってたぞ!」

「そうだ、受付嬢さんよ。あの人に会って、お礼がしてえんだ! どこにいるのか、わかんねーのか。家族とかは。ハンターなら登録してあるだろう」

「そう言われましても、討伐報酬はまだ受け取っておられませんし。それにたとえ、ハンターだとしても個人情報をお教えするわけには」



 あいつら、俺が治した連中じゃねーか。

 フフフ、堂々と姿を出したら……。

 嬉しい想像をするが、うん分かってる。

 めんどくさい事になるのがオチだ。

 そうなる前に、おさらばするか。



 で、どうやってリライズに行こうか。

 エルドラ、案内頼む。



(そうだな、本来なら報酬を貰って、電車でリライズに直行してほしかったのだが。ミミゴンは旅を楽しみたいだろう)



 その通りだ、エルドラ。

 で、ちょっと考えたんだが、車に乗ってみたいと思ってな。



(ほう! 車か! 我も乗ってみたいものだ! 車なら二日で着くだろう)



 二日もかかるのか、いや二日で済むのか。

 よし、レンタカー会社でも探してレンタルしてみようか。



 歩いて数分、やってきたのは車を貸し出す会社。

 昭和の自動車から、見たことのある自動車、路面以外も走れるバギーカーもある。

 免許持ってないけど、いけるだろ。

 元の世界では持ってたし。

 運転方法も同じだろ、簡単だ。

 さてと、値段は……。



 6時間、7000エンか。

 金無いし、無理だな。

 軽乗用車で、この料金。

 乗りたいものだが、我慢して歩くことにするか。

 エルドラ、リライズまで歩いて何日ぐらいだ?



(うーんと、1週間はかかるな。それに道中、魔物で溢れている。あまりお勧めでは、ないな)



 『テレポート』が使えたら……。

 一度行った場所じゃないと、転移できないのが弱点だな。

 どうやって行こうかと、悩んでいると頭にしわがれた声が響く。



(ミミゴン、忘れておらぬか)



 オルフォード……あっ。

 ここが襲われる原因である、魔力の溜まった埋葬物を掘り出さなくてはならない。

 さて、どう探すか。

 オルフォード、案はないか。



(魔力が込められとるなら『魔力感知』で、位置が特定できるはずじゃ)



 なるほど、早速試してみようか。

 今まで切っていた『魔力感知』をオンにして、探ってみる。

 波紋が広がるように、感知の範囲が広がっていく。



 ……大きな反応を発見した。

 場所を確認し、『自由飛行』で空から向かう。

 街中は結構入り組んでいるので、歩いていくのは賢くない。

 「懸命に」ではなく「賢明に」を教えられてきたからな。

 ズルしてもいいから楽を極めろ。

 ただし、人に迷惑をかけるものはダメだ。

 『自由飛行』を持ってるなら、使えばいいってこと。

 それに……ウワッ!?

 カラスが、腹に突撃……ぃ。

 『透明化』だから見えてないのか、こいつら。

 さっさと『疾風迅雷』で『高速移動』より速い移動をする。

 ほぼ雷の速さで、飛ぶ。

 楽ちんであること、この上なし……ウッ!?

 また、カラス……ぅ。

 ど、どんだけ当たるんだよ。

 ちょっと不運すぎないか。



 問題なく――まあ、カラスの件はあるが――到着した。

 が、先客がいた。

 この前、こいつに殺されたといってもいいだろう。

 白装束を纏う死人、タナトフォビアが漂っていた。

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