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ミミック・ギミック:ダイナミック  作者: 財天くらと
第三章 リライズ決然編
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40 新都リライズ:道中―問答

 謎の男はただじっと俺が何をするのか、隅から隅まで観察している。

 ほぼ監視と言っていいかも。

 で、正面の化け物をどう倒すか。

 んじゃ、魔法でも使って、終わらせてやる。

 そうはさせないぜ、と太い茨の腕で叩き潰そうと攻撃してきた。

 攻撃を避けて、両手を挙げる。

 それぞれの手から『インフェルノ』を繰り出す構えだ。



「両手『インフェルノ』!」



 発射された二つの巨大な火の玉が直撃し、大爆発して煙が出来上がる。

 終わりだろ……くそ、タフだな。

 植物は火に弱いと思っていたら、大間違いだそうだ。

 とんだ偏見だったようである。

 まったく効いていないわけではないが、中に火が通っていないのだろう。

 魔物は長くて棘のある触手を、数に任せて襲ってくる。

 手を広げ、『バリアウォール』を発動。

 バリアに触手が覆いかぶさり、日光を遮られてしまった。

 時間が経過するたびに、バリアがへこんでいく。

 上から無理矢理、押しつぶされ、バリアを解除しようものなら、すぐに薄くペッチャンコにされるだろう。

 そんなことされたら、血がぶちまかれ、モザイクでないと見られない姿になってしまう。

 いや、モザイクでも見られない!

 『テレポート』で脱出だ!



 近くに退避し、元居た場所には見ていて痛々しい茨で埋め尽くされていた。

 さ、助手よ、クールなスキルを紹介してくれ。



〈自分の、オリジナリティー溢れる剣を造られてはいかがでしょー。『武器創造』で自由にイメージした武器をー。『チャージタイム0』のスキルもありますから、すぐに出来上がりますよー〉



 ほう、面白そうじゃないか。

 イメージね、イメージ。

 と、思考している内に奴が迫っていた。

 だが、『思考加速』のおかげで十分、時間があった。

 さあ、出てこい。

 俺の剣よ!



 手に握られていた武器は。

 ラフレシアビュースと同じぐらい巨大な大剣であった。

 重ッ!?

 ドシンと、地面に落とし、地面に窪みができる。

 とてもじゃないが、片手では扱えない。

 両刃は鋭く、どんなに大きかろうと叩き斬れるだろう頼もしさはあるものの、反面重すぎて引きずるようにしか動けない。

 ああ、もう、しょうがねぇ!

 これでも、いいから食らえ!

 突進してくる敵に向き、走る。



 大剣を地面に擦りつけて、目の前まで迫ってきた巨体に、全身に力を入れて振り上げた。

 弾かれることなく、スパッと気持ちよく、迫る触手と茨で守られた身を斬った。

 斬られた触手も体も、すぐに再生する。

 効果は薄いか。

 それにしても、腕が痛い。

 重すぎる、こんなのイメージしてないぞ。



〈『武器スキル付与』で『無重量』を付けてみてはどうでしょー〉



 あ、そんなのできたの。

 だから、早く言えよ、それを。

 じゃあ、それも試してみるか。



「『武器スキル付与』! 『無重量』!」



 即座に効果が発動したようで剣が輝き、軽くなった。

 軽ッ!?

 片手で持てるどころか、小指でも余裕だ。

 何だか遊びたくなってきた。

 またまた詰め寄ってきた、ラフレシアビュースに対し、武器を持ち上げ待機する。

 触手を伸ばし、牽制のつもりだろうが、お構いなく切り裂く。

 接近した奴は、レイランを苦しめた青いブレスを放ってくるが効くわけがない。

 俺はチャンバラごっこのように楽しく振り回し、傷つけていく。

 触手が生えては斬り落とされ、ボトッと地面に落とし、再び生やす。

 剣技スキルも発動させてみる。



「『貫通断裂』! 『プラントキラー』! 『斬撃飛ばし』! 『魔法剣:炎』!」



 助手から教えてもらったスキルを、試して遊んでいた。

 相手は怒りで我を忘れ、腕をあっちこっちに振り回し、青い霧も常時出ていた。

 俺は無双ゲームのように、めちゃくちゃに斬る。



 これで終わらすとしよう。

 助手に言わせれば、剣で放つスキルで最も強いスキルを使用する。

 大剣を軽々と動かし、逆手に持つ。

 刃に宿る炎の火力を、魔力で更に高める。

 下校中、傘を逆手に持って「アバンストラッシュ!」なんて言ってた頃のように、思いっきり腕を振る。



「『命絶つ聖剣』!」



 光燃え盛る剣は、ラフレシアビュースの巨体を真っ二つにし、更に断面は燃え、再生不能にさせる。

 一撃必殺のスキルを受けて、生きていられたらたまったもんじゃない。

 火に包まれた巨体は地面に倒れた。

 無事、討伐成功だ。

 楽しかったな。







「あの化け物を、一撃で……な、何者なんだ! Aランクハンターなのか!」



 どうやら、レイランはさっきの瞬間を確認していたらしい。

 いきなり起き上がって、質問攻めである。



「さっきの技は! ハンターなのか! ランクは!」

「え、あー、ハンターじゃねぇよ」

「じゃあ、今の職業は!? お前、絶対ハンターの方が稼げるさ! 俺の紹介があれば、すぐにAランクになれる! どうなんだ!」



 唾を飛ばし、興奮が収まらない様子だ。

 近づけてくる顔を、手で押し返し話す。



「今の職業は、その、傭兵だ。そう、傭兵で各地を歩き回っている。偶然通りかかった街が、大変なことになっていると聞いて、助けたんだよ」

「よ、傭兵……」



 傭兵という言葉を聞いたとたん、信じられないという表情が一変し、怪訝な表情へとすり替わった。

 徐々に軽蔑する目で睨み始めている。

 え、何、この世界じゃ傭兵って嫌われているのか?

 ジョシュー知恵袋で答えを。



       傭兵について教えてください



質問者

ミミゴンさん


 異世界では、傭兵というのは嫌われているのでしょうか?

 傭兵と職業を名乗ったところ、差別するかのような目を向けられました。

 傭兵とは、どのような仕事なんでしょうか?

 教えてください。

 閲覧数:1 回答数:1 お礼:チ1000枚



ベストアンサーに選ばれた回答

賢くて頼りになる助手さん


 まず、ハンターについて考えてみましょー。


 ハンターとは、解決屋にて活躍する職業ですー。解決屋では、モンスター退治はもちろんのこと、人探し、依頼された物の採取、護衛、情報収集、未開の地の調査等、幅広く依頼を受け付けていますー。


 察しの良い質問者さんなら、もうお分かりかと思いますー。


 そうですー。解決屋では頼めない依頼を担当するのが、傭兵なのですー。殺人の依頼、暗殺、誘拐、強奪などー、人の道理に反した行為で稼ぐのが、この世界での傭兵なのですー。


 ですから、人々から嫌われた職業なのですー。ぜひ、今度嘘をつく時は、傭兵とは名乗らないよう気を付けてくださいねー、ミミゴンさーん。でないと、その口、二度と開けないようにしますよー。



質問した人からのコメント

 分かりやすい回答、ありがとうございます!

 そうですか、私の中での傭兵のイメージではカッコいいと思って、それで答えてしまったので次からは気を付けようと思います。あと、最後の一言はいらないと思います。あなたこそ、二度と解説させないようにしますよ。



 回答をいただいたところで、レイランはさっさと街に戻ろうとしていた。



「レイラン、実を言うと……」

「もう俺の前に、姿を現さないほうがいい。じゃあな、ミミゴン」

「おい、おーい! 傭兵じゃないんですけどー」



 耳を傾けることすら許さないレイランは、サカイメの街に戻っていってしまった。

 いくら嫌われているといっても、あそこまで反応するものなのか。

 姿を現さない方がいいって。

 まあ、俺が悪いっちゃ悪いんだけどな。

 傭兵と嘘偽ったわけだし、正直に話せば良かったか。

 俺も帰るとするかな。



「やーやー、君! ミミゴンっていうんだっけ? 傭兵なんでしょ。どこの所属かな?」



 わ、忘れてたわ、お前の存在。

 ニット帽を被って、ニッコリと笑っている男が立ち塞がっていた。

 にやけて細くなった目の色は、赤だった。

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