4 大脱出計画
(ミミゴン、元の体に戻れるか?)
「ちょっと待っててくれ」
残念ながら化けた後の戻り方、知りない。
こういった分からない時には……。
「助手さん!」
〈はーい、かわいい助手の出番ですねー〉
「どうやって、元の宝箱みたいな姿の機械に戻れるんだ?」
〈『解除』と唱えれば、元に戻れますよー〉
「ありがとう、助手さん」
〈では、またー〉
「『解除』!」
(ほう、元に戻った)
俺の体は再び、宝箱のロボットに戻った。
そうだ、素の俺のステータスを見てみるか。
「『見破る』!」
名前:ミミゴン
レベル:1
種族:兵器
称号:なし
戦闘用スキル:『見破る』
常用スキル:なし
特殊スキル:『ものまね』『機械』『助手』
あれ? エルドラに化けたのにスキル、あんまり増えてないな?
こういう時も頼るしかない。
「助手!」
〈はーい! どうされましたー?〉
「化けた相手のスキルを取得できるんだよな? 増えてないですけど」
〈エルドラが強すぎて、取得できなかったのですー〉
「俺がエルドラぐらいに強くなれば取得できるのか?」
〈その通りですー。今は無理ですが、強くなればいけますよー〉
「分かった、助手。あと、スキル『機械』って何の効果があるんだ?」
〈はい、スキル『機械』は『全障害ステータス無効』の耐性などが追加されたりしますー〉
「つまり、毒とか麻痺が効かなくなったということか?」
〈その通りですー〉
『機械』は、使えるはず。
生き抜く自信がちょっと出てきた。
さて、やる気が出てきたところで……。
「なあ、エルドラ。この迷宮から、どうやって抜け出すんだ?」
(今から言う作戦なんだが……。いいか、我は出られない。辛いがミミゴン、お前だけ外に出てほしい)
「俺だけ!?」
(我が持つ『テレポート』という行きたい場所に転移できるスキルがあるのだが、使えないのだ。
そこで、もう一つのスキル『強制送還』の相手を強制的に転移させる効果で、ミミゴンを迷宮の外に出す。ここからが重要だ。ここを出たら、迷宮の封印された扉を開けることができる奴を探すのだ。そいつが開けたら……我は無事、迷宮から脱出! どうだ? 我の作戦は? これは『ものまね』を使えるお前なら簡単に出来るはずだ)
俺が外に出て、迷宮の扉を開けられる者を探すということか。
「迷宮の扉は、エルドラでも開けられないのか?」
(無理だ。【英雄の迷宮】は我を完全に封印するために造られた建物なのだ)
エルドラの表情を見るに何をやっても無駄だったらしい。
最強の神龍人、エルドラでも逃亡不可能な【英雄の迷宮】。
誰が造ったんだ?
「エルドラ、そもそも何でここに封印されてるんだ?」
(昔、神龍に進化した時だ。その頃、我は自分の国を造って調子に乗っていた。そんな時に一人の青年が我に挑んできたのだ。……油断して、あっさり負けた。まあ、我は『不死身』のスキルで死なないからな。そいつが迷宮を、その場でササッと造って中に封印された)
その青年、さすがにもう生きてないよな。
俺がここの封印を解くと知ったそいつは、殺しに来るかも。
エルドラでも勝てない相手だ、外に出ても慎重に行動しないと。
生きてなくても青年の子孫とか、【英雄の迷宮】について知っている者に気を付けないとな。
というよりも、エルドラって悪い奴なのか?
(どうだ、外に出る準備は大丈夫か?)
「ああ、いつでも『強制送還』してくれて構わない」
(……では、行くぞ! 『強制送還』!)
俺、異世界に来れて満足している。
最初、戸惑ったがもう慣れちまった。
こんな体験、ものまね芸人だった時できたか?
俺は幸せ者だよ、だったら……。
楽しまないとな!
俺、頑張れ!