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ミミック・ギミック:ダイナミック  作者: 財天くらと
第三章 リライズ決然編
37/256

35 ミミゴン:進化

《『兵器』から『無人航空機:オクトコプター』に進化可能です》

《進化しますか?》



〈はいー!〉



《身体構造を変形、経験値を加工……進化中……》

《進化完了まで……15%》

《進化完了まで……35%》

《進化完了まで……60%》

《進化完了まで……85%》

《進化完了まで……100%》



《進化……完了》



《種族『無人航空機:オクトコプター』に進化》

《スキル『自由飛行』を獲得しました》

《称号『新種族』を獲得できます。『新種族』を獲得することで……》



〈保留でー。……さーてと、大改造しちゃいましょうかー〉







〈ミミゴーン、起きて下さーい! 朝ですよー〉



 もう、朝か。

 あぁ、これほど充実した睡眠は初めてだ。

 さてと、車輪を出して走りまわるか。



 ガシャン、ウィーン……スー……。



 ん、車輪じゃない?

 いつもの感じで出すと、いつもと感覚が違った。

 前面、側面、背面から、それぞれプロペラが2個ずつ、計8個出てきた。

 そういえば、日本で流行っていた物に似たようなのがあったな。

 ドローン。

 そう、8つの回転翼が付いた、言わばヘリコプターだ。

 俺は空を得たのか。



 試しに飛んでみようか。

 静かに回転翼を回して、飛び上がった。

 ホバリングすることも、自由にあちこち移動することもできる。

 宝箱のサイズも、全体的に小型化している。

 浮きながら、蓋を開けて、背面から出た手を突っ込ませ、本を取り出す。

 ときに、この本まだハウトレットのところに返してなかったな。

 暇ができたら、本棚に戻しにいくか。



 うん、今まで通り、箱としてもちゃんと機能している。

 ステータスは、どうなっているんだ。



 名前:ミミゴン

 レベル:100

 種族:『無人航空機オクトコプター

 称号:『劇的変化パラダイムシフト

 耐性:『全障害ステータス無効』『全属性魔法無効』『下位スキル無効』

 戦闘用スキル:『覇王』

 常用スキル:『覇王』

 特殊スキル:『ものまね』『機械』『賢王』『覇王』

 究極スキル:『絶対君主』







 かなり混雑しているかなと思ったら、こちらもスッキリしている。

 逆に不安になってくるな。

 助手、この『覇王』はなんだ?



〈大体のことが出来るスキルですー。魔法系や感知系、戦闘系、名誉系など網羅してありますー〉



 ほとんどのスキルを、綺麗サッパリにまとめたのが『覇王』ってことか。

 『賢王』は、助手のスキルだろう。

 『下位スキル無効』は、弱いスキルは効かないということか。

 究極スキルの『絶対君主』が最高に気になるな。

 かなり強そうだが。



〈必殺技ですー。多分、使わないと思いますー〉



 必殺技!?

 尚更、知りたいんだが。



〈必殺技ですー。使わない方がいいですー〉



 じゃあ、なんで獲得したんだよ。



〈このスキルは、もしもの時のみですー。スキル使用権限は、私が持っていますのでー、ミミゴン自身の意思では使用不可ですー〉



 俺が、助手に乗っ取られている気がする。

 これだと、助手に操られているみたいだ。

 気になるけど、無視するか。







 『テレポート』で1階に降り、城を出ると鬼人たちが集まっていた。

 よく見れば、大きい鳥がいる。

 人が乗るのに苦労はしない大きさだ。

 日光を吸収する黒い翼を広げ、あくびのために口を大きく開ける。

 鬼人の人だかりから、一人の男がこっちに歩いてきた。

 刑事みたいな、スーツの上にトレンチコートを着た人間だった。

 口にくわえていた葉巻を、ちょうど形に合った灰皿に入れる。

 男が軽くお辞儀をして、喋りはじめる。



「ほんとに機械とはな。ここが旦那ぁ、の国。エンタープライズですかい?」

「そうだが、お前は?」



 顔にかかる前髪を、すくいあげて。



「自分は……メルクリウス・クワトロだ。よろしく、旦那ぁ」



 胡散臭そうな男が、あのでかい鳥を呼ぶ。



「こいつは、召喚獣キャリー。メルクリウス家、代々受け継ぐ相棒さ」

「相棒? この鳥がか?」



 明るく笑って、丁寧に説明した。



「ああ、そうさ。メルクリウス家は商売の家でね。そこに生まれたら、経営の勉強、経済の勉強、交渉の勉強、戦闘の勉強、地形の勉強、世界の勉強……まあ、商売に関係することなら、繋がりが薄いものでも勉強するのさ。そんな忙しい俺を支えてくれるのが、相棒のキャリーってわけだ」

「ええと、クワトロは商人ということだな」



 指パッチンをして、ウィンクする。



「正解さ、旦那ぁ。そう、グレアリングとリライズを担当する商人なんだが……まさか、こんなところに国ができたとはな」

「で、なんの用なんだ?」

「自分は商人。言いたいことは分かるよな」



 キャリーの背中に取り付けられていた無機質な長方形の箱を取り外し、地面に置く。

 クワトロが箱のボタンを押すと、プシューと音を鳴らしながら変形し始めた。

 そこには、即席の建物が出来上がっている。

 真ん中は空洞になっており、建物内に入れるようになった。

 クワトロが、中に入れと指でジェスチャーをしている。

 足を慎重に運び、商品が並ぶ店内に踏み入った。

 ここは……。



「どうだ、驚いたろ。これが、クワトロの店さ。ここに並べられているのは日常品から食材、そして武器まで……何でもござれ、ってやつさ」

「思いのほか、広いな」



 商品を綺麗に整えながら、クワトロは話す。



「これもメルクリウス家、代々受け継ぐ商売道具さ。『空間拡張』に『防音』、『対衝撃』『温度変更』も付いた、高機能次世代型移動式稼業道具さ。ところどころ、自分仕様にカスタマイズしているが……気に入ったか?」

「居心地は良いかもしれないな。ずっと、ここに居たくはないが」



 調理道具、食器、懐中電灯、ライター、炭酸飲料水、魚、肉、剣、槍、銃、爆弾……。

 クワトロが奥のソファに座れ、と誘導する。

 空中を飛ぶ機械の俺を見ても驚かないのは、鬼人に聞いたのか。

 テーブルには、水色のハンコが押された書類が散らばっている。

 それをどけて、クワトロは腰を下ろす。



「旦那ぁ。商売ビジネスの話、しようぜ」

「国がお抱えの商人にしてくれ、ってことだよな」

「そういうことさ。どうだ、クワトロのお得意様にならないか?」



 正直、良い話だ。

 必要最低限の物は、アイソトープが作ってくれている。

 が、大量生産はできない。

 これ以上、人が増えることを想定すると、商人の存在は考えたい。

 タイミングが良いな、クワトロってやつは。

 不気味すぎるくらいにな。



「よし、成立だ!」

「旦那ぁ……贔屓にしてくれよ! それで、何が欲しいんだ?」

「そうだな、今日は決められないかもな。全員に、聞いてまわる時間が欲しい」

「了解了解。明日、また来るよ。今日中に、トルフィドの村にも行っておかなければならないんだ」



 今日はこれで別れ、国民に欲しい物、必要な物を聞いていくことにした。

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