表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミミック・ギミック:ダイナミック  作者: 財天くらと
第五章 傭兵派遣会社壊滅編
142/256

132 必定に納得を

「バルゼアー……ラオメイディアに挑んでいたのか」

「私を愚かだと笑うか。大いに結構。そういう生き方をしてきたのだから。ラオメイディアを倒すのは私ではなく、道場で育てた子。”教育”を施し、いつの日か……」

「笑いはしない。が、もうその必要はないな。いいか、ちゃんと育てろ。子供たちを」



 言葉をぶつけた途端、バルゼアーは頷いて、星空を眺めた。



「ありがとうございます、ミミゴン様。おかげで目が覚めました。道場はお任せください。それと……私の独り言を、レイランに伝えるのは止してください。彼は、まだ理解できないでしょう」



 ラオメイディアは復讐しに来た敵にさえ、説教できる。

 恐れていないのだ。

 たとえ相手が風雲の志士であろうと。

 レイランが挑んだところで、返り討ちにあうのがオチか。

 だけどな。



「分かった。バルゼアーの独り言は伝えないでおく。だがな、あんたが思っている以上に、あいつは強いぞ」



 「そうですか」と漏らして、遠くで狩猟しているレイランを見やる。

 その表情は、我が子を見守る笑顔だった。



「人は内から溢れ出る”悪”を抑えつけながら生きる。”欲”とも言ったりする”悪”を抑えつけて、生き方を探す。正義を貫くほど、自由から遠のく。やりたいことたくさんあって、だけども我慢し続けなければならなくて。よく耐えられているなと思いますよ、83年間生きてきて。時折、御伽噺おとぎばなしの邪神に憧れたりしましたよ。たまには、いいんじゃないでしょうか……”悪”を解き放っても」



 レイランの復讐を肯定しているのだろうか。

 もちろん、犯罪行為を推奨しているわけではない。

 たとえ、後悔する結果となっても、やりたいと思ったならやれと言っているのだろうか。

 バルゼアーの物言いは、まるで自分自身にも聴かせているみたいだった。

 バルゼアーは、こちらに向き直って。



「レイランに教えたいことがある。もう一日、預かってもいいだろうか?」

「俺がどうかしたのか?」



 後ろに、レイランが立っており、先ほどの会話を聞いていたみたいだ。

 住処を失った魔物の襲撃を、どうやら食い止めたらしい。

 周りは、安堵の雰囲気で包まれていた。

 疲れ切った体を地面に投げ出している者達が多い。



「レイランよ。『魔法剣』を活用した必殺技を授ける」

「必殺技だって!? 早く教えてくれ!」



 必殺技ねぇ。

 正直、ラオメイディアに通じるものなのかと疑いたくもなるが。

 それはそうと。



「レイラン、今日はもう休め。バルゼアーも、明日でいいよな」

「もちろんだ」

「えぇ!? ……分かったよ。怖い目で見つめるなよ、ミミゴン」



 レイランも覚悟しているはずだ。

 必殺技なんて、気休め程度にしかならないことを。

 ラオメイディアは無敵に近い存在だ。

 祠で手に入れたエクスカリバールで、一応対抗できるが。

 その必殺技、当然リスクもあるよな。

 はぁ、助手。

 快眠できる方法を教えてくれ。



(カフェインとアルコールの摂取を控えることですねー。あと、就寝一時間前にはスマホの電源を切りましょうかー。それから、入浴もしましょー! あと、入浴時に全身潜れば除霊できるそうですよー! ところで今でも悩んでいるのですけどー、就寝時の部屋の明かりって真っ暗の方が良いんですかー? ブルーライトを唯一含まない色がオレンジの光なんですけ……)







 翌朝、セルタス要塞を発つ準備を終え、三人は門前に集まっていた。

 朝起きた時には、既にレイランは必殺技を習得していた。

 バルゼアーも昨日と比べて、満足気な顔をしている。

 レイランが、ラオメイディアへの復讐に付いてきてほしいとお願いしたが、バルゼアーは要塞の修理等で忙しくなるみたいだ。



「そうか、残念だ」

「レイラン……君に託したのだ。私の分も、奴にぶつけてきてくれ。頼むぞ」

「任せてくれ! 俺は、もう負けない! 必ず復讐する!」



 バルゼアーと近くにいたハンター達が、手を振っているのを確認して『テレポート』した。

 一瞬で目の前の光景が、要塞からエンタープライズ城へと変わった。



「レイラン、これからどうする?」

「そうだな。トウハに見せつけてやるか。特訓の成果を!」

「共に切磋琢磨して強くなれ。じゃあな」

「ありがとう、ミミゴン! 良い旅だった!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ