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短編集 詰め合わせ

ネカマ オフライン

作者: 忍者の佐藤

俺には一つ趣味がある。それはオンラインゲームで女キャラクターのフリ、「ネカマ」をすることだ。

ネカマというのは「ネットおかま」の略で、自分の顔が見えないことをいいことに、男であるにも関わらず女のフリをしている奴のことを言う。

そして俺はゲーム内では「ユナ」という名前の女エルフで、サラサラの金髪(きんぱつ)豊満(ほうまん)な胸を持った超絶美女を演じている。


なんでそんな事をしているのかといえば一つは女のフリをしていた方が何かとお得だからというのがある。何かとちやほやされるし、レアアイテムをタダで(もら)えたりするのだ。


理由のもう一つはアホな男を釣るのが楽しいからである。今までも本当にアホな男をたくさん見てきた。

ユナの取り合いをするあまり内部(ないぶ)分裂(ぶんれつ)して崩壊(ほうかい)したギルドや突然チ○コの画像を送ってきた奴。

「ストリップしてるところが見たいなあ」と言ったら本当に腹を()らしながら服を脱ぐ姿を動画投稿サイトにアップしたデブもいた。もう笑いが止まらない。


そんな俺に最近すごく言い寄ってくる男がいる。「GB」というユーザーネームの剣士で、俺がログインするやいなや飛んできて話しかけてくる。最初はあしらっているだけだったのだが、あまりに熱心なコイツが「ユナ」の正体を知ったらどんな反応を取るのだろうか徐々に知りたくなってきた。


そこで俺はリアルの場で剣士GBに会うことを決めたのだった。



***



GBとの集合場所は俺の住んでいる近くの駅前に決まった。


本来は19時集合だったのだが俺は30分ほど早めに来て、植木の(しげ)みから様子をうかがっていた。ネカマの(さそ)いに乗ってホイホイやってくるGBとはどんなアホなのだろうか。筋トレが趣味(しゅみ)と言っていたからガタイのいい男かもしれない。40過ぎのハゲたおっさんとかだったら面白いんだけどなあ。


その時、駅前の噴水(ふんすい)のあたりに若い筋肉質の男がうろつき始めた。俺は辺りを見渡すが(さび)れた駅のためほかに人影は見当たらない。間違いない、あいつがGBだ。


俺はそわそわと辺りを見回すGBの顔を見て笑いが抑えられなかった。バカめ! お前があんなに入れ込んでいたユナは男だったんだよ!


俺は早速 茂みを出て行き声をかける事にした。

「GBさんですか?」

こちらを向いたGBは目を大きく見開いていて(おどろ)きを隠せないようだ。


「え? どうしてその名前を? あなたは誰ですか」

「あっはっは! 残念だったな! 俺がユナだよ! 俺はネカマだったんだよ! お前はハメられたんだよ!」

「ユナ、会いたかったよ」


予想外の答えに鼻水が出そうになる。

「え?」

それが俺の(しぼ)り出せた精一杯の言葉だった。

「僕はずっと前から君が男だと気づいていたよ。いくら隠してもちょっとした言葉づかいや男的な考え方は表に出てしまうものだからね」

俺は頭が混乱していた。じゃあ何故この場に来たというのか。GBはさらに言葉を続ける。

「そして、こんなに多くの男を(とりこ)にするのがどんな男なのかずっと気になっていた。会いたくて会いたくて仕方なかったんだ」


「よ、要するに?」

「僕はホモなんだ」



――その夜、ハメられたのは俺の方だった。



おわり


お読みいただきありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
[良い点] いつものホモ要素 [一言] ヤメロォ!(建前)ナイスゥ!(本音) ハメられたと言うより掘られた? いやどっちもあってるな
[良い点] 無駄なく綺麗にオチていて笑わせていただきましたw [一言] 主人公もかよwww
[良い点] ネトゲあるあるなネタで、よく聞く話だったのでイメージが湧きやすかったです。 最後のオチが個人的にすごく好きです。
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