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異世界を平和にすることも二人ならできる!  作者: 青藤 清也
第0章 異世界に行くまで
3/14

いつも通りのはずだった日常

〜海原 仁〜


ホームルームの時間になり担任が教室に入ってくる。それが合図かのように、みんな自分の席へと戻っていった。なので俺も自分の席へと戻る。

窓の外を見ると雨が強くなっていた…。


気づけば昼休みである。俺はいつものように4人で昼食を取っていた。すると、カブトが袋を俺に渡してながら言ってきた。


「ジン、これやるよ」

「なんだ?誕生日プレゼントか?」


俺の誕生日は1週間を切っている、誕生日のプレゼントだと思うのが妥当だろう。


「俺からじゃなくて、姉さんからだけどな」


カブトがそう言ってくる。やはり誕生日プレゼントのようだ…。


「雛姉が?毎年律儀だなぁ。」

俺はプレゼントを受け取る。雛姉ひなねぇはカブトの姉だ。高校卒業後、無事大学合格を果たし今はキャンパスライフを楽しんでいるはずだ。


「福島先輩からかぁ良いなぁ…」

そう言ってきたのはホルモンである。少し羨望の眼差しで見てくる。


「まぁ、全国模試トップ・バドミントン全国優勝・容姿端麗で生徒会長までこなした、超人だったからなぁ」

コバもそんことを言ってきた。


「まぁ、化け物だよなぁあの人は…」


そう、福島ふくしま ひなは化け物というか天才である。この学校の名を全国に轟かせた初の偉人なのである。カブトの家に遊びに行くと面倒見の良い普通の姉さんだが…ゲームも苦手だしな。


「「何でなんだろうな…」」


コバとホルモンは言葉をかぶらせ、カブトの方を見る…。

俺もカブトの方を見ると何故か誇ったような表情だった。


「当然だろう、俺の姉さんなんだからな!」

そんなこと言ってきた。


いやいや俺らもそうだが、お前も凡人だろ!一般ピーポーだから!!


「お前ただの凡人じゃん!普通の人じゃん!村人Aじゃん!」

ホルモンが声を荒げカブトにツッコむ。

コバも同じことを考えていたのだろう、うんうんと頷いている。


「ウソ…だろ…」


カブトはオーバーなほど驚いた表情をしながら言う。


「いや、小さい頃から一緒の俺が思うに世間一般の分類に入るぞお前は?」


俺もカブトのボケに付き合ってやり、さらに言い放つ。


「むしろ、雛姉にゲームで勝つ俺の方が天才だろう」

「いやいや、ゲーム苦手なだけだから!チンパンジーでも天才になれちまうよ!」


カブトが速攻で俺にツッコんでくる。そう雛姉はゲーム好きなのに驚くほどに才能が致命的なのであった…。

わかってはいたが、やはり俺も凡人らしい…。

気づけば、みんな笑っている。他の人にとってはくだらないやり取りだとしても、俺達だけは笑うことのできる空間がそこにはあった。


帰りのホームルームの時間も終わり、部活もないので帰るだけだったのだが教師に雑務を押し付けられた。部活の顧問でもあるので断れなく、俺とカブトは少し遅い帰りになるのだった…。ちなみにホルモンは家が遠く、コバも用事があったために帰っているので俺とカブトの二人だけが手伝うことになった。


〜福島 兜〜


雑務を押し付けられて帰れないとか正直ついていないと思う、部活も休みのため断る理由がない…。

内容を聞くにジンと二人でやれば1時間くらいで終わりそうだが…。

不満を抱きつつも雑務をこなしていく。やらなければ終わらないと、気持ちを切り替えた。


雑務は予想通り1時間で終わらせることが出来た。部屋を出ると閑散としている。部活動もなければ残る人もいないしな。

普段なら教室に残って談笑に浸る奴らもいるのかも知れないが、それは自由な時間に帰れる自転車があればの話だろう…。みんなバスでとっくに帰っている。 雨が降ってなければ俺も自転車で帰れたんだがなぁ…と窓を目を向けるが、なぜか雨が降っていなかった。 ジンも気づいたようで話しかけてくる。


「カブト君カブト君、どうやら大荒れの天気じゃなくなったようだ」


大荒れどころか雲も少ない。


「こんなに天気が変わることってあるもんなのか?」


ジンに聞いてみる。


「まぁ、普通じゃありえないだろ。つまり普通じゃ起きない何らかのことが起きたんだろ」

「幸運の神様のおかげだったりしてな?これで2人とも自転車で帰れるしラッキーだったな」


ジンの言葉に冗談混じりで返す。


「そうか、昨日自転車パンクしたんだったな」

「そうそう、だから俺も自転車で帰る」

「なら、俺は顧問の先生に雑務が終わったことを伝えてくるからカブトは用務員小屋に自転車取りにいってこいよ」

「そうだな、じゃあ俺は自転車取って駐輪場で待ってるわ」


ジンの申し出を受け、外に向かう。


用務員小屋の前に見慣れた自転車が置いてある。小屋の中にいる用務員さんに礼を言い、駐輪場へと向かう。

駐輪場で待ってるとすぐにジンがやってきて声をかけてくる。


「待たせたか?」

「いいや、今来たとこだ」

「男にそんなこと言われても、ときめかないな…」

ジンが笑い出す。


「そりゃそうだ、実際に今来たばっかだしな」

俺も笑いながらそう言う。


「じゃあ帰るか」

「そうだな」ジンの言葉に応えて自転車を漕ぎだす。

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