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異世界を平和にすることも二人ならできる!  作者: 青藤 清也
第0章 異世界に行くまで
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いつも通りのはずの日常

〜海原 仁〜


いつもと変わらない朝、気だるい体を起こし目ざまし時計を止める。それが海原かいばら じんの1日の始まりである。

カーテンを開けるとポツポツと雨が降っていた。


「これくらいの雨なら自転車でも大丈夫だな」


素早く制服に着替えリビングに向かう。リビングではすでに母が朝食の準備を終えておりペットのホイップにエサをあげていた。が俺に気づくと挨拶してくる。


「おはよう、雨降ってるわね」

「おはよ、この後ひどくなりそう?」

俺も挨拶を返し聞いてみた。


「天気予報では午後には晴れるみたいだけど…」

テレビの方を見ながら母が答えた。


「それなら良かった。今なら全然降ってないから自転車で行こうと思ってさ。」


そう言いながら俺は食卓に着き、いただきますと呟き朝食を食べ始める。


「それは構わないけれど…折りたたみ傘は持っていきなさいよ?」

母が心配そうに尋ねる。


「常にバッグに入ってるから大丈夫だな」

ドヤ顔で言いながら食事を食べ進める。


「面倒くさいのが嫌いな性格のおかげね」

苦笑しながら母が言う。


会話が終わり、食事を食べ終え身仕度を整え玄関に向かう。いつもより出発が早いが、なるべく濡れないためなので仕方ない。


「あら、もう行くの?」

母が時計を確認して訪ねてくる。


「強くなってきても嫌だからね」

俺は苦笑しながら答え玄関のドアを開ける。


「じゃあ、いってきます」

「いってらっしゃい」


いつものやり取りを終えて自転車で学校へむかう。

俺の通っている白長須高校は自転車で30分ほどで着く、そこそこの位置にある高校だ。学力やスポーツのレベルも普通で学校が大きいことくらいが特徴だ。

1年間過ごしてきたが、ただ1人を除いてそこまで大きな成果も上げていない、ごく普通の高校だ。

さすがに通いなれた道で迷わず学校に着く。

駐輪場に自転車を置こうとして、違和感に気づく。


「あれ?自転車の数が少ない…?」

駐輪場に止まっていた自転車は数えるほどしかない。


「そういえば来るときも自転車に乗ってる人を見なかったな…」

少し疑問に思いながらも教室に向かう。


教室に入ってクラスメイトに挨拶を交わしていく、特に仲の良いグループの友達はすでに集まっており、おはよう やら おーす と声をかけてくる。

俺も挨拶を返して、ふと疑問に思ったことがあり1人の友人に聞いてみる。


「ホルモン?なんで今日は自転車通学じゃなかったんだ??」


アダ名ホルモンこと堀門ほりかど 悠太郎ゆうたろう

彼はクラス1の自転車通学者で今日よりヒドい雨の時でも自転車で通学したことがある。だから駐輪場に彼の自転車がなかったのを思い出して不思議に思ったのだ。

すると、ホルモンではなく別の友人が答えてきた。


「さすがにホルモンでも今日は自転車で来ないだろ」

少し笑いながら、そう言ってきたのは福島ふくしま かぶと

幼稚園の頃からずっと関係が続いている唯一無二の親友だ。


「まぁ、さすがに今日はな…」

ホルモンも少し苦笑気味に話してくる。


2人の回答に疑問を浮かべていると、コバこと小林こばやし 涼一りょういちが俺に聞いてくる。


「カイ、もしかして天気予報見てきてないのか?今日は午後から大荒れだって言ってたぞ?」


カイ とは俺のアダ名である。カブトはジンと呼ぶが大抵の友人はカイと呼んでくる。


しかし、変な話だ…大荒れ?母さんは午後から天気は回復するって言ってたし、俺も出掛ける前の身仕度中にチラッとテレビを見たが午後から曇りで少なくとも大荒れなんて激しい雨が降るなんて言ってなかったはすだ…。

だが、これでホルモンが自転車で通学しなかった理由は納得した。もしかしたら急に天気が変わったのかも知れないしな。なので俺は


「ああ、雨が弱いうちに自転車で行っちまおうと思ってな」

同じように笑いながら答えた。


「なるほど、まぁ帰りと明日の朝バス通学すればいいだけだしな」

コバも納得したように笑いながら言う。

カブトとホルモンも今の会話で理解したのだろう、すぐに会話は昨日のバラエティ番組の話に移った。


〜福島 兜〜


福島ふくしま かぶとはアラーム音で目を覚ます。

時刻を確認して本当なら起きる時間だが、昨日母親が学校に迎えに来てくれたため自転車が学校にあることを思い出す。


「今日はバス通学だから、もう少し寝れるな…」

そう呟きながら二度寝を始めようと思ったが、テレビがつけっぱなしなことに気づく。天気予報が流れており今日の天気は午前中は雨、午後からしだいに天気が回復するらしい。


「また、つけっぱなしで寝たのがバレたら父さんに怒られるからな…」

そう呟くとテレビの電源を消して今度こそ二度寝を始めたのだった。


彼が次に目を覚ましたのはコンコンというノックの音がしてからだ。


「かー君、そろそろ起きないと遅行しちゃうよー」

目覚めとともにそんな言葉が聞こえる。


「今起きたから、すぐ降りるよ」

そう返すとドアの向こうから階段を下りていく足音が聞こえる。大きく伸びをして学校にいく準備を済ませ階段を下りていく。階段を下りる途中にある窓を見ると少し雨が降っているのがわかった。


食卓のあるリビングに入り、おはようと声をかける。

キッチンで洗い物をしていた母さんと食卓で待機していた姉さんが挨拶を返してくれる。

なので俺も食卓に着き、いただきますと姉とともに朝食を食べ始める。そうそう、姉さんには起こしてくれた礼を言わないとな。


「姉さん、起こしてくれてありがと」姉に礼言う。

「いいよいいよ、アタシはこのベーコンの対価を支払っただけだしねー」

箸でベーコンを掴み見せびらかすように笑顔で答えてくる。

なるほど、俺のベーコンの数が1枚少ない理由はそれだったか。俺は朝食を食べ進める、なれたやり取りだったからだ。福島ふくしま ひな 大学に入学した彼女なりのコミュニケーションなのだろう。


「いやー、昨日のNBAは良い試合だったねー」

やや興奮気味に話しかけてくる。

「そうだね、なにせ3Pの記録を作った試合だからね」

そんなことを話しながら朝食を食べ終えた。

ギリギリのバスだと混んでそうだから、そろそろバス停に向かうか…。支度を済ませ玄関に向かう、玄関で靴を履いていると姉さんに声をかけられた。


「かー君、傘持ったー?持ってかないと帰りビショビショになっちゃうよー?」


ん?天気は回復するはずじゃ…予報が変わったのか?


「どーやら天気が変わったみたいだねー」

姉さんが付け足すように言ってくる。


天気予報が変わったらしいな…。


「わかった、傘持ってくよ」

言いながら自分の傘を傘カゴから取り出す。家を出ようとしたが、また姉さんに止められた。


「あ、あとこれジンジンに渡しといて」

そう言いながら紙袋を俺に渡してくる。


「ジンに?誕生日プレゼントってこと?」


ジンの誕生日は6月2日だ、もう1週間を切っている。


「そうそう、誕生日プレゼントだよージンジンには役に立つはずだから」

姉さんはそう答える。


「わかった。渡しておくよ、それじゃあいってきます!」

玄関のドアを開ける。


「いってらっしゃーい、絶対ジンジンに渡してねー あと濡らすなよー」

姉さんが手を振りながら言ってくる。俺も手を振り返しバス停に向かう。

やはり早めのバスにしたのは正解だったのだろう、そんなに混むことなくバスに乗ることが出来た。

少しばかりバスに揺られていると、見知った友人が

乗車してきて俺に気づくと声をかけてくる。


「おはよう、こんな日はテンションがあまり上がらないな…」コバこと小林こばやし 涼一りょういちがそう言ってきたので、俺も


「おはよう、そうだなぁ…」と返す。コバの眼鏡が外とバス内の温度差せいか少し曇っていた。

コバとたわいもない会話を続けているとバスが学校に到着した。


下駄箱で靴を履き替え知り合いや友人に挨拶を交わしながら教室に入ると、珍しい先客がいた。

ホルモンこと堀門ほりかど 悠太郎ゆうたろうである。


「おはよう、珍しいな」

「おーす、今日は自転車じゃないからな」

そんな挨拶を交わし3人で会話を始めていく。

その後、ジンが来てホルモンが自転車で来てないことを不思議に思っていたが、天気予報を見忘れたらしい。

まぁ、正直さっきはああ言ったがホルモンが今日、自転車で通学したとしても不思議ではないと思ったことは内緒である。

会話は昨日のバラエティ番組の話題になっていた。

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